
フランスでは、人々は日々の暮らしを大切にし、生活の場へのこだわりは、Art de Vivre (アール・ドゥ・ヴィーヴル/生活芸術)という言葉も生みました。その一つであるL’Encadrement (アンカードルモン/フランス額 装)は、フランス人のインテリア技法として、今もフランスで親しまれ、専門店や教室もたくさんあるフランスの伝統工芸の一つです。

カルトンと呼ばれている厚紙をベースにして、紙や裏打ちをした布を素材として額の中に納める絵や写真等の作品をより魅力的に見せるために、作品と額縁の間に位置するマットと呼ばれる部分を装飾するインテリア技法です。作品を引き立てるために全体の調和を考え幾通りもある技法を工夫し、時間をかけて準備し、仕上げていきます。額装のオート・クチュール(特別仕立ての作品)と言えるこの技法で作成したマットに作品を入れて、額縁の中に納めて完成したときの嬉しさは格別です。
中に入れる作品は、有名な画家の画でなくても、日々の暮らしの中で大切にしている子供の画や、旅先の写真や絵葉書、または思い出になどで、それらを生活の中でインテリアとして愉しむことができます。これら、フランス人の生活に溶け込んでいる技法を用いて作成した作品を、暮らしの中で愉しむことができる工芸です。