高所作業車を操作するために必要な資格は、「特別教育」または「技能講習」の2つです。労働安全衛生法にもとづいて決められており、どちらを受講するべきかは運転したい作業車の作業床の高さによって異なります。
本記事では、高所作業に必要な資格の種類や特別教育と技能講習の違いについて詳しく解説します。「高所作業に必要な資格を知りたい」「資格取得の費用や期間を確認したい」という方は、ぜひ参考にしてください。
レントでも特別教育・技能講習を実施していますので、詳細については以下のボタンよりお気軽に相談ください。
高所作業車の運転に必要な資格は2つ
高所作業車の昇降装置を操作するには、作業床の高さに応じて以下の講習のいずれかを修了する必要があります。
講習 | 対象 |
高所作業車運転特別教育 | 作業床の高さが2m以上10m未満の高所作業車を操縦する場合 |
高所作業車運転技能講習 | 作業床の高さが10m以上の高所作業車を操縦する場合 |
作業床の高さとは、人や荷物を載せる装置を最も高く上昇させたときの、地面から床面までの垂直の高さを指します。いずれの資格も、自動車の運転免許証を持っていなくても18歳以上であれば誰でも受講可能です。
ただ実際の教習所では、自動車運転免許などの資格保有者を対象としているケースが多いため、事前に各教習所の要件を確認することをおすすめします。
【補足】公道を走行するときは運転免許が必要
高所作業車には、車両の荷台に昇降装置が取り付けられている「トラック式」のように、公道を走行できる車両があります。このタイプの車両で公道を走行する場合は、以下の運転免許を持っている必要があります。
▼高所作業車の走行に必要な免許の種類
免許証の種類 | 車両総重量 | 最大積載量 |
準中型免許(5t限定) ※H19.6.2~H29.3.11までに普通免許を取得した者 |
5t未満 | 3t未満 |
準中型免許 ※H29.3.12以降に準中型免許を取得した者 |
3.5~7.5t | 2~4.5t |
中型免許(8t限定) ※H19.6.1以前に普通免許を取得した者 |
8t未満 | 5t未満 |
中型免許 ※H19.6.2以降に中型免許を取得した者 |
7.5~11t未満 | 4.5~6.5t未満 |
大型免許 | 11t以上 | 6.5t以上 |
運転免許を取得する方法は、以下の2つです。
- 教習所で学科・実技を学び、運転免許センターで試験に合格する
- 指定自動車教習所を卒業する
運転免許の取得には数週間から数ヵ月程度の時間がかかります。作業を円滑に進めるためにも、事前に必要な免許を確認し、必要な資格を持った作業者を配置しましょう。
高所作業車とは
ここで、高所作業車についておさらいしておきましょう。
高所作業車とは、2m以上の高さで作業を安全におこなうための特殊な機械です。主に建設工事、設備の点検、補修作業などの高所作業に利用されています。
厚生労働省の定義では、「作業者を高所において移動させるという特殊な機能を持つ機械」とされており、満たすべき要件として以下の3つが定められています。
参考:厚生労働省
なお、高所作業車の代表的な構造は以下のとおりです。

高所作業車の代表的な種類7選
レントでは、高所作業車といえば「トラック式」の車両を指しますが、高所作業車の分類方法は扱う組織によってさまざまです。厚生労働省の「高所作業車運転技能講習(補助テキスト)」では、以下の7種類に分類されています。
分類 | 方式 | 特徴 |
走行装置 | (1)トラック式 | トラックの荷台に昇降装置が設置されている |
(2)クローラ式 | クローラの回転ベルトで走行する | |
(3)ホイール式 | 昇降装置にホイール(タイヤ)が取り付けられている | |
作業装置 | (4)伸縮ブーム型 | ブームが伸縮する |
(5)屈折ブーム型 | ブームが関節のように屈折する | |
(6)混合ブーム型 | ブームが伸縮や屈折をする | |
(7)垂直昇降型 | 作業床が垂直に昇降する |
このように、高所作業車には、走行するための装置やブームの動かし方(作業装置)によってさまざまな種類があります。それぞれの詳細な特徴や用途については、以下の記事にて詳しく解説していますのであわせてお読みください。
>>高所作業車の種類一覧|必要な資格など知っておくべき知識を完全ガイド
高所作業車特別教育とは
「高所作業車特別教育」は、作業床の高さが2m以上10m未満の高所作業車を操作する際に必要な講習です。
特別教育を修了しても作業主任者にはなれません。作業主任者として高所作業に従事する場合は、「高所作業車運転技能講習」が必要なので、注意点として覚えておきましょう。
特別教育で操作できる機械の例
【特別教育で操作できる機械の例】
特別教育で操作できる機械は、上記のような車両です。取得すれば、「作業床の高さが10m未満の高所作業車」が操作できます。
特別教育の学科・時間
続いて、特別教育の講習内容について見ていきましょう。取得に必要な学科と実技が、以下のとおり定められています。
項目 | 詳細 |
時間 |
|
学科の内容 |
|
実技の内容 |
|
参考:安全衛生特別教育規程(◆昭和47年09月30日労働省告示第92号)
すでに保有している資格によって、一部の科目が免除される場合があるため、複数の受講コースを設けている教習所があります。効率的に資格を取得するためにも、適切な受講方法を検討しましょう。
高所作業車技能講習とは
「高所作業車技能講習」は、作業床の高さが10m以上の高所作業車を操作するために必要な講習です。技能講習を修了すると、「特別教育」より高所での作業がおこなえるうえ、作業主任者としても作業に従事できます。
技能講習で操作できる機械
【技能講習で操作できる機械の例】
技能講習を取得すれば、上記のような「作業床の高さが10m以上の高所作業車」の高所作業車も操作できるようになります。
技能講習の学科・時間
技能講習の内容は、以下のように定められています。
項目 | 詳細 |
時間 |
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学科の内容 |
|
実技の内容 |
|
参考:高所作業車運転技能講習規程(◆平成02年09月26日労働省告示第67号)
なお、以下に該当する資格を持つ人は一部の科目が免除されるケースがあります。
受講免除の対象者 | 免除対象となる科目 |
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特別教育と同じように、複数の受講コースを設けている教習所があるため、受講を予定している人がどの資格を保有しているかをあらかじめ確認しておきましょう。
高所作業車の資格を取得するなら「レント」がおすすめ
高所作業の準備を効率良く進めたいと考えているなら、レンタル会社の利用がおすすめです。レンタルの手続きとあわせて、必要な資格や受講内容について相談できるためです。
産業・建設機械のレンタル会社「レント」の教習センターでも、高所作業車の特別教育・技能講習を実施しています。
取り扱っている車両も豊富で、スカイマスターのようなトラック式から、橋梁点検作業車といった特殊なタイプまで幅広くレンタル対応可能です。
さらに、配送サービスや充実した補償制度に加え、工事用の規制機材など必要な資材も同時にレンタルできるため効率的に作業を進められます。受講の手配や高所作業車のレンタルを検討されている方は、以下のボタンからお気軽にご相談ください。
レントの「高所作業車特別教育」の概要
ここからは、レント教習センターが実施している「高所作業車特別教育」の概要を紹介します。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
特別教育の教習時間・費用
レントの高所作業車特別教育は、学科・実技を1日(8時間)でおこないます。
【特別教育の教習時間】
- 実施時間:1日(学科5時間、実技3時間)
【特別教育の受講費用】
- 合計:17,000円
- 内訳
- 受講料 15,630円
- テキスト代 1,370円
なお、費用は変更する場合があるので、最新の情報は特別教育の料金表をご覧ください。
特別教育の受講資格
レントでは、以下のいずれかの資格を保有している方が高所作業車特別教育を受講できます。
【特別教育の受講資格】
- 普通・準中型・中型・大型・大型特殊いずれかの自動車運転免許を持つ人
- フォークリフト運転技能講習(最大荷重1t以上)修了者
- ショベルローダー等運転技能講習(最大荷重1t以上)修了者
- 車両系建設機械(整地・運搬・積込み用および掘削用)運転技能講習(機体質量3t以上)修了者
- 車両系建設機械(解体用)運転技能講習(機体質量3t以上)修了者
- 車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習(機体質量3t以上)修了者
- 不整地運搬車運転技能講習(最大積載量1t以上)修了者
- 建設機械施工技術検定合格者
受講の際は、受講資格に該当する免許証・修了証・合格証明書類などの必要書類をご提出ください。
特別教育を受講する流れや持ち物
特別教育の受講予約は上記の流れで可能なため、必要事項を確認のうえ、お申し込みください。なお、受講当日には以下を用意いただきます。
【受講当日の持ち物】
- 印鑑
- 筆記用具
- 特別教育受講申し込み書(予約完了メールに添付されたものを印刷し、証明写真を貼り付けたもの)
- 本人確認書類(免許証など)の原本
- 受講資格を証明する書類の原本
また、安全におこなうための適切な服装や装備も必要です。
【必要な服装・装備】
- 作業服(裾締りの良いもの)、ヘルメット、安全靴を着用する
- 実技講習日はフルハーネス型の墜落制止用器具を用意する
- 雨天時は合羽を準備する
10名以上での受講をご希望の場合は、臨時開催についてもご相談に応じますので、まずは以下のボタンより詳細をご確認ください。
レントの「高所作業車技能講習」の概要
ここでは、レント教習センターで実施している「高所作業車技能講習」の概要を紹介します。
では、順に解説します。
技能講習の教習時間・費用
レントの技能講習は、受講者の保有資格に応じて、14時間と12時間の2コースを用意しています。
【コースB-14H(14時間)の受講費用】
- 合計:44,000円
- 内訳
- 受講料:42,530円
- テキスト代:1,470円
【コースC-12H(12時間)の受講費用】
- 合計:40,000円
- 内訳
- 受講料:38,530円
- テキスト代:1,470円
費用は変更する場合があるため、詳しくは技能講習の料金表をご確認ください。
技能講習の受講資格
技能講習の受講は、コースによって受講資格が異なります。以下条件のいずれかを満たしている必要があります。
【14時間コースの受講資格】
- 普通・準中型・中型・大型・大型特殊いずれかの自動車運転免許を持つ人
- フォークリフト運転技能講習(最大荷重1t以上)修了者
- ショベルローダー等運転技能講習(最大荷重1t以上)修了者
- 車両系建設機械(整地・運搬・積込み用および掘削用)運転技能講習(機体質量3t以上)修了者
- 車両系建設機械(解体用)運転技能講習(機体質量3t以上)修了者
- 車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習(機体質量3t以上)修了者
- 不整地運搬車運転技能講習(最大積載量1t以上)修了者
- 1級または2級の1種から6種のいずれかの建設機械施工技術検定合格者
【12時間コースの受講資格】
- 移動式クレーン運転士免許を持つ人
- 小型移動式クレーン運転技能講習(つり上荷重1t以上5t未満)修了者
ご自身の所有する資格にあわせて、受講するコースをお選びください。
技能講習を受講する流れや持ち物
技能講習の受講を予約する際は、特別教育とは異なり事前に書類の郵送が必要です。そのため、講習日の1週間前までには教習センターへ書類を郵送いただけるようお願いしています。
受講当日の持ち物は、以下のとおりです。
【受講当日の持ち物】
- 印鑑
- 筆記用具
- 本人確認書類(免許証など)の原本
- 受講資格を証明する書類の原本
特別教育と同様に、技能講習を受けやすい服装や装備も用意しましょう。
【必要な服装・装備】
- 作業服(裾締りの良いもの)、ヘルメット、安全靴を着用する
- 実技講習日はフルハーネス型の墜落制止用器具を用意する
- 雨天時は合羽も準備する
高所作業車技能講習の受講に関しての詳細は、以下のボタンよりご確認ください。
高所作業車の資格を取得して安全対策を強化しよう
高所作業車の運転には、作業床の高さに応じて「特別教育」または「技能講習」の受講が必要です。これらの資格は、高所作業における安全確保と事故防止のために法令で定められています。
また、トラックタイプの高所作業車を公道で運転する場合は、車両に応じた自動車運転免許も必要ですので、あわせて確認しましょう。
産業・建設機器のレンタル会社「レント」では40年以上にわたり蓄積してきた経験とノウハウを活かし、丁寧な講習を実施しています。
高所作業車のレンタルと資格取得を同時に進められるため、面倒な手続きを効率的に進めることが可能です。資格取得やレンタルについてご不明な点がありましたら、以下のボタンよりお気軽にお問い合わせください。