ジャッキは、工事現場や建設現場、工場などさまざまな場面で用いられますが、種類が豊富なためどのように選べばいいか迷う場合があると思います。
本記事では、創業約40年の歴史を持つ産機レンタル会社がジャッキの選び方についてまとめました。おすすめのジャッキも紹介しますので、「案件に合うジャッキを選びたい」とお考えの方はご一読ください。
なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、ジャッキのレンタルをおこなっています。全国の豊富な在庫から案件に適したジャッキを提案しますので、以下のボタンからお気軽に見積もりを依頼ください。
ジャッキの選び方2ステップ
ジャッキを使うときは、以下の2ステップで選びます。
各ステップを順に見ていきましょう。
【ステップ1】ジャッキの使用目的を明確にする
まずは、ジャッキを使用する目的を明確にすることが重要です。ジャッキは、重量物を持ち上げる目的で用いられるケースがほとんどなため、スタンダードな油圧ジャッキがよく選ばれます。
一方で、以下のように特殊なシーンで用いられる場合もあります。
【ジャッキの特殊な活用例】
- 持ち上げた状態を保持する
- 押し出す
- 引き抜く
- 撤去する
例えば、狭いすき間を広げるなら薄いエアバッグジャッキのように、特殊な機種が必要です。安全かつスムーズに作業を進めるためにも、使用目的を明確にしたうえでジャッキを選びましょう。
【ステップ2】持ち上げる対象物の状態を確認する
次に、持ち上げる対象物について以下の3点を確認します。
これらを確認することで、一般的な「油圧ジャッキ」か「爪付きジャッキ」のどちらが適しているか明確になります。なお、爪付きジャッキについては以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
>>爪付きジャッキとは?使用上の注意点やおすすめ商品を網羅的に紹介
では、1つずつ見ていきましょう。
1.重量がジャッキの最大揚力を超えていない
最初に、ジャッキで持ち上げる対象物の重量を確認することが重要です。対象物の重要がジャッキの最大揚力を超えてしまうと、持ち上がらなかったり機械が破損したりする恐れがあります。
ジャッキを選ぶ際は、以下を目安にジャッキの揚力(ジャッキで持ち上げる力)の最大値が大きいものを選びましょう。
【ジャッキを選ぶ目安】
- 最大揚力(引力)の70~80%以内で使用できる
- 必要な揚力(引力)よりも20~30%大きい
揚力に余裕がないと事故につながる恐れがあるため、安全に作業を進めるためにも確認しておくことが重要です。
2.ジャッキ(最低高さ)を差し込めるスペースがある
次に、対象物の下にジャッキを設置できるスペースがどれくらいあるかの確認をおこないます。万が一、差し込みスペースの高さや幅が適していないジャッキを使うと、本体(もしくは、爪部)を差し込めず対象物を持ち上げられません。
【最低高さとは】
ジャッキの頭部を一番下まで下げた状態の本体の高さのこと。
作業が滞り、その先の工程もずれていく原因になるため、最低高さも考慮したうえでジャッキを選びましょう。
【よくある疑問】ジャッキを差し込むスペースが狭い場合はどうする?
接地面と対象物のすき間が狭い場合は、爪付きジャッキを使うと対象物を持ち上げられます。爪部で持ち上げ、その後にジャッキ本体を対象物の下に入れられれば、頭部を使ってストローク以上の高さまで持ち上げることが可能です。
ただし、爪付きジャッキは持ち上げられる重量に限界があります。爪付きジャッキだけで20tや30tもある対象物を持ち上げられないときは、重量のあるものを持ち上げられる単動油圧ジャッキなどを併用するのがおすすめです。
※単動油圧ジャッキを使う際は手動ポンプも必要です。
3.持ち上げたい高さとジャッキの揚程が適している
ジャッキによって持ち上げられる高さが異なるため、対象物を持ち上げたい高さとジャッキの揚程が適していることも重要です。対象物を持ち上げるストロークの揚程はジャッキ内の油量によって変わり、油量が多いほど揚程は高くなります。
ストロークが足りないと、持ち上げたい高さまで対象物を持ち上げられないため、揚程に余裕を持たせてジャッキを選ぶことが必要です。
【よくある疑問】揚程より高い位置へ持ち上げたいときの対処法は?
ジャッキの揚程よりも高い位置へ持ち上げたいときは、複数のジャッキを使用すると解決できます。例として、以下を見てみましょう。
【ジャッキの揚程よりも高い位置へ持ち上げる方法】
- ジャッキで持ち上げる
- 持ち上げた高さで固定し、いったんジャッキを外す
※固定時は、重さに耐えられるかつ、転倒しないような道具を使用する - ジャッキを再設置し、もう一度持ち上げる
※最初に使用したジャッキとは異なる機種を使用するケースもある
1つのジャッキの揚程では足りない場合でも、揚力の高い別のジャッキと併用すれば、より高い位置へ対象物を持ち上げられます。
横長の対象物や、持ち上げたあと長時間保持したいときの注意点
横長のものを持ち上げる場合は、転倒のリスクが高まるので注意が必要です。長さがあるぶんバランスを崩しやすく、対象物の重心に偏りが生じていると倒れる恐れがあります。
そのような場合は同時に対象物を持ち上げられる、以下の電動式同調油圧ポンプを使えば、複数のジャッキそれぞれにかかる重さが違っていても、水平を保ったまま持ち上げられます。
▼電動式同調油圧ポンプで持ち上げるイメージ
また、ジャッキで持ち上げた後に数週間にわたって高さを保持したい場合は、ストロークが下がってこないジャーナルジャッキの使用が適切です。ジャッキ自体が重く持ち運びしにくいデメリットはあるものの、長期間高さを保てるので安心して次の作業に移れます。
なお、本体が軽量のアルミタイプのジャーナルジャッキであれば、重量がおよそ半分になるので持ち運びやすくなりおすすめです。
レンタルにおすすめのジャッキ7選
目的や対象物に合うジャッキを準備するなら、レンタルがおすすめです。ここからは、以下7種類のジャッキを紹介します。
順に見ていきましょう。
1.油圧ジャッキ
※画像は代表商品のものです。
型式 | MS-2(234890) | MN-4(234889) | MMJ-5T-2(234891) | MH-10(234840) | MH-15P(234845) | MH-20(234850) | MH-30Y(234880) | MH-50Y(234879) |
揚力(t) |
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油圧揚程(mm) |
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最低高さ(mm) |
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最高高さ(mm) |
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重量 (kg) |
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18.5 | 37 |
※表は横にスクロールできます。
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
油圧ジャッキは揚力が2~50tまでとラインナップが豊富です。9cmほどのすき間があれば10tの対象物を持ち上げられるうえ、同じ揚力の爪付き油圧ジャッキよりも、本体が軽くて持ち運びがしやすい点も特徴です。
2~50tのラインナップのなかでも、より低い位置から持ち上げられる二段式タイプや、横向きに使って対象物を横にずらせるタイプもあるため、目的に合う機種を選べます。
2.爪付き油圧ジャッキ(1.5~25t)
※画像は代表商品のものです。
型式 | G-60T(234787) | G-25(234743) | F-60TL(234785) | MP-50(234770) | FR-60TL(234786) | M-500(234832) | |
低床タイプ | レバー回転安全弁付きタイプ | ネジ送り台付きタイプ | 圧力計付きタイプ | ローラー付き送り台タイプ | 運搬用車輪付きタイプ | ||
揚力(t) | 爪部 |
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頭部 |
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爪部寸法(mm) | 最低高 |
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揚程 |
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最高高 |
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幅×長さ |
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頭部寸法(mm) | 最低高 |
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最高高 |
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- | |
重量 (kg) |
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※表は横にスクロールできます。
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
爪付き油圧ジャッキは、対象物と接地面に2~3cmのすき間があれば爪部を差し込んで持ち上げられるジャッキです。そのため、ジャッキ本体を対象物の下に入れるスペースがない場合に役立ちます。
1台あれば「持ち上げる」「広げる」「位置を合わせる」「横に押す」の4つの使い方ができるので、揚力の範囲内であれば複数のジャッキを準備する必要がありません。低床タイプやレバー回転安全弁付きタイプ、ネジ送り台付きタイプなど、対象物の重さと現場に合わせたタイプを柔軟に選べます。
爪付き油圧ジャッキ(1.5~5t)の詳細を見る 爪付き油圧ジャッキ(10~25t)の詳細を見る
3.爪付きジャッキ(単動型)
※画像は代表商品のものです。
型式 | CE-0312(234990) | K2-200S(234819) | K5-150S(234833) | |
揚力(t) | 爪部 |
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頭部 |
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ストローク(mm) |
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最低高さ(mm) | 頭部 |
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爪部 |
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爪寸法(mm) |
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ベース寸法(mm) |
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必要油量 (cm2) |
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重量 (kg) |
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※表は横にスクロールできます。
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
爪付きジャッキ(単動型)は、ジャッキと高圧ホースをつないで遠隔操作で重量物を持ち上げるタイプです。重量物が設置されている場所に十分なスペースがない場合でも、安全に作業をおこなえます。
接続部が回転する製品を使えば、ジャッキの向きを180度回転させてもホースが折れる心配はありません。なお、レントでは遠隔操作に必要な手動油圧ポンプもまとめてレンタルできるので、最小限の時間でスムーズに準備を進められます。
4.ジャーナルジャッキ
※画像は代表商品のものです。
型式 | JJ-1513(234930) | JJ-3513(234953) | JJ-10011(234962) | JJ-1015(234946) | JJ-5025(234961) | JJ-3535(234955) | AJ-1008(234945) |
種類 |
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揚力(kN[tf]) |
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揚程 (mm) |
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最低高さ(mm) |
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寸法(mm) |
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- |
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重量 (kg) |
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※表は横にスクロールできます。
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
ジャーナルジャッキは耐久力に優れたスクリュー式で、重量物を持ち上げたあとに数週間にわたって保持する際に役立つ製品です。油圧式と異なり時間を置いても高さが下がらない設計なので、作業し直す必要がありません。
重量物を横に移動したり、設置基盤が弱い場合や不安定な場合でも送り台や安全台を取り付けたりすれば、重量物を保持したままスムーズに作業を進められます。
ただし、ジャーナルジャッキは重量があるため、持ち運びには不向きです。持ち運びがしやすい製品で同様の作業をおこないたい場合は、重量を抑えたアルミタイプのジャーナルジャッキをおすすめします。
ジャーナルジャッキの詳細を見る ジャーナルジャッキ(アルミタイプ)の詳細を見る
5.爪付き水圧ジャッキ
※画像は代表商品のものです。
型式 | FJ-5SAJ-100(234995) | FJ-10SAJ-100 | |
揚力(t) | 爪部 |
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頭部 |
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ストローク (mm) |
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寸法(mm) | 爪最低位置 |
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爪長さ |
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本体高さ |
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重量 (kg) |
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※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
爪付き水圧ジャッキは水の圧力を利用して対象物を持ち上げます。そのため、少量の油が垂れるだけでも支障をきたす食品や薬品、医療関係などのクリーンな環境で使う場合に最適です。
なお、レントではクリーンな環境へ搬入する際、現場の基準や製品に合わせた清掃や梱包ができます。ただし、油圧ジャッキに比べて高額かつ重量もあるため、クリーン環境以外で使用する場合は、爪付き水圧ジャッキよりも油圧ジャッキのほうがおすすめです。
6.エアバッグジャッキ
※画像は代表商品のものです。
型式 | HLB-20(234767) | |
バッグジャッキ | 持上能力(kN) |
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最小厚さ(mm) |
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持上高さ(mm) |
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最高使用圧力(MPa) |
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最低破壊圧力(MPa) |
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寸法(mm) |
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質量(kg) |
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動力源 |
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※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
エアバックジャッキは、コンプレッサを使ってエアを送り、本来ジャッキを使うことを想定していない場所にすき間を作りたいときに便利です。切り傷への耐性もあり強度が高いゴム製なので、傷が付きやすいものの間に挟んでも破れにくく、土木工事やレスキュー時などにも安心して使用できます。
ただし、エアを入れるほど持ち上げられる高さは増しますが、持ち上げる力が弱まる点は注意が必要です。
7.【参考】電動式同調油圧ポンプ(複動型)
※画像は代表商品のものです。
型式 | KHN4-0.3W(234839) | E20H15(235037) | |
電動式同調油圧ポンプ(複動型) | 複動油圧ジャッキ 油圧シリンダー | ||
モーター | 電圧(V) |
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出力(kW) |
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ポンプ | 最高圧力 (MPa) ※220V時 |
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吐出量 (L/min) ※220V時 |
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連数 |
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寸法 | 幅(mm) |
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奥行(mm) |
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高さ(mm) |
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重量 (kg) |
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※表は横にスクロールできます。
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
電動式同調油圧ポンプ(複動型)は、対象物の重心に偏りがある場合に、以下のとおり水平を保ったままでリフトアップやリフトダウンが可能です。
対象物の重心はどこにあるか、外観からはわかりません。通常のジャッキを複数使って持ち上げるとそれぞれにかかる重量が変わり、傾く恐れがあります。
しかし、電動式同調油圧ポンプ(複動型)なら、重心の偏りに関係なく水平に対象物の持ち上げが可能です。また、数ミリ単位で高さを微調整したいときに専門のオペレーターに頼む必要がなく、スムーズに作業を進められます。
なお、「複動油圧ジャッキ 油圧シリンダー」を電動式同調油圧ポンプにつなげて使用すれば、限られたスペースしかなくても遠隔操作で対象物のリフトアップやリフトダウンができます。
電動式同調油圧ポンプ(複動型)の詳細を見る 複動油圧ジャッキ 油圧シリンダーの詳細を見る
案件に適したジャッキを選んで安全に作業を進めよう
案件に適したジャッキを選ぶには、使用目的や持ち上げる対象物、場所などの考慮が必要です。今回ご紹介した2つのステップに沿って、案件に合うジャッキを選びましょう。
なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、案件に適したジャッキのレンタルをおこなっています。
作業に支障をきたすことなく現場で安心・安全にジャッキを使えるよう、定格荷重負荷試験を実施しています。そのうえ、お手元にあるジャッキも点検できるので、本当に必要なジャッキのみをレンタルでき、必要最低限のコストで案件に適したジャッキの調達が可能です。
「案件に合うジャッキを選びたい」「安全かつスムーズに作業を進められるジャッキを使いたい」とお考えの方は、以下のボタンからお気軽に見積もりを依頼ください。