トラックのパワーゲートは、重い荷物の積み下ろしを効率化するために欠かせない昇降装置です。
本記事では、創業約40年の産機レンタル会社が、パワーゲートの種類や知っておくべき使用方法などをまとめました。トラックでの荷役作業をより効率的かつ安全に進めたいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、さまざまなタイプのパワーゲート付きトラックをご用意しています。専門家の視点で最適な車種をご提案しますので、以下からお気軽に見積もりを依頼ください。
パワーゲート(テールゲートリフター)とは
パワーゲートとは、トラックの後部に取り付けられた昇降装置のことです。主な動力源は電動モーター、油圧、真空などで、人力では難しい荷物の積み下ろしを効率的におこなうために用いられます。
「パワーゲート®」は極東開発工業株式会社が商標登録している呼び名で、正式名称は「テールゲートリフター」です。トラック業界では「パワーゲート」という呼び方が定着しており、広く使われています。
パワーゲートを使うメリットは、作業の効率化と作業者の負担軽減です。女性や高齢ドライバーも作業しやすく人手不足の解消に役立つうえ、事故や怪我のリスクも減少します。
トラックの荷役作業時は「昇降設備」を設置する義務がある
令和5年(2023年)10月1日に改正された労働安全衛生規則により、最大積載量が2トン以上の貨物自動車には、荷物を積み下ろす際に昇降設備を設置することが義務付けられています。
改正前は5トン以上が対象でしたが、改正により新たに2トン以上のトラックも加わることとなりました。
最大積載量 | 昇降設備の設置義務 |
2t未満 | △ |
2t以上5t未満 | ◯ (令和5年10月に新設) |
5t以上 | ◯ |
※◯:義務の対象 △:望ましい措置
公益社団法人全日本トラック協会によると、トラック運送事業における労働災害は、荷役作業中に発生したものが全体の7割を占めており、原因の40%は荷台への昇降時の転落です。
これを受けて荷台からの転落を防止する対策が強化されたので、十分な安全対策をおこなうことは重要です。なお、昇降設備として認められる設備には以下があります。
- 持ち運びできるハシゴ・脚立・踏み台・足場
- トラックに備え付けられたステップ
- パワーゲート(テールゲートリフター)
パワーゲートは、中間位置で停止させればステップとして使えます。不慮の事故を防ぐためにも、荷役作業の際は必ず昇降設備の有無を確認しましょう。
トラックの昇降設備についての詳細は、以下の記事で解説しているのであわせてお読みください。
>>トラックの昇降設備の設置義務とは?改正内容やおすすめの製品を紹介
パワーゲートの4つの種類
パワーゲートは、大きく分けて4つの種類があります。それぞれの特徴を理解し、運ぶ荷物や作業環境にあわせて選ぶことが重要です。
出典:「トラックでの荷役作業時における安全対策が強化されます。(厚生労働省)」の一部を加工して作成
1つずつ詳しく見ていきましょう。
1.アーム式
アーム式は、車両の両端に取り付けたアームでスイングしながら昇降するタイプのパワーゲートです。
リフトを斜めにできるため、坂道での使用や車輪付き荷物の積み降ろしに適しています。ただし、昇降中に揺れやすいため注意が必要です。
2.垂直式
小型トラックによく見られる垂直式は、両端の垂直レールで上下動するタイプです。揺れが少なく安定性が高いため、ドラム缶やピアノ、大型家具など安定性が求められる荷物を運ぶシーンに向いています。
ただし、プラットホームに角度がつけられないため傾斜地での使用には不向きです。
3.後部格納式
後部扉と一体型になっており、扉を開けると自動的にパワーゲートが作動するものを後部格納式といいます。
大きなプラットホームと強力な昇降力が特徴で、カゴ台車での搬入や自動販売機のような大型機械などの運搬に適しています。
4.床下格納式
床下格納式は、使わないときに車両下に折りたたんで収納できるタイプです。後部格納式とは違い、パワーゲートを使用しなくても後部扉を自由に開閉できる便利さがあります。
ただし、プラットホームが折りたたまれている分、展開するのに時間を要します。
以上のように、パワーゲートにはいくつかの種類がありますがそれぞれ特徴が異なるため、運ぶ荷物や作業環境にあわせて最適な種類を選びましょう。
パワーゲートを安全に使用する5つのポイント
パワーゲートは便利な装置ですが、使用時には重大な事故リスクがあることを認識する必要があります。
厚生労働省の調査によると、パワーゲート(テールゲートリフター)使用時の事故の65%が、「作業者や荷が倒れる・転落する」などの重篤な災害につながる恐れのあるものです。
出典:厚生労働省
不慮の事故を招かないためにも、以下の5つのポイントを徹底しましょう。
【パワーゲートを安全に使用する5つのポイント】
- 法律に従い「特別教育」を受講する
- 積載重量を遵守する
- 保護帽(ヘルメット)を着用する
- 使用上のルールを守る
- 定期的にメンテナンスをおこなう
それぞれ詳しく解説します。
1.法律に従い「特別教育」を受講する
まず、必要不可欠なのが「特別教育の受講」です。パワーゲートを操作する作業者は、必ず特別教育を受けなければなりません。
▼テールゲートリフターを使用して荷を積み卸す作業への特別教育の義務化
テールゲートリフターの操作者に対し、学科教育4時間、実技教育2時間の安全衛生に係る特別の教育を行うことが必要になります。
引用:厚生労働省
なお、事業主は作業者の受講記録を3年間保存する義務があり、違反すると罰則を受ける可能性があります。
2.積載重量を遵守する
次に重要なのは、積載重量の厳守です。各パワーゲートには最大積載量が定められており、これを超えると装置や車両の損傷につながる恐れがあります。
とくに注意が必要なのは、パワーゲートを後付けした場合です。後付けするとトラックの総重量が増加し最大積載量が減少します。これを見落とすと、過積載の状態で走行し事故のリスクが高まるため、必ず確認しましょう。
3.保護帽(ヘルメット)を着用する
荷物の積み下ろし作業には、車両の最大積載量や仕様に応じて作業者が保護帽(ヘルメット)を着用することが義務付けられています。
対象となる貨物自動車は以下のとおりです。
(1)最大積載量が2t以上5t未満の貨物自動車であって、荷台の側面が開放されているもの、または開閉できる「平ボディ車」「ウイング車」など
(2)最大積載量が2t以上5t未満の貨物自動車であって、テールゲートリフターが設置されているもの(テールゲートリフターを使用せずに荷を積み卸す作業をおこなう場合は適用外)
引用:厚生労働省
最大積載量 | (1)荷台側面が構造上解放・開閉可能 | (2)それ以外 |
2t未満 | △ | △ |
2t以上5t未満 ※TGLあり |
◯ (令和5年10月に新設) |
◯ |
2t以上5t未満 ※TGLなし |
◯ | △ |
5t以上 | ◯ | ◯ |
※◯:義務の対象 △:望ましい措置 ※TGL=テールゲートリフター
なお、保護帽は、型式検定に合格した「墜落時保護用」のものを使用する必要があります。
出典:厚生労働省
安全対策を怠らないため、「車両が保護帽の着用対象であるか」「保護帽が要件を満たしているか」をよく確認しておきましょう。
4.使用上のルールを守る
ルールを厳守することは事故を起こさないためにも重要です。以下に、パワーゲートを使用する際の厚生労働省のガイドラインを記載します。
- 地面を背にして後退りしない
- 昇降板上で作業できるスペースを確保する
- 昇降板は揺れやすいので慎重に移動する
- 昇降板等の傾きによる荷の動き出しに注意する
- 昇降板のストッパーを踏みながら運搬しない
- 昇降板の先端部と地面の段差に注意する
- 作業者は原則として昇降板に乗ったまま移動(昇降)しない
- 移動する時は昇降板を地面と荷台の中間で止め、ステップとして昇り降りする
- 昇降板から荷がはみ出さないようにする
- 昇降板から少し離れた横に立ち、昇降板の周辺から目を離さない
- 動作中の昇降版には触らない、近寄らない
引用:厚生労働省
台車を使用する際には、後退りを避け、昇降板の揺れに細心の注意を払うことがポイントです。また、作業は平坦な場所で作業をおこなうことや、三角コーンなどで作業区域を確保して安全対策を講じましょう。
5.定期的にメンテナンスをおこなう
安全運用には、定期的なメンテナンスが欠かせません。ルールどおりにパワーゲート付きの車両を用意して保護帽を着用しても、昇降設備そのものに問題があれば事故が起きる恐れがあります。
使用前に各部品の損傷や変形を目視で確認したり、専門業者による定期的なメンテナンスを実施したりすることで、故障や事故のリスクをできるだけ軽減しましょう。
パワーゲート付きトラックを使用するならレンタルがおすすめ
パワーゲート付きトラックを使用するなら、レンタルの活用がおすすめです。
購入する場合、初期投資やメンテナンスの手間がかかるうえ、案件ごとに荷物の大きさや重さが異なる場合は、複数の車両が必要となり保管場所の確保もしなければなりません。
一方、レンタルなら必要なときに必要な車両を最低限のコストで使用でき、案件に応じて柔軟に対応可能です。
なお、レントでは全国の在庫を一元管理しているため、スケジュールにあわせて必要な車両を準備することが可能です。また、管理センターでの徹底した品質管理や、出荷前の点検も実施しているので、高品質の車両を安心して利用いただけます。
パワーゲート付きトラック作業に必要な「テールゲートリフター特別教育」の受講も実施しているので、「最低限のコストで安全対策を強化したい」とお考えの方は、以下のボタンよりお気軽に見積もりを依頼ください。
レンタルにおすすめのパワーゲート付きトラック7選
ここで、レンタルにおすすめのパワーゲート付きトラックを7つ紹介します。
では、1つずつ見ていきましょう。
1.2tパネルトラック
商品コード | 116459 | 116460 | 116461 | 116500 |
クラス | 2t | 2t | 2t | 2t |
最大積載量(kg) | 2,000 | 2,000 | 2,000 | 2,000 |
乗車定員(名) | 3 | 3 | 3 | 3 |
荷室内寸 全長(mm) | 3,150 | 3,100 | 3,220 | 4,440 |
荷室内寸 全幅(mm) | 1,790 | 1,780 | 1,780 | 2,100 |
荷室内寸 全高(mm) | 1,880 | 1,840 | 1,855 | 2,090 |
パワーゲート | 垂直式 | 垂直式 | 格納式 | 垂直式 |
昇降能力(kg) | 600 | 600 | 600 | 600 |
プラットホーム:長×幅 (mm) | 1,830×1,000 | 2,090×1,070 | 1,610×1,100 | 2,090×1,070 |
運転免許 | 準中型免許(5t限定) | 準中型免許 | 準中型免許 | 準中型免許 |
※表は横にスクロールできます。
パネルトラックは、後方の荷室がアルミ製のパネルで覆われているトラックです。配送業や軽貨物運送など、あらゆる荷物の運搬に対応できます。
商品によって、後部扉のドアの仕様(観音式・キックドア式)や、パワーゲートの仕様(垂直式・格納式)が異なるので、案件に適した車両を選択できます。
2.2tパネルダブルキャブトラック
商品コード | 116490 |
クラス | 2t |
最大積載量(kg) | 2,000 |
乗車定員(名) | 7 |
荷室内寸 全長(mm) | 3,675 |
荷室内寸 全幅(mm) | 2,085 |
荷室内寸 全高(mm) | 2,165 |
パワーゲート | 垂直式 |
昇降能力(kg) | 600 |
プラットホーム:長×幅 (mm) | 835×2,090 |
運転免許 | 準中型免許 |
通常のトラックは、運転席の横に席があるのみですが、パネルトラックに後部座席が付いたダブルキャブトラックは、その後ろにも座席があり最大7人まで乗車することが可能です。
また、垂直式のパワーゲートを採用しているので、安全に荷役作業をおこなえます。
3.3tパネルトラック
商品コード | 116501 | 116498 | 116499 |
クラス | 3t | 3t | 3t |
最大積載量(kg) | 3,000 | 3,000 | 3,000 |
乗車定員(名) | 3 | 3 | 3 |
荷室内寸 全長(mm) | 4,450 | 4,310 | 4,480 |
荷室内寸 全幅(mm) | 2,060 | 2,090 | 2,095 |
荷室内寸 全高(mm) | 2,150 | 2,160 | 2,150 |
パワーゲート | 格納式 | 垂直式 | 格納式 |
昇降能力(kg) | 800 | 800 | 1,000 |
プラットホーム:長×幅 (mm) | 1,240×2,000 | 1,000×2,090 | 1,220×- |
運転免許 | 準中型免許 | 準中型免許 | 準中型免許 |
※表は横にスクロールできます。
3tパネルトラックは、その名のとおり最大積載量が3トンのパネルトラックです。より大きな荷物を運んだり、一度に多くの荷物を乗せられたりできるため、大型配送業や引越し業務で利用されることが多いです。
商品によって、パワーゲートの仕様(垂直式・格納式)、昇降能力(800kg・1,000kg)を選べます。
4.ウイングトラック
商品コード | 116503 |
クラス | 4t |
最大積載量(kg) | 2,800 |
乗車定員(名) | 3 |
荷室内寸 全長(mm) | 6,230 |
荷室内寸 全幅(mm) | 2,390 |
荷室内寸 全高(mm) | 2,310 |
パワーゲート | 格納式 |
昇降能力(kg) | 1,000 |
プラットホーム:長×幅 (mm) | 1,580×2,200 |
運転免許 | 中型免許(8t限定) |
ウイングトラックは、荷台側面のアルミパネルが鳥の翼(ウイング)のように跳ね上がるタイプです。押しボタンひとつで素早く側面が開放するうえ、床下格納式のパワーゲートが付いているので、家具など重量物の積み下ろしに役立ちます。
5.2t平ボディートラック
商品コード | 112249 | 112250 | 112251 |
クラス | 2t/850 | 2tロングボディ/830 | 2tロングボディ/1200/S |
最大積載量(kg) | 2,000 | 2,000 | 2,000 |
乗車定員(名) | 3 | 3 | 3 |
荷室内寸 全長(mm) | 3,100 | 4,340 | 4,340 |
荷室内寸 全幅(mm) | 1,615 | 1,790 | 1,790 |
荷室内寸 全高(mm) | 380 | 380 | 380 |
運転免許 | 準中型免許(5t限定) | 準中型免許(5t限定) | 準中型免許 |
※表は横にスクロールできます。
平ボディートラックも、パワーゲート付きの車両で積み下ろし作業を安全に進められます。フラットで仕切りがない汎用性の高い荷台であるうえ、ドライブレコーダー・ハンドルロックを搭載しているので、あらゆる場面で活躍します。
6.3t平ボディートラック
商品コード | 116433 | 116430 |
クラス | 3t | 3t |
最大積載量(kg) | 3,000 | 3,000 |
乗車定員(名) | 3 | 3 |
荷室内寸 全長(mm) | 4,350 | 4,340 |
荷室内寸 全幅(mm) | 2,085 | 2,085 |
荷室内寸 全高(mm) | 380 | 380 |
最大リフト荷重(kg) | 600 | 800 |
運転免許 | 準中型免許 | 準中型免許 |
※表は横にスクロールできます。
平ボディートラックの3トンタイプです。ロングボディー仕様によって、長尺物はもちろん、さまざまな荷物のサイズや形の運搬ができます。2トンタイプと同様、すべての車両にドライブレコーダー・ハンドルロックを搭載しています。
7.6tクレーン付トラック
商品コード | 112487 |
クラス | 6t |
最大積載量(kg) | 4,800 |
乗車定員(名) | 3 |
荷室内寸 全長(mm) | 6,030 |
荷室内寸 全幅(mm) | 2,140 |
荷室内寸 全高(mm) | 400 |
最大リフト荷重 | 1,000 |
運転免許 | 中型免許 |
※クレーン操縦、玉掛けにはそれぞれ資格が必要です。
荷台とともに簡易クレーンを架装したクレーン付トラックは、クレーンで重いものを持ち上げ、そのままトラックに積み込んで移動できるため、効率の良い作業が実現できます。
また、国土交通省により運用されるNETIS(新技術情報提供システム)に登録された技術を搭載している車両もあります。
パワーゲート付きトラックで作業効率を上げよう
パワーゲートは、荷物の積み下ろしを効率的におこなうために必要な装置です。ただし、作業者や荷物が倒れたり転落したりする事故が多発していることも事実です。使用する際は、記事で紹介したポイントを守って安全に使用するようにしましょう。
パワーゲート付きトラックをレンタルするなら、産業・建設機器のレンタル会社「レント」がおすすめです。レントでは、全国の在庫を一元管理しているので、豊富な在庫から最適な車両を提案いたします。
また「テールゲートリフター特別教育」の受講が可能なうえ、カラーコーンや重量コーンなど、安全作業に必要なアイテムも取りそろえていますので、作業に必要なものをまとめて手配可能です。
万が一の事故に備えられるよう補償制度も充実していますので「安全に作業できるトラックをレンタルしたい」とお考えの方は、いつでもお気軽に見積もりを依頼ください。