「門型クレーン」と「橋形クレーン」は同じクレーンの別称のため、違いがありません。しかし「門型クレーン」と「門型リフター」には違いがあるため、それぞれの特性を理解し作業環境や用途に適した機械を選ぶことが重要です。
本記事では、門型(橋形)クレーンと門型リフターの基本的な違いや選び方を解説します。「自社に適したクレーンを知りたい」とお考えの場合は、ご一読ください。
なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、移動式門型クレーンや門型リフターなどを取り扱っています。専門家による現場に合った機械の提案も可能ですので、安全かつ効率的に作業を進めたい場合は、以下のボタンからお気軽に見積もりを依頼ください。
門型クレーンと橋形クレーンに違いはない
冒頭でお伝えしたとおり、「門型クレーン」と「橋形クレーン」は同じクレーンのことです。門型クレーンは天井クレーンの両端に脚を取り付けた橋のような構造をしており、その形状が門に似ていることからこの名前がつけられました。
一般的には、地上に設置されたレール上を走行するクレーンを指しますが、タイヤなどの車輪で移動するタイプも存在し、大型の工場や野外に設置されているケースが多いです。
どちらの名称を用いるかは会社や現場によって異なりますが、この記事では「門型クレーン」の名称で解説します。
クレーンの種類
クレーン等安全規則によると、クレーンは以下のとおりに分類され、門型クレーンはその分類の1つに含まれます。
項目 | 概要 |
天井クレーン |
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ジブクレーン |
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門型(橋形)クレーン |
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アンローダ |
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ケーブルクレーン |
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テルハ |
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上記以外にも、デリックやスタッカー式クレーン、トラックに搭載された移動式クレーンなど、その種類はさまざまです。このように構造や走行方法、用途によって多様なクレーンが存在しているため、作業内容や環境に適したクレーンを選ぶことが重要です。
門型(橋形)クレーンとは
門型クレーンとは、工場や建設現場などで重量物を運搬するための大型機械を指します。障害物がない環境であれば屋内にも設置できますが、レールを設置するための基礎工事をし屋外で使用されるのが一般的です。
門型クレーンには「普通型」と「特殊型」があり、トロリの構造によって以下の5つに分類されます。
分類 | 形式 | 特徴 |
普通型 | (1)ホイスト式 |
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(2)トロリ式 |
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特殊型 | (3)旋回マントロリ式 |
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(4)ジブクレーン式 |
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(5)引込みクレーン式 |
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このように門型クレーンにはさまざまな分類があるため、用途や作業環境に合わせて適切なタイプを選びましょう。
門型リフターとは
門型リフターとは、油圧シリンダーの伸縮によって重量物をつり上げ、その状態で走行ローラによって移動できる機械のことです。
クレーンはつり上げ作業をおこなう際に広いスペースが必要ですが、門型リフターは室内などの狭い空間でも重量物のつり上げが可能です。建物のなかだけでなく、地下やトンネル内・高架下・橋の下など、通常の機械では対応しにくい環境でも作業ができます。
門型リフターの基本的な使い方は、以下のとおりです。
【基本的な使い方】
- ビーム部分に重量物を吊り下げる
- ブームを伸ばして持ち上げる
- 移動した先で降ろす
なお、門型リフターは分解・組み立てが可能なため、「分解した状態で搬送して現場で組み立てる」といった使い方ができます。キャスター付きのタイプもあるので、さまざまな場所へ簡単に移動できる点も特徴です。
門型クレーンと門型リフターの違い
門型クレーンと門型リフターには以下の違いがあります。
門型クレーン | 門型リフター | |
昇降方法 |
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移動能力 |
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このように門型クレーンと門型リフターは、昇降や移動の方法に違いがあります。荷物をつり上げたまま移動したい場合は門型リフターを選ぶなど、作業内容や環境に合わせて適切なタイプを選択しましょう。
作業に適した門型クレーンや門型リフターを選ぶ基準
門型クレーンと門型リフターのどちらを使うかは、以下の基準に沿って選びます。
順に解説します。
法的な届出の要否
まずは、法的な届出が必要であるか否かを確認しましょう。門型クレーンと門型リフターはクレーン等安全規則で定められているとおり、扱いが異なります。
門型クレーン | 門型リフター |
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門型クレーンの場合は、つり上げ荷重しだいでは管轄の労働基準監督署への設置届が必要になり、導入までに時間がかかります。一方、門型リフターは「せり上げ機械」として分類されるため届出は必要ありません。そのため、急な工事や短期間の作業にも対応しやすいという利点があります。
必要な資格
門型クレーンと門型リフターでは操作に必要な資格も異なるため、注意が必要です。
門型クレーン | 門型リフター |
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門型クレーンは、チェーンブロックを利用するタイプなどはクレーンの資格は必要ありませんが、資格が必要なものもあります。
一方、門型リフターは「せり上げ機械」に分類されるため、資格がなくても操作できるのが利点です。ただし、安全に作業するためには、玉掛けの知識や技術を持つ人による作業が望ましいといえます。
クレーンの資格や玉掛けに必要な講習については、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
>>門型クレーンを扱うための資格とは?必要な免許や講習を詳しく解説
設置に適した環境
門型クレーンと門型リフターは、設置に適した環境にも違いがあります。
門型クレーン | 門型リフター |
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特に大型の門型クレーンは場所を取るため、狭い場所や天井が低い場所、入口が狭い場所などには設置できません。もし設置が難しいことを理由に小型のクレーンを選ぶとパワー不足で荷物が運べなくなるため、注意が必要です。
一方、門型リフターは、分解して搬入できるので狭い場所でも使えます。さらに、高さをあまり必要としないことから、限られたスペースでの作業に向いている機械といえます。
小型の門型クレーンや門型リフターを使用するならレンタルがおすすめ
上記のように、荷物の積み下ろしや機械の運搬などに用いる小型の門型クレーン(移動式)や門型リフターを使用する場合は、レンタルの利用がおすすめです。
門型クレーンと門型リフターは作業内容によって最適な機械が異なるため、設置場所やつり上げる荷物の重量などを考慮して選ぶ必要があります。案件に適した機械をその都度購入するとなれば、導入コストが膨らむだけでなく保管場所も確保しなければなりません。
一方でレンタルなら、必要な期間だけ用途に合った機械を利用することが可能です。さらに、メンテナンスはレンタル会社が担当するため、常に整備された門型クレーンや門型リフターを用いて安全に作業を進められます。
レントでは、移動式門型クレーンや門型リフターなどを全国の在庫からご提案可能です。専門スタッフがメンテナンスした機械をご用意しますので、「限られたコストでも、現場に適した機械で安全に作業したい」とお考えの方は、以下のボタンより見積もりを依頼ください。
レンタルにおすすめの門型クレーンや門型リフター4選
ここからは、レンタルにおすすめの門型クレーンや門型リフターをご紹介します。
順に見ていきましょう。
1. 移動式門型クレーン
※画像は代表商品のものです。
項目 | 詳細 |
許容荷重(t) |
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揚程A(mm) |
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揚程B(mm) |
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高さ調整間隔C(mm) |
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高さ調整段階(段階) |
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ビーム長さD(mm) |
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横行長さF(mm) |
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車輪内幅G(mm) |
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開脚外幅H(mm) |
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収納時高さI(mm) |
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最高高さJ(mm) |
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自重(kg) |
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※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
キャスター付きで手押しで簡単に移動できるのが、移動式門型クレーンです。クレーン上部のガーダー(桁)には横方向に動くトロリが付いているため、吊り荷も左右に移動させられます。
1tタイプや2tタイプ、素材がアルミ製のものなど、さまざまな種類を取りそろえているので、作業環境に合わせて選ぶことが可能です。ほかにも高さ調整のない固定型の門型クレーンも用意しているため、用途に応じて最適なクレーンを選べます。
2. 門型リフター
※画像は代表商品のものです。
項目 | 詳細 |
せり上げ能力(t) |
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ビームスパン(mm) |
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揚程(mm) |
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ブームストローク(mm) |
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リフトハンガー |
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電源(V) | AC200/220(16A以上)×1 |
油圧ユニット |
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機幅 (mm) |
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機高 (mm) |
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総質量 (kg) |
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※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
門型リフターは、最大10tまでの重量物のせり上げができる機械です。レールを走行するため、荷物をつり上げたまま水平移動できます。
さらに、ブームの伸縮はミリ単位で位置調整ができるので細かな作業にも対応可能です。また、専用のリフトハンガーに直接玉掛けできるため、荷を上げ下げできる最大の距離である「揚程」のロスを最小限に抑えられます。
より高い位置や長尺物の運搬にも対応できるよう「かさ上げ」「2門連結」など、さまざまな現場の状況や用途に合わせて設置できる点も特徴です。
3. 移動式門型リフター
※画像は代表商品のものです。
項目 | 詳細 |
せり上げ能力(t) |
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ビームスパン(mm) |
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揚程(mm) |
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ブームストローク(mm) |
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リフトハンガー |
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油圧ユニット |
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機幅 (mm) |
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機高 (mm) |
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総質量 (kg) |
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※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
小型門型リフターは、3.3tから5tまでの重量物をせり上げできる機械です。手押しで移動できるキャスター付きタイプなので、必要な場所へ簡単に動かせます。
ブームの伸縮はミリ単位で調整でき、精密な作業にも対応可能です。また、門型リフターと同じく専用リフトハンガーに直接玉掛けできるため、揚程ロスを最小限に抑えられます。
さらに、溶融亜鉛メッキ処理を施した機種も取り扱っているので、塗装や錆が落ちる心配がありません。そのため、食品や医療関係の現場をはじめとした、クリーンな環境での搬送・据え付け作業に適しています。
かさ上げ台やビームの種類も豊富なので、さまざまな環境へ柔軟に対応可能です。
4.門型油圧リフター(配電盤用)
※画像は代表商品のものです。
項目 | 詳細 |
せり上げ能力(t) |
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揚程(mm) |
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ブームストローク(mm) |
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ビーム長さ (mm) |
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ジャッキスパン(mm) |
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ハンガースパン調整範囲 (mm) |
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リフトハンガー |
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サブビーム横行範囲 (mm) |
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前後調整範囲 (mm) |
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油圧ユニット |
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質量 (t) |
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※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
門型油圧リフター(配電盤用)は配電盤用に特化した4点吊り設計で、安定した運搬が可能です。また、手押しで移動できるキャスター付きタイプなので、必要な場所へ簡単に動かせます。
さらに、360度旋回が可能なため、狭い場所での取り回しもスムーズです。
安全帯フック掛けやステップ、移動の際に配電盤の振れを抑える振れ止めサポートも付いているため、より安全に玉掛け作業を進められます。
作業に適した門型クレーン・門型リフターを選ぼう
門型クレーンと橋形クレーンは呼び方が現場によって異なるだけで、機械そのものに違いはありません。一方、門型クレーンと門型リフターは昇降や移動の方法が異なります。
門型クレーンや門型リフターを選ぶ際は、必要な届出や資格、設置する現場の環境などを考慮したうえで、案件に合った製品を選びましょう。
なお、安全かつ効率的に作業を進めたいと考えているなら、レンタルがおすすめです。レンタルであれば、最低限のコストで案件にぴったり合う機械を用意でき、専門家へ現場に合う門型クレーン・門型リフターの相談もできます。
産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、さまざまな種類の門型クレーンや門型リフターを取り扱っています。「現場に合った門型クレーンや門型リフターをレンタルしたい」とお考えの方は、以下のボタンからお気軽に見積もりを依頼ください。