日野屋株式会社 東日本ブロック 静岡支店 支店長
小長谷 隆典氏
日野屋株式会社 営業企画部 営業企画課 課長代理
田中 健太氏
株式会社レント 営業本部 営業部 部長代理
江塚 英史氏
年々厳しさを増す日本の夏。2025年6月には職場での熱中症対策が義務化され、屋外で働く建設・土木の現場では「いかに作業者を暑さから守るか」が、これまで以上に重要なテーマになっています。
とはいえ、すべての現場にエアコンの効いた休憩所を用意できるわけではありません。狭い住宅現場、足場の組みにくい高所、電源を引きにくい場所など、「冷やしたくても冷やせない」現場の声は少なくありません。
そんな課題に応える新たな選択肢が、冷房付き個室休憩所「アイシングシェルター」です。外部からの電源引き込み工事も大型の設置作業も不要で、トラックに積んでそのまま現場へ運べる手軽さが特長です。今回は日野屋の小長谷氏・田中氏と、レントの江塚氏に、アイシングシェルターの特長とレンタルならではの価値を聞きました。
猛暑の現場で外気温より10度以上低い環境を実現。冷房付き個室「アイシングシェルター」
――まずは日野屋様の事業内容を教えてください。
小長谷氏:日野屋は、建設現場や各施設における仮設・常設のトイレやシンク・シャワーなど水まわりの設備、建設・建築関連資材を、製造・販売・レンタルをおこなう企業です。弊社は日本で初めて仮設トイレを開発した企業としても知られており、おかげさまで2026年には創業74周年を迎えました。
――アイシングシェルターとはどのような製品なのでしょうか。
小長谷氏:ひとことで言うと「冷房を効かせた一人用の個室休憩所」です。猛暑時でも、作業の合間に中へ入っていただければ短時間で身体を冷やし、リフレッシュすることが可能です。利用時間はお一人あたり5〜10分程度を想定しています。

田中氏:パイロット機の実験結果では、外気温とアイシングシェルター内で10〜15度ほどの温度差が得られました。加えて、夏場の作業員さんはいわゆる「空調服」を着用されているケースがほとんどですから、ファンを通してエアコンの涼風を身体に浴びることでより涼しさを体感していただけます。
仮設トイレ開発メーカーのノウハウを活かした「一人用」という発想
――アイシングシェルターの開発はいつ頃から始まったのでしょうか。
小長谷氏:本格的に動き出したのは、2024年の後半からです。住宅をはじめとする建設現場から「大きな休憩所が設置できない現場にも、身体を冷やす設備がほしい」という要望が増えてきたことがきっかけでした。そこで、日野屋が得意とする仮設トイレの寸法やノウハウを活かした「個室タイプの休憩所」を発案したのです。

――あえて「一人用」にした狙いを教えてください。
小長谷氏:広いスペースが確保できる現場であれば、エアコン付きのユニットハウスが置けますので、そこは完全に棲み分けを考えました。狭い土地や大型ハウスが搬入できない現場でクールダウンする場所を作るなら、やはりサイズの小さい一人用が最適です。
田中氏:価格を抑えられる点も、一人用にした理由のひとつです。一台あたりの導入ハードルを下げることで、より多くの現場に行き渡らせたいという狙いがあります。
江塚氏:現場では事務所にエアコンを効かせるのが一般的ですが、住宅建設のほか高速道路や線路上、鉄塔工事など、事務所を構えるスペースがない現場は意外と多いんです。そこをすぐ補えるのがアイシングシェルターの強みですね。
義務化時代の熱中症対策に、アイシングシェルターが向いている現場
――2025年6月、厚生労働省から職場の熱中症対策義務化が施行されました。各企業が対応する上で、アイシングシェルターはどのように役立ちますか。
江塚氏:厚生労働省の指針では、熱中症が疑われる人がいたら「涼しい場所へ避難させる」「衣類を緩めて身体を冷やす」という応急処置が求められています。しかし実際の現場に涼しい場所が必ずしもあるとは限りませんよね。アイシングシェルターは「涼しい場所」を用意し、エアコンで身体を冷やすという、義務化で求められる応急処置をそのまま実行できる設備なんです。
小長谷氏:アイシングシェルターを設置してあること自体が、その企業や現場が対策に注力している証になりますし、発注者や近隣に対しても熱中症対策・安全配慮の姿勢を示すアピールポイントになるはずです。
――アイシングシェルターが特に役立つのは、どのような現場でしょうか。
江塚氏:圧倒的におすすめなのが「狭い現場」です。ユニットハウスの場合は設置用のユニック車が入れるスペースが必要ですが、アイシングシェルターは簡易的にどこでもポンと置けるのが最大のメリットといえます。
次に「電源を確保しにくい現場」にも適しています。山中のケーブル設置工事現場などはそもそも電気が通っていないケースもありますし、電気の通っている場所でも、電源工事は有資格技術者を手配しなければおこなえません。アイシングシェルターは一般的な発電機だけで動くため、そうした手間が一切かかりません。
3つ目は「設備を車載したい現場」です。例えば高速道路や鉄道のスポット工事では、工事道具・トイレなどをトラックに積んで、工事箇所に合わせて移動していきます。休憩所がわりの大きなコンテナハウスを積むとトラック一台が埋まってしまいますが、アイシングシェルターはコンパクトなため、ほかの荷物やトイレと一緒に車載可能で、作業員が拠点まで戻る必要がなくなるんです。

田中氏:同じように、大規模な工場やイベント会場の現場では「休憩所が遠すぎて戻れない」という声をよく聞きます。広い敷地になると休憩所まで歩いて10分以上かかることもあり、短い休憩時間が移動でつぶれてしまうのも悩みの1つですが、アイシングシェルターなら作業エリアのすぐ近くに置ける点も評価されています。
タワーマンションや高層のオフィスビル・商業施設の上階など上がり下りが大変な場所、ユニットハウスが置けない場所でも役立つと考えています。
外部からの電源引き込み工事も大型設置も不要。従来の対策との違い
――アイシングシェルターは、テントやユニットハウスを置く・スポットクーラーを使うといった従来の対策とはどう違うのでしょうか。
江塚氏:よく見かける、大きなテントの中にスポットクーラーで冷気を送り込む製品は、基本的に雨天NGです(テント外に設置する一般的なスポットクーラーは水分(雨)NG)。屋外で使うと、雨に濡れて破損したり、強風で倒れたり、外の熱風が入り込んだりするリスクがあります。
その点、アイシングシェルターは屋外使用を前提とした全天候型で、急な雨や突風などが予想される夏の屋外の現場でも仮設トイレとまったく同じ感覚で使用できます。

――冷蔵庫の冷却システムを利用し、強力に冷やす個室タイプの製品もあると聞きました。
江塚氏:はい。ただし強力な冷却力のぶんコストも上がり、アイシングシェルター約5台分の単価が予想されます。アイシングシェルターも十分に冷えますから、現場の費用対効果を考えると、複数人が使える台数を確保できる方が喜ばれるケースが多いですね。現場の状況に応じて選んでいただければと思います。
――軽量化も強みとのことですが、やはり仮設トイレのノウハウが活きているのでしょうか?
田中氏:そのとおりです。弊社の仮設トイレは発売当初は鉄製で「重くて錆びる」という課題がありました。それを改良し続けて樹脂製にたどり着いた経緯があり、その「軽くて耐久性に優れた樹脂」のノウハウを、そのままアイシングシェルターに活かしています。この技術があるからこそ、軽さと頑丈さを兼ね備えた製品を実現できています。
――「レントオリジナルデザイン」として、大きく「熱中症対策」と書かれていますね。これには何か狙いがあるのですか?

小長谷氏:アイシングシェルターは、ぱっと見ると仮設トイレとよく似た形状ですが、こうして壁面に「熱中症対策」と明確にわかるデザインを施すことで、熱中症対策に力を入れている施工会社だと誰の目にもわかります。施主様にも安心していただき「この会社にまた頼もう」という信頼につながると考えています。
江塚氏:会社として費用をかけて安全に配慮している姿勢は企業イメージの向上につながりますし、「働く人を大切にする会社」という点で求人・採用面でもプラスに働くと考えています。
メーカー×レンタルのタッグで、より多くの現場の課題解決を

――今回の両社の協業は、どのような経緯で始まったのでしょうか。
小長谷氏:ある展示会に参考出展した際の来場者アンケートで、アイシングシェルターにもっとも注目してくださったのがレントさんでした。そこで、レンタル商品の1つとしてアイシングシェルターの取り扱いを打診しました。弊社はもともと住宅現場がメインで、土木や建築の分野には弱さがありましたが、レントさんと組むことでより幅広い現場に商品を届けられると考えたんです。
江塚氏:全天候型で軽く設置場所を選ばないという強みを知って、これは全国のあらゆる現場に使えるぞとレントの中でも期待が高まりました。国の熱中症対策義務化による施工会社からのニーズの高まりも受け、2026年5月から正式にレントでのアイシングシェルターのレンタル取り扱いを開始しました。
――導入にあたって、レントから出した要望はありましたか。
江塚氏:まさにそれが最大のポイントで、「外部からの電源引き込み工事を不要にしてほしい」という点を絶対条件としてお願いしました。従来この種の設備において最大のネックであった電源引き込み工事は、工期に影響するほかお客様にとっても費用負担が生まれます。そこをクリアし、家庭でドライヤーを使うように、コンセントを差せば誰でもすぐ起動できる仕様を実現していただきました。
――購入ではなくレンタルで提供する理由を教えてください。
江塚氏:最大の理由は保管場所です。アイシングシェルターは夏期の数ヵ月しか使わない設備で、冬場の保管場所を確保するのは各社にとって悩ましい点です。そこをレンタルなら解消できます。加えて、必要な台数はその時々で変動します。確実に必要な分は購入でもよいのですが、それ以外のピーク時の増減をレンタルで吸収する、という考え方をおすすめしています。
小長谷氏:仮設トイレは年間を通して使いますが、アイシングシェルターは間違いなく夏のシーズン物です。保管の問題を考えると、レンタルと非常に相性のよい商品だといえます。
この夏、現場へ「安全」という価値を届けたい
――すでに導入された現場からの反響はいかがですか。
小長谷氏:ここまでにパイロット版として10〜20箇所の現場に導入したところ、大変反響があり、今年は100現場規模でのご要望をいただいています。大手住宅メーカーからもお声がけいただくなど、レントさんに展開いただいた途端、引き合いが一気に増えました。正直、供給が追いつかないほどの状況です。
――それは素晴らしいですね。では導入検討する際はどのくらい前に相談すればよいでしょうか。
田中氏:搭載しているエアコンの製造体制の都合で、8月頃には在庫が出払ってしまうことも予想されます。できるだけ早めにお問い合わせいただくのが確実です。
江塚氏:もちろんレンタル期間が終了して戻ってくる分もありますので、「もう遅いかな」と思っても、あきらめずお気軽にお問い合わせください。
――最後に、熱中症対策に課題を抱える現場のご担当者へメッセージをお願いします。
小長谷氏:今後ますます夏場の作業の安全性対策は重要になってきます。アイシングシェルターのレンタルは「安全への投資」という発想で考えていただければと思います。ぜひ一度、その涼しさと機能を体験してください。
田中氏:ご希望があれば在庫機を使ったデモンストレーションも可能です。猛暑から作業者を守る選択肢として、ぜひ一度ご相談ください。
江塚氏:国の建設現場向けの猛暑対策の枠組みの中で、こうした熱中症対策設備の費用が計上できるケースもあります。詳しくはレントへお問い合わせください。制度についてのアドバイスやお試しでのレンタルなど柔軟に対応いたします。