電動チェーンブロックは、重い荷物を効率的かつ安全に吊り上げたいときに活躍する機器です。ただし、種類が多いうえ注意点がいくつかあるので、安全に使用するには適したものを選ぶことが重要です。
本記事では、電動チェーンブロックの基礎知識からおすすめの商品まで詳しく解説します。「種類ごとの違いを知りたい」「現場に合う機種をレンタルしたい」とお考えの方は、ぜひご参考ください。
産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、さまざまな種類の電動チェーンブロックを取り扱っています。専門家が相談に対応しているので、以下のボタンからお気軽にご相談ください。
電動チェーンブロックとは
電動チェーンブロックは、重量物を効率的に上げ下げするための機器です。天井の梁(はり)やクレーンの先端に取り付け、フックで吊るし、モータでチェーンを巻き上げて移動します。
巻き上げたチェーンを「チェーンバケット」に格納するため、本体がコンパクトになり現場に持っていきやすい点が特徴です。
建設現場で資材の搬送から、工場、イベントの設営などさまざまな場面で活躍しており、以下のような現場にはとくに重用されます。
- 昇降装置がない現場
- 天井が低い現場
- 横方向を最大まで活用したい現場
なお、チェーンブロックには、電動タイプの他に手動で使用するタイプがあります。手動タイプのチェーンブロックについての詳細は以下の記事で解説していますので、併せてご一読ください。
>>手動チェーンブロックとは?レンタルのポイントやおすすめの商品を紹介
電気チェーンブロックの取り付けイメージ
前述のとおり、電動チェーンブロックは天井の梁やクレーンの先などに取り付けて使用します。単体では上下移動しかできませんが、横行装置(トロリ)と組み合わせることで荷物の水平移動が可能です。
電気チェーンブロック単体で使う場合と、横行装置を組み合わせた場合の取り付けイメージとして以下があります。
種類 | 概要 |
電動トロリ |
|
ギヤードトロリ |
|
プレントロリ |
|
良く用いられる横行装置は上記の3種類があり、それぞれ特徴が異なるため用途に応じて選択することが重要です。
電動チェーンブロックをレンタルする3つのメリット
電動チェーンブロックをレンタルするメリットは、以下のとおりです。
それぞれ解説します。
1.案件に適した電気チェーンブロックを選べる
1つ目のメリットは、案件に適した電動チェーンブロックの機種を選べる点です。
電気チェーンブロックは、持ち上げたい荷物の重さによって最適な機種が異なります。レンタルなら、その場その場に適した機器を選べるため効率的に作業を進めることが可能です。
また、レンタル会社では、使う機種に迷った場合に現場の状況をヒアリングしたうえで最適な機種を提案してもらえることがあります。こういった、知識のあるプロに相談できる点もレンタルならではの魅力です。
2.メンテナンス費用をカットできる
レンタルすることで、メンテナンス費用の削減も期待できます。
電動チェーンブロックは重量物を扱う機器であり、事故を起こさないためには定期的な点検や整備が欠かせません。
レンタル会社では、専門知識を持つスタッフが定期的に点検・整備を実施しているため、自社でメンテナンスをおこなう必要がなくコストを省けます。
3.まとまった導入費用を確保する必要がない
最低限のコストで電動チェーンブロックを用意できる点も、レンタルするメリットです。
案件ごとに電動チェーンブロックを購入すると、購入費用が膨らんでいきます。さらに、保管場所の確保などが必要なうえ、在庫を管理するスタッフの人件費なども考慮しなければなりません。
一方、レンタルなら必要な期間分だけコストが発生するため、最低限の費用で案件に適した機器を用意できます。
もちろん、引き受ける案件の要件がいつも同じであれば、購入した方が経済的な場合があります。そのため、自社ではどのような案件を良く受けているか確認しておくと安心です。
電動チェーンブロックを選ぶ5つの基準
電動チェーンブロックを選ぶ基準を以下の5つに絞って解説します。
では、1つずつ見ていきましょう。
1.現場で必要な電源を確保できる
電動チェーンブロックは、動力となる電源の確保が必須です。電源がない場所では使用できないため、まずは使用する現場の状況を確認しましょう。
電動チェーンブロックの電圧は、以下のいずれかです。
- 100V:一般家庭でよく用いられる
- 200V:工場など大型施設でよく用いられる
もしコンセントがない屋外で使用するなら、必要に応じて発電機などの準備も検討しておきましょう。
発電機の詳細は以下の記事で解説していますので、こちらも参考にしてください。
2.吊り上げる荷物の重さと定格荷重が適している
電動チェーンブロックの定格荷重が、吊り上げる荷物に適していることも重要です。定格荷重とは、電動チェーンブロックが安全に持ち上げられる最大の重さを指します。
出典:厚生労働省
(5) 定格荷重
定格荷重とは、移動式クレーンの構造および材料ならびにジブの傾斜角および長さに応じて負荷させることができる最大の荷重から、フック、グラブバケット等のつり具の質量をそれぞれ差し引いた荷重をいう。引用:厚生労働省
定格荷重はJIS(日本工業規格)によって定義されており、電動チェーンブロックの仕様表に記載されています。
定格荷重を超える荷物を吊り上げると、故障や重大な事故へとつながりかねません。電動チェーンブロックの定格荷重は製品によって幅広いので、作業前に必ず荷物の重さを確認し適切な機種を選ぶことが重要です。
3.荷物を吊り上げる高さと揚程が適している
次に確認しておくべき点は、荷物を吊り上げたい高さと揚程が適していることです。揚程(ようてい)とは、吊り上げ可能な高さを指します。
吊り上げたい高さまで荷物を持ち上げられなければ、予定している作業を進められません。また、揚程が適していないのに無理に吊り上げると、電動チェーンブロックが破損し荷物が落下する恐れもあります。
そのため製品を選ぶ際は、建物の天井高だけでなく、梁や配管などの障害物も考慮して揚程を選びましょう。
4.想定している連続運転に耐えられる
電動チェーンブロックはモータを使用しているため、連続した運転にどれくらい耐えられるか把握しておくことも重要です。
電動チェーンブロックには、安全な連続運転の目安となる「時間定格」が設定されています。時間定格とは、電動機の作動によって発生する熱が、電動機や絶縁材が許容できる温度を超えないと考えられる運転時間や運転頻度を表す基準です。
JIS B8815では、安全に使用できる目安となる短時間定格と反復定格が定められています。
- 短時間定格:連続運転が短時間に集中した場合にどのくらい運転を続けられるかを指す
- 反復定格:モータの負荷運転と停止を一周期とした場合、その周期を繰り返すとどれくらい運転できるかを指す
上記を確認せずに、頻繁な起動と停止を繰り返す作業をおこなった場合、モータが焼損する可能性があります。作業の中断を防止するだけでなく安全に進めるためにも、使用前に確認しておくことが重要です。
5.現場で安全に使用できる機能が備わっている
事故を防止するためには、電動チェーンブロックに安全機能が備わっているかどうかもチェックしておきましょう。安全機能には、以下のような機能が挙げられます。
【安全機能の例】
- 過巻防止機構
- 非常停止ボタン
- 2重ブレーキ
- 逆相防止装置
- 強度・耐久性のあるロードチェーンを使用
また、現場の状況によっては、以下のような機能が備わっているとより安心です。
【機能例】
- チェーンガイド:ロードチェーンの流れをスムーズにする
- 冷却フィン:モータフレームの温度上昇を軽減し、頻繁な作業できる
- 低騒音ギヤ:病院や住宅などが隣接している現場での騒音を防ぐ
- 防塵・防水構造:塵埃の多いところや、屋外でも使用できる
安全機能があると、操作性が上がり作業効率をアップできるだけでなく、安全に作業を進められます。重い荷物を吊り上げる現場では作業者の命にかかわる事故が発生するリスクがあるため、使用する機器を慎重に選びましょう。
電動チェーンブロックをレンタルするときの3つの注意点
ここでは、電動チェーンブロックを使用する際の注意点を紹介します。
では、ひとつずつ解説します。
1.作業に適した機種をレンタルする
1つ目の注意点は、作業に適した電動チェーンブロックを選ぶことです。建築資材や設備など吊り上げる荷物は多様なので、安全に作業を進めるためには作業ごとに最適な機種を選ぶ必要があります。
また、横行装置(トロリ)は、電動チェーンブロックとセットで借りられる場合もあれば、別途レンタルが必要なケースもあるため、レンタル会社に確認しておくと安心です。
いずれの機器も、メンテナンスが徹底されている商品を選ぶことをおすすめします。
現場に適しているだけでなく品質が安定したものを選んだほうが、効率的なうえに安全な作業へとつながります。そのため、取り扱いが豊富で、点検基準が明確なレンタル会社をできるだけ選びましょう。
2.作業者が必要な資格を保有していることを確認する
クレーンの運転、または玉掛けの業務にたずさわる作業者は、それぞれ吊り上げ荷重に応じた資格が必要な場合があります。以下の条件にあてはまるかを確認しておきましょう。
▼クレーン運転者の資格
吊り上げ荷重0.5t以上5t未満 | 吊り上げ荷重5t以上 | |
機上運転式クレーン
無線操作式クレーン |
クレーンの運転の業務に係る特別教育 | クレーン運転士免許 |
床上運転式クレーン | クレーンの運転の業務に係る特別教育 | 床上運転式クレーンに限定したクレーン運転士の免許 |
床上操作式クレーン | クレーンの運転の業務に係る特別教育 | 床上操作式クレーン技能講習 |
▼玉掛作業者の資格
吊り上げ荷重0.5t以上1t未満 | 吊り上げ荷重1t以上 | |
玉掛作業 | 玉掛けの業務に係る特別教育 | 玉掛け技能講習 |
※表は横にスクロールできます。
参考:クレーン等安全規則
吊り上げ荷重とは、つり具(フックやワイヤーなど)を含んだ、そのクレーンが吊り上げられる総重量のことを指し、定格荷重より大きい値となります。なお、吊り上げ荷重0.5t未満の操作については資格が必要ありません。
安全に作業を進めるためにも、予定しているすべての作業者が資格を保有しているか確認しておくことをおすすめします。
3.法律に則って設置届の提出や安全対策をおこなう
法律に則って設置届の提出や安全対策をおこなうことも忘れてはなりません。0.5t以上の電動チェーンブロックを横行装置(トロリ)と結合して使用する場合、所轄の労働基準監督署に設置届を提出することが義務付けられています。
吊り上げ荷重 | 0.5t未満 | 0.5t以上 3t未満 | 3t以上 |
設置届 | 適用除外 | ー | クレーン設置届 |
設置報告 | 適用除外 | クレーン設置報告書 | ー |
参考:クレーン等安全規則
0.5t以上の電気チェーンブロックをジブクレーンへ設置して運転する場合、「過負荷防止装置」などといった吊り上げ作業において重要な安全機能を備える義務があります。
過負荷防止装置は、クレーンの安全性を確保し、過荷重による事故を防ぐために重要な役割を果たすものです。安全対策を強化するためにも、法律にもとづいて対応を進めましょう。
電動チェーンブロックをレンタルするなら「レント」がおすすめ
電動チェーンブロックのレンタルを検討しているのであれば、産業・建設機械のレンタル会社「レント」がおすすめです。
レントでは、全国の豊富な在庫から案件に最適の電動チェーンブロックを提案するため、あらゆる作業現場のニーズに対応できます。また、横行装置であるプレントロリやギヤードトロリなどの関連機器も併せてレンタル可能です。
メンテナンスにも力を入れており、メーカーのメンテナンス研修を修了したスタッフが点検に対応している点も特徴です。通常、定期点検(3ヵ月点検や6ヵ月点検)で実施される定格荷重負荷試験なども出荷前に徹底的にチェックしています。
また、レント教習センターでは、玉掛け技能講習(吊り上げ荷重1t以上)や床上操作式クレーン技能講習などの資格取得講習を実施しているので、必要な手続きをまとめて進められます。
「安全で品質の高い電動チェーンブロックを探している」「資格取得のために教習所を知りたい」などとお考えであれば、以下からお気軽に見積もりを依頼ください。
レンタルにおすすめの電動チェーンブロック7選
ここで、レントがおすすめする電動チェーンブロックを紹介します。
上記は安全性を高めるために荷重検査装置による定格負荷試験を実施しており、ご要望に応じて点検報告書や負荷試験グラフの提出が可能です。では、ひとつずつ見ていきましょう。
1.電動チェーンブロック(100V)
概要 | 詳細 |
定格荷重(t) | 0.2〜1 |
標準揚程(m) | 3〜50 |
昇降速度種類 | 1速形もしくは2速形 |
まずは、家庭用の電源(100V)で使用できるタイプの電動チェーンブロックを紹介します。定格荷重が0.2〜1tと幅広く、昇降速度は1速形と2速形があり、作業に合わせて案件に適した機種を選択できます。
吊り上げ・吊り下げそれぞれに速度調整が可能で、位置も微調整できるので正確な位置決めが可能です。
2.電動チェーンブロック(200V/1~5t)
概要 | 詳細 |
定格荷重(t) | 1〜5 |
標準揚程(m) | 5〜50 |
昇降速度種類 | 1速形もしくは2速形 |
200Vの電動チェーンブロックの定格荷重は1〜5tまであり、用途に合わせて選べます。チェーンガイド付きでスムーズに動くうえ、冷却フィン付きのモータフレームが温度上昇を抑えるため、効率的な作業が可能です。
レントでは2種類の機種があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。
機種 | 特長 |
ER/ER2型 |
|
DA型 |
|
ロードチェーンなどの破損を未然に防止する「過巻防止機構」を搭載しており、異物が巻き込まれた際に敏速に作動し破損を防止します。またフックは、万が一オーバーロードの状態で作業をしても、突然折れず徐々に変形するため安全性に配慮されています。
3.電動チェーンブロック(200V/10~20t)
概要 | 詳細 |
定格荷重(t) | 10、15、20 |
標準揚程(m) | 6〜30 |
昇降速度種類 | 1速形もしくは2速形 |
次は、200Vの電動チェーンブロックのなかでも、定格荷重が10t・15t・20tタイプの商品を紹介します。主に2種類あり、それぞれの特徴は以下のとおりです。
機種 | 特長 |
ER2型 |
|
DA型 |
|
いずれも荷重検査装置による定格負荷試験を実施しており、ご要望に応じて点検報告書や負荷試験グラフの提出が可能です。
4.電動チェーンブロック(200V/パイロットチェーン仕様/1〜5t)
概要 | 詳細 |
定格荷重(t) | 1〜5 |
上記は、本体とロードチェーンが分解可能なタイプの電動チェーンブロックです。別々に持ち運べるため運搬がしやすく、高揚程作業の多いエレベーターなど昇降機の関連工事で活躍します。
また、現場や使用形態に合わせて本体ボディ、ロードチェーン、リモコン、バケットをそれぞれ選定して組み合わせられるため、より現場に合わせたカスタマイズが可能です。なお、ロードチェーンは、荷重別に10m単位でラインナップしています。
電動チェーンブロック(200V/パイロットチェーン仕様/1〜5t)の詳細を見る
5.電動チェーンブロック(200V/電動トロリ結合式/1~5t)
概要 | 詳細 |
定格荷重(t) | 1〜5 |
標準揚程(m) | 4〜30 |
必要資格 |
|
巻き上げ・下げだけでなく水平方向にも横移動できるよう、電動トロリ(横行装置)が結合したタイプの電動チェーンブロックもあります。
すべての移動が押しボタン操作で可能なため、人力を必要することなく作業ができます。ただ、使用するには資格が必要なので注意してください。
電動チェーンブロック(200V/電動トロリ結合式/1~5t)の詳細を見る
6.電動チェーンブロック(200V/電動トロリ結合式/7.5t・10t)
概要 | 詳細 |
定格荷重(t) | 7.5、10 |
標準揚程(m) | 10、20 |
必要資格 |
|
上記は、電動チェーンブロックに、電動トロリ(横行装置)が結合したタイプです。定格荷重が7.5t、10tから選べるので、重量物を水平方向にも移動したい際に活躍します。
押しボタン操作で荷物を自由に移動できるため、作業効率を大幅にアップすることが可能です。
電動チェーンブロック(200V/電動トロリ結合式/7.5t・10t)の詳細を見る
7.電動チェーンブロック(200V/ギヤードトロリ結合式)
概要 | 詳細 |
定格荷重(t) | 1〜2.8 |
標準揚程(m) | 5〜19 |
必要資格 |
|
200Vの電動チェーンブロックにギヤードトロリが付いているタイプもあります。ギヤードトロリとは、手鎖によってレールに沿って荷物を横移動させる装置です。手動で操作できるため、微調整を必要とする作業に向いています。
本商品も、昇降は押しボタンの操作により電動でおこなえるので、効率的に作業を進められます。
電動チェーンブロック(200V/ギヤードトロリ結合式)の詳細を見る
現場に適した電動チェーンブロックをレンタルしよう
電動チェーンブロックは、重量物を効率的に上げ下げするための機器です。レンタルを利用すれば、メンテナンス済みの機種を現場に合わせて使用できます。
現場に最適な電動チェーンブロックをレンタルして、効率良く安全に作業を進めましょう。
電動チェーンブロックをレンタルするなら、産業・建設機器のレンタル会社「レント」がおすすめです。豊富な在庫から、徹底管理した品質の高い機器を現場のニーズに合わせて提案しています。
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