「掘削機(くっさくき)」とは、土砂や岩石を掘ったり削ったりするための建設機械です。特に広く使われているのが、いわゆるショベルカーと呼ばれる「バックホウ」で、道路工事や住宅地の整備、配管工事など身近な場所で目にすることができます。そのほかにも、深い縦穴を掘るクラムシェルなど、作業内容に応じて適した機種が分かれています。
本記事では、掘削機の基本的な役割や、代表的な種類、必要な免許についてまとめました。最適な種類の選び方まで解説しているので、最後までご覧ください。
産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、掘削機のなかでも狭い現場で活躍するミニバックホウや、クレーン付きタイプを取り扱っています。どの機種が合うか迷う場合は現場に合わせてご提案しますので、以下よりご相談ください。
掘削機(くっさくき)とは

掘削機(くっさくき)とは、土砂や岩石を掘り進めたり、削り取って積み込んだりするために使われる建設機械です。
「掘削」とは、地面や岩盤を掘ったり削ったりして、穴をあけることを指します。住宅の基礎工事で地面を掘る作業や、道路の建設、地下資源の採取、トンネル工事など、幅広い現場で欠かせない工程です。
掘削機は種類によってさまざまな作業に対応できます。用途によって適した機械が異なるため、現場に合わせた選定が重要です。
掘削機の種類
ここでは、現場でよく使われる代表的な5種類の掘削機を解説します。

| No. | 種類 | 説明 |
| 1 | バックホウ | 土砂を掘削して積み込む |
| 2 | クレーン付きバックホウ | 土砂を掘削して荷物を吊り上げ運搬する |
| 3 | クラムシェル | 垂直に深く掘削する |
| 4 | ホイールローダー | 土砂をすくって持ち上げ運搬する |
| 5 | シールドマシン | 地盤を横に掘り進む(トンネル工事などで活躍) |
それぞれの特徴を紹介します。
1. バックホウ

最も多くの現場で使われている代表的な掘削機が、バックホウです。「油圧ショベル」「ショベルカー」「ユンボ」など、メーカーや現場によってさまざまな呼び方がありますが、いずれも同じ機械を指します。
油圧の力でアームやバケット(先端の土をすくう部分)を動かし、操縦者の方へ引き寄せながら土砂を掘り取るのが特徴です。
【バックホウの主な用途】
- 地面を掘る(掘削作業)
- 掘った土砂をダンプトラックへ積み込む
- 地面を平らにならす(整地)
- 建物を破砕して解体する
- 丸太をつかんで運搬する
アームの先端に装着するアタッチメントを交換することで、掘削に加え、物をつかむ・壊す・地面をならすなどにも対応できるようになります。
1台でさまざまな作業に対応できるバックホウについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
バックホウは、土砂を「掘る」「すくう」「ならす」といった作業ができる重機です。多くの工事現場で活躍しており、道路工事・建設工事・災害復旧など、あらゆる現場で活躍します。 本記事では、バックホウの基本的な仕組みや種類の解説、選び方のポイ[…]
2. クレーン付きバックホウ

クレーン付きバックホウは、バックホウの機能に加えて、「荷物を吊り上げる機能」を持つ重機です。掘削作業と荷物の吊り上げを1台でできるため、現場の重機台数を減らし、作業効率を上げられます。
【クレーン付きバックホウの主な用途】
- 掘削後に配管を吊って設置する
- マンホール部材や側溝ブロックなど重量物を吊り下ろす
- 災害現場で瓦礫や倒木を撤去する
ただし、吊り上げ作業を実施する場合は別途クレーン操作・玉掛けなどの講習が必要となるため、事前に確認しましょう。
クレーン操作に関する資格については以下の記事をご覧ください。
建設現場などでクレーンを操作するには、法律で定められた免許・資格が必要です。クレーンには、クレーン車などの移動式クレーンと、工場内に設置されている固定式クレーンがあり、種類やつり上げ荷重によって操作に必要な資格が異なります。 本記事で[…]
3. クラムシェル

先端に2枚貝のような形をしたバケットが付いたクラムシェルは、縦に深く掘る作業が得意な掘削機です。
UFOキャッチャーのように開いたり閉じたりしながら土砂を挟み取るようにして掘削します。
【クラムシェルの主な用途】
- バックホウでは届かない深い穴をまっすぐ掘る(マンホールなど)
- トンネルの入り口付近での掘削
- 土留め工事(掘削した穴の側面が崩れないようにするための工事)の溝を掘る
- 川底や海底にたまった土砂を取り除いて水深を維持する
- ダムや河川に溜まった土砂を除去して水の流れを改善する
トンネル工事やマンホール設置、浚渫など、専門的な工事で主に使われます。
4. ホイールローダー

「タイヤショベル」と呼ばれることもあるホイールローダーは、地面の土砂や砕石をすくって持ち上げ、運んだり積み込んだりする作業に特化した機械です。
車体の前方にある大きなバケットで、効率よく材料を移動させます。
【ホイールローダーの主な用途】
- 掘削された土砂をダンプトラックへ積み込む
- 砂利や砕石をまとめて運搬する
- 除雪して集めた雪を片付ける
- 災害現場で土砂や瓦礫を処理する
キャタピラー(クローラー)ではなくタイヤで走行するため移動が速く、公道を走行できるモデルが多い点も特徴です。
5. シールドマシン

シールドマシンは、地下でトンネルを掘り進める専門の重機です。巨大な円筒状の本体の先端に回転刃が付いており、地盤を掘りながら前へ進みます。
同時に、掘った部分の壁を組み立てていくため、周囲の地盤が崩れにくい仕組みになっています。
【シールドマシンの主な用途】
- 地下鉄のトンネル工事
- 上下水道の本管工事
- 電気・通信ケーブルの共同溝(地下トンネル)工事
- 高速道路の地下トンネル工事
軟弱な地盤でも安全にトンネル工事をおこなうために欠かせない、大型の掘削機です。
掘削機の操作や走行に必要な免許・資格

掘削機の操作や走行には、法律で定められた資格や免許が必要です。ここでは以下の2つにわけて紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 操作に必要な資格
掘削機を現場で操作するためには、機体の重量(機体質量)が3t以上か3t未満かによって、取得すべき資格が異なります。
| 機体の重量 | 資格 |
| 機体質量3t未満の掘削機 | 小型車両系建設機械運転特別教育 |
| 機体質量3t以上の掘削機 | 車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習 |
機体質量3t未満の掘削機の操作に必要な「小型車両系建設機械運転特別教育」は、18歳以上であれば誰でも受講できます。学科(7時間)と実技(6時間)の講習で構成されており、試験はありません。
一方、機体質量3t以上の掘削機には、「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習」が必要です。指定の教習所で学科・実技を受け、修了試験に合格することで取得できます。かかる時間は、保有している資格及び業務経験によって異なります。
なお、クレーン機能で荷物を吊り上げる場合には、作業内容に応じて専門の講習や資格が必要です。
【お問い合せ先 レント教習センター TEL:054-265-2320】
2. 公道の走行に必要な免許
掘削機で公道を走行する場合は、操作資格とは別に、道路交通法にもとづく運転免許が必要です。必要な免許は、機械の大きさや最高速度で決まります。
| 対象となる掘削機 | 免許の種類 |
|
小型特殊自動車免許
※普通免許・準中型免許・中型免許・大型免許を持っていれば追加取得は不要 |
| 上記の小型特殊の条件を1つでも超える掘削機 | 大型特殊自動車免許 |
表の条件をすべて満たす掘削機(パワーショベル、クラムシェルなど)は、小型特殊自動車免許が必要です。ただし、普通免許・準中型免許・中型免許・大型免許のいずれかを持っている方は、あらためて小型特殊免許を取得する必要はなく、そのまま小型特殊自動車を運転できます。
大型特殊自動車に分類されるのは、小型特殊自動車の条件を1つでも超えた掘削機で、大型特殊自動車免許が必要です。
大型特殊自動車免許が必要な掘削機を具体的にいうと、以下のような掘削機が該当します。
- サイズが大きい掘削機
- 速度が15km/hを超える建設機械
- 中型〜大型ホイールローダー など
なお、キャタピラー(クローラー)式の掘削機は、舗装路を傷つけるおそれがあるため、原則として公道を自走できません。現場間を移動させる場合は、トラックに積んで運搬する必要があります。
掘削機の選び方
自社の現場に掘削機を導入する際、最適な種類を選ぶために重要なポイントは以下の3つです。

1つずつ解説します。
1. 作業内容に合った機能を持っている
現場に合った掘削機を選ぶには、まず 「どのような作業をおこなうのか」 を具体的にしましょう。作業内容によって、必要な機能や適した機種が変わるからです。
例えば、地面を掘る作業が中心であれば、掘削力やバケット容量を重視し、バックホウを選びます。一方で、掘削とあわせて吊り作業もおこないたい現場では、クレーン付きバックホウが適しています。
また、大量の土砂を短時間で積み込みたい場合は、大容量バケットを備えた大型バックホウやホイールローダーが効率的です。
このように、作業内容を具体的に整理すると、必要な能力を持つ掘削機が自然と絞り込めます。
2. 現場の環境や広さに適している
掘削機を選ぶ際は、地盤の状態、搬入経路の幅、周囲との距離などを確認しましょう。
現場の環境に合った機種を選ばないと、作業効率が下がったり事故につながる恐れがあります。
【現場の環境に適した選び方の例】
- 広い現場・大規模工事:高出力でバケット容量の大きい大型掘削機を選ぶ
- 狭い現場・住宅地:小回りが利き、後方の旋回スペースを取らない小さいミニバックホウを選ぶ
- 傾斜地・ぬかるみ:接地面積が広く安定性の高いキャタピラー式の掘削機を選ぶ
- 移動距離が長い現場:機動性の高いホイール式(タイヤ式)の掘削機を選ぶ
現場条件を正しく把握すれば、安全性と作業スピードのどちらも確保できます。
3. 安全性や環境規制に合っている
安全性や環境規制への対応も、掘削機選びの重要な判断基準です。建設機械は重量が大きく、扱いを誤ると重大事故につながるため、現場ごとに安全基準や環境基準が細かく決められているケースが多いからです。
さらに、国土交通省は「排出ガスの削減」や「騒音・振動対策」を進めており、それに対応した機械でなければ現場に持ち込めない場合があります。特に住宅街の工事などでは、基準が厳しい傾向があります。
選定時に確認したいポイントは以下のとおりです。
【選定時に確認すべきポイント】
- 排出ガス規制に適合しているか?
- 安全装置が備わっているか?
- 元請けの安全基準を満たしているか?
- 周辺環境に配慮できるか?
このように、安全基準や環境規制に合っているかを事前に確認しておけば、元請けから使用を認めてもらいやすくなり、作業開始までの工程をスムーズに進められます。
また、安全性の高い機種を選ぶことで、転倒や衝突といった事故リスクを減らせるうえ、周辺環境への負荷も抑えられます。
用途に最適な掘削機を用意するならレンタルがおすすめ

現場ごとに必要な掘削機を用意したい場合や短期間の工事である場合は、レンタルの活用がおすすめです。
レンタルなら、必要な期間・必要な台数だけ借りられるため、大きな投資をせずに導入できます。また、整備した状態で届くため、日常のメンテナンスや故障時の対応を自社で負担する必要がありません。万が一、故障した場合も、迅速に修理や代替機の手配を受けられるため、工事の遅れを防げます。
レントでは、掘削機のなかでも特に利用頻度の高いバックホウを多数ラインナップしています。例えば、後ろを気にせずに作業ができる後方小旋回バックホウや、クレーン付きバックホウ、環境に配慮した電動式ミニバックホウなどがあり、現場のニーズに合わせた選択が可能です。まずは以下よりお気軽に見積もりを依頼ください。