バックホウとは?構造・用途・サイズ別の種類など基礎知識を完全ガイド

バックホウは、土砂を「掘る」「すくう」「ならす」といった作業ができる重機です。多くの工事現場で活躍しており、道路工事・建設工事・災害復旧など、あらゆる現場で活躍します。

本記事では、バックホウの基本的な仕組みや種類の解説、選び方のポイントをまとめています。作業をスムーズかつ安全に進めたい方や、できるだけ工期に遅れたくないという方にも役立つ内容ですので、最後までお読みください。

産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、狭い場所で使える小型タイプから、クレーン付きの多機能モデルまで、さまざまなバックホウを取りそろえています。どの機種が自社の現場に最適か知りたい方は、以下からお気軽にご相談ください。

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バックホウとは

バックホウとは、油圧の力でアームやバケットを動かして、土を掘ったり、すくったり、運んだりできる建設機械です。「バック」は「後ろ」を、「ホウ」は「鍬(くわ)」を意味し、土砂を自分のほうへ引き寄せて掘る動きが特徴です。

呼び名は以下のように種類がありますが、いずれも同じタイプの機械を指します。

  • バックホウ
  • 油圧ショベル
  • ユンボ(商標)
  • ショベルカー

道路工事や建物の基礎工事、災害復旧など幅広い現場で活躍しており、便利さと用途の広さから最もよく使われている掘削機のひとつです。

バックホウの構造

バックホウは、大きく分けて 3つの部分 で構成されています。

No. 項目 詳細
1 作業装置(アーム・ブーム・バケット・シリンダー)
  • 実際の作業をおこなう部分
    • アーム・ブーム:バックホウの「腕」
    • バケット:土をすくう「スコップ」
    • シリンダー:油圧の力で腕を動かす
2 上部旋回体(運転席・エンジン・油圧ポンプ)
  • 動力の中心であり、作業装置や走行体を動かす「バックホウの心臓部」
  • 360度回転して広い範囲を作業できる
3 下部走行体(クローラー・ホイール)
  • 現場内の移動を支える足回り部分

各部位が連携して動作することによって、掘る・すくう・運ぶといった一連の作業がスムーズに進みます。

バックホウが活躍する主な現場・作業シーン

バックホウは先端の道具であるアタッチメントを付け替えることで、掘る以外のさまざまな作業にも対応できるようになります。

以下は、代表的な現場とよく使われるアタッチメントです。

現場 主な作業 アタッチメントの種類
土木・建設工事
  • 溝掘り・掘削・整地・埋戻しなど、基本的な土木作業
  • グラップル
  • バケット
建設・解体現場
  • 掘削、整地、溝掘り
  • コンクリートや鉄骨構造の建物の解体
  • グラップル
  • ブレーカー
  • クラッシャー
  • パクラー
農業・畜産業
  • 畑の整地や排水溝の掘削
  • 堆肥や飼料の運搬
  • 刈払い用アタッチメント
  • ベールグリッパー
林業
  • 木材運搬や伐採
  • 伐採後の整地
  • 丸太をつかんで運搬する
  • 傾斜地での伐根
  • グラップル
  • ハーベスタ・プロセッサ
災害時の復旧作業
  • 土砂の撤去や倒木の処理
  • 道路の復旧作業
  • グラップル
  • バケット
  • ブレーカー

アタッチメントは、作業内容に合わせて機械の能力を柔軟に変えられる「手」のような存在です。組み合わせ次第で、工事現場だけでなく、農業や林業、災害復旧などさまざまな現場で利用できます。

ただし、油圧で動作するアタッチメントを使用する際には、油圧配管が装備されているバックホウが必要です。また、アタッチメントの交換作業は重くて危険をともなうため、必ず複数人で安全に作業しましょう。

アタッチメントのなかでも最も汎用性が高い「グラップル」の具体的な使用例については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

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バックホウの種類

バックホウは、「一度にどれだけ土をすくえるか」を示すバケット容量で分類されます。この容量はm3(立方メートル)で示され、機械の採掘能力や本体の大きさを判断する際の基準となります。

バケット容量は、JIS規格(日本産業規格)でも基準が定められており、掘削能力を評価するうえで重要な指標です。バケットが大きすぎても小さすぎても効率が落ちてしまい、作業に支障をきたす恐れがあります。そのため、作業現場の規模や内容に応じた機体選びが重要です。

以下は、バケット容量による一般的な分類です。

バケット容量(m3) クラス 主な機種
〜0.25 ミニ・小型
0.25〜0.7 中型
0.7〜 大型

※分類はメーカー・レンタル会社によって異なる場合があります。

各クラスの特徴を順に見ていきましょう。

1.ミニ・小型バックホウ(バケット容量〜0.25m3未満)

ミニ・小型バックホウは、バケット容量0.25m3未満・機体重量6t以下の小さなモデルです。コンパクトな機体を活かして、建物の裏側や細い通路などでもスムーズに動けます。

主に使われる現場は以下のような身近な現場です。

【ミニ・小型バックホウが活躍する現場】

  • 道路工事
  • 住宅の外構工事
  • 排水溝掘り
  • 農作業
  • 狭い場所での設備工事

軽トラックで運べるタイプもあるため、現場間の移動が多い小規模工事に便利です。限られたスペースでの掘削や整地にも強く、多くの作業で重宝されています。

ミニ・小型バックホウの詳細はこちら

2.中型バックホウ(バケット容量0.25〜0.7m3)

ミニ・小型よりも強い掘削力がある中型バックホウは、以下のようなさまざまな現場で活躍しています。

【中型バックホウが活躍する現場】

  • 一般的な土木工事
  • 配管工事
  • 中規模の造成工事
  • 舗装工事の掘削

多くのアタッチメントに対応できるのも特徴です。現場の中心的役割を担うことから、建設現場では欠かせない機種といえます。

中型バックホウの詳細はこちら

3.大型バックホウ(バケット容量0.7m3以上)

大規模工事を支える強力な掘削力と安定性を備えているのが、大型バックホウです。以下のような負荷の高い現場で高い力を発揮します。

【大型バックホウが活躍する現場】

  • 採石場
  • ダム・道路などの大規模造成
  • 災害復旧時の土砂撤去
  • 一般的な土木工事

特に災害復旧では、倒木や大量の土砂を短時間で処理できるため、自治体や防災機関でも利用されています。機体が大きいことから専用のトレーラーでの輸送が必要になることがあるため、使用前に確認しましょう。

大型バックホウの詳細はこちら

バックホウの運転・操作に必要な資格と免許

バックホウを安全に操作するには、作業内容や機体に応じた資格や免許が必要です。ここでは、作業ごとに3つに分けて解説します。

では、見ていきましょう。

1.「バックホウ本体の操作」に必要な資格・講習

バックホウは、大きさによって必要な資格が変わります。操作に必要な資格は、以下の2種類です。

バックホウの種類 資格
機体質量「3t未満」のバックホウ 小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育
機体質量「3t以上」のバックホウ 車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習

「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」は、学科(7時間)と実技(6時間)の講習のみで、試験はありません。18歳以上であれば誰でも受講できます。

一方で、「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習」は、保有資格や業務経験によって講習項目が変わります。詳しくは、教育機関にお問い合わせください。

2.「アタッチメント作業」に必要な資格・講習

バックホウはアタッチメントを交換することで多くの作業ができるようになります。ただし、作業の内容によっては、本体の操作資格とは別に追加の資格が必要になることがあります。

作業内容に応じた必要な資格・講習は、以下のとおりです。

作業内容 必要な資格・講習
クレーン操作
玉掛け作業
解体用アタッチメントを使用する
(ブレーカー、クラッシャーなど)
  • 車両系建設機械(解体用)運転技能講習
アタッチメントを装着したバックホウの操作
(グラップル、ハーベスタやプロセッサなど)
  • 伐木等機械の運転の業務に係る特別教育

例えば、クレーン付きバックホウで荷物を吊り上げる場合は、本体の操作資格のみでは作業はできません。作業内容に応じた必要な資格があるため、必ず事前に確認してください。

レントでも、クレーン操作や玉掛け作業に必要な特別教育技能講習を実施しています。お問い合せ・お申し込みは、以下からお気軽にご連絡ください。
【お問い合せ先 レント教習センター TEL:054-265-2320

なお、クレーン車に関する資格の詳細については、以下の記事をご参照ください。

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3.「公道の走行」に必要な運転免許

バックホウの操作資格は、あくまで現場内で作業するための資格です。公道(道路)を走行する場合は、別途車両の重さに応じた運転免許が求められます。

必要な免許は以下のとおり、車両総重量と最大積載量で決まります。

運転免許 車両総重量 最大積載量
普通免許 3.5t未満 2.0t未満
準中型免許 7.5t未満 4.5t未満
中型免許 11.0t未満 6.5t未満
大型免許 11.0t以上 6.5t以上

ただし、公道を走れるのは、ホイール式(タイヤ)のバックホウだけです。クローラー(キャタピラ)式のバックホウは公道を走ることが禁止されており、現場間の移動には重機回送用のトラックで運搬する必要があります。

 バックホウを選ぶ3つのポイント

バックホウを選ぶ際に欠かせないポイントは、以下の3点です。

1つずつ見ていきましょう。

1.現場条件に適したサイズである

バックホウにはさまざまなサイズがあり、現場ごとに適した機種が異なります。現場の広さ・搬入経路・作業内容に合ったサイズを選ぶことで、作業効率が変わります。

現場に適した機種の例は以下のとおりです。

現場の状況 適した機種の例
狭い場所・住宅街の路地・建物の隙間での施工
室内・ビル内工事・解体の細かい作業
静音が求められる現場
広い造成現場・道路工事・大規模工事

バックホウの走行方式によっても、次のような特徴があります。

走行方式の種類 特徴
クローラー式(キャタピラ)
  • 柔らかい地面や斜面での安定性が高い
  • 泥や砂地などの不整地での作業に最適
  • 移動速度が遅く、長距離の移動には向かない
  • 公道走行はできない
ホイール式(タイヤ)
  • 舗装された道路や平坦な地形での作業に適している
  • 軟弱な地盤では、走行性や安定性が低くなる場合がある
  • 公道走行ができ、作業現場間を移動する場合に便利

また、トラックでバックホウを運ぶ場合は、荷台の大きさと最大積載量を必ず確認しましょう。積載量を超えて積むと道路交通法違反になるため、事前確認が重要です。

2.用途に必要な掘削能力を備えている

サイズだけではなく、機種の能力も重要です。作業内容に対して機械のパワーが不足していると、土砂を十分にすくえず、掘削に時間がかかって非効率です。また、無理に使い続けると、機械が故障するおそれがあります。

必要な掘削能力は、カタログに載っている「バケット容量」「定格出力」「バケット掘削力」「アーム掘削力」などの数値で確認できます。

確認したい掘削能力 説明
バケット容量 一度に掘削できる量で、容量が大きいほど掘削効率が高い
定格出力(エンジンの出力) 機械が安全に発揮できる最大のパワーで、硬い地盤や重い土を扱う現場で重要
バケット掘削力 バケットの「すくい取る力」で、固い土や砕石を扱う作業で重要
アーム掘削力 アームの「引き寄せる力」で、深掘りや強い引き込みが必要な現場で求められる

作業内容に対して余裕のある出力を持つ機種を選びましょう。

3.掘削に必要な作業範囲(アームが届く距離と深さ)がある

アームやバケットが「どこまで届くか」という可動範囲を事前に確認することも、選ぶ際のポイントです。作業範囲が足りないと、何度も機械を移動させる手間がかかるため、人手や時間が必要になる恐れがあります。

【掘削半径とは】

  • アームを最大限に伸ばしたときの水平距離で、広い範囲を一度で作業したい現場で重要

【掘削深さとは】

  • バケットの爪先が届く最大の深さで、配管埋設や基礎工事など「深さ」が必要な作業で重要

事前に「必要な深さ」「必要な横幅(距離)」を把握し、それに見合ったスペックの機種を選ぶようにしましょう。

用途に適したバックホウを活用したいならレンタルがおすすめ

バックホウは、土木工事・解体・農作業・災害復旧など、さまざまな現場で活躍する汎用性の高い重機です。

一方、バックホウを購入する場合は本体価格が高額であり、導入時には多額の初期投資が必要となります。また、購入後も点検や修理、保管場所の確保などのランニングコストが発生します。

そこで提案したいのが、レンタル活用です。必要な期間だけ借りられ、むだなコストをかけずに導入できるのがレンタルならではの魅力です。さらに、整備された状態で届けられ、故障時にも代替機の手配ができるため、現場の作業を止めずに続けられます。

レントでは、狭い場所で使える小型タイプから、多機能なクレーン付きモデルまで、幅広いバックホウを取りそろえています。コストを抑えながら、現場に最適なバックホウを利用したいとお考えの方は、以下からお気軽に見積もりをご依頼ください。

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