建設業界の人材不足の現状|理由と対策もあわせて解説

「建設業界は人材不足と聞くけれど、どのような問題が起きているの?」「うちの会社も人手が足りないが、対策がわからず不安だ」といった悩みを、一度は感じたことがあるのではないでしょうか。

本記事では、建設業界で人材が不足している現状や、人材不足を加速させている理由について詳しく解説します。建設業が人材不足を乗り越えるための対策もご紹介しますので、ぜひお読みください。

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建設業界で人材が不足している現状

日本全体の課題である少子高齢化は、建設業界においても深刻な働き手不足を引き起こしています。総務省によると、建設業の就業者数や建設技能者は以下のように減少しています。

参考:「労働力調査(基本集計)2024年」をもとに作成

特に問題なのは、年齢構成です。就業者のうち55歳以上が約34%を占める一方で、29歳以下は約11%に過ぎず、業界全体の高齢化が著しく進んでいます。

参考:「最近の建設産業行政について|国土交通省」をもとに作成

今後10年以内に、豊富な経験と技術を持つベテラン層が大量に退職することを考えると、技術の継承が危ぶまれる状況です。

こうした状況をさらに深刻化させている要因として挙げられるのが、業界特有の体質です。建設業界はアナログな業務工程が多く、「昔からのやり方で十分」「機械より人の目の方が確実」といった意識が根強く残っているため、他業界に比べて生産性が低い状態から抜け出せずにいると考えられます。

人材不足を加速させている3つの理由

建設業界の人材不足は、単一の原因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って深刻化しています。特に人材不足を加速させている理由として挙げられるのは、以下の3つです。

1つずつ見ていきましょう。

1.労働環境が過酷

1つ目に挙げられる理由は、労働環境が過酷であることです。

建設業界は、ほかの産業に比べて労働災害のリスクが高いです。全産業における死亡災害のうち、建設業が占める割合は3割以上と高い水準にあります。

参考:「令和6年 労働災害発生状況について|厚生労働省」をもとに作成

2024年の建設業における死亡者数は232人で、特に高齢の作業員や一人親方などの労働災害が増加傾向にあります。

物理的な厳しさも過酷な労働環境の一因です。夏は炎天下、冬は寒風にさらされるなど、空調のない屋外で1日中作業を続ける体力的な負担は計り知れません。

「常に危険と隣り合わせである」「労働環境が過酷」といった事実は、求職者にとって参入障壁となっています。

2.若年層(34歳以下)が入社・定着しない

続いて、34歳以下の若年層が入社するケースが少ないことや、入社しても定着せずに退職してしまうことも、人材不足の要因の一つと考えられます。若年層が建設業界を敬遠し、入社しても定着しない背景には、業界のイメージと実態のギャップがあります。

建設業界における常用技能労働者の賃金形態は、以下のとおりです。

【常用技能労働者の賃金形態】

  • 月給制が、60.3%
  • 日給月給制が、36.5%
  • 中小企業の半数以上では、給与の増加率がほぼ横ばい

天候に左右されやすい建設業において、収入が安定しない働き方は将来設計を立てにくく、若年層の定着を妨げる要因となり得ます。

さらに、「3K(きつい・汚い・危険)」といったイメージや、「背中を見て覚える」といった文化などが、体系的な教育やフラットな人間関係を求める現代の若年層を敬遠させる要因になっていると考えられます。

その結果、2024年の若年層の雇用は、以下のように不足を感じている企業が半数以上を占めている状況です。

【2024年に発表された若年層の雇用実態】

  • 若年層(34歳以下)の技能労働者が一人も在籍していない企業は、59.4%
  • 若年技能労働者の過不足感について「不足している」と回答した企業は59.5%
    • 従業員規模が5~29人の企業では、6割以上

3.労働時間・作業内容に対して収入が低いケースがある

3つ目に、労働時間と対価が見合っていないことも、人材不足を深刻化させる要因として挙げられます。厚生労働省によると、建設業の労働時間は全産業の平均より長いという実態があります。

【建設業と全産業平均との労働時間の差】

  • 年間総実労働時間は、建設業の方が360時間以上長い
  • 年間の出勤日数は、建設業の方が30日以上多い
    • 10年で全産業の労働時間は、約186時間減少。建設業は、約80時間の減少にとどまっている

上記からわかるように建設業界は他産業と比較して、働き方改革の遅れがあるといえる状況です。

一方で、2023年の建設業の平均月収は全産業の平均月収を上回ってはいますが、「危険な作業や長時間の拘束に見合った給与を受け取れていない」と感じている人がいることも厚生労働省の資料で発表されています。

例えば、現場で作業する職人は朝8時から夕方5時までが基本的な勤務時間ですが、現場監督は段取りや事務作業のために早朝から現場入りし、作業後も残ることが珍しくありません。このように、単純な賃金額だけでは測れない身体的・精神的な負担や雇用の不安定さが、離職の引き金となっていると考えられます。

負の連鎖によって企業の倒産が増加している

人材不足は、単なる人材確保の問題にとどまらず、企業の存続をも脅かす悪循環を引き起こしています。株式会社帝国データバンクの調査では、2024年には、「直接的に人手不足が原因で倒産した建設関連企業が、99件ある」と報告されました。

仕事の受注はあるにもかかわらず、それを実行する人材がいないために事業継続を断念せざるを得ない倒産は、増加の一途をたどっています。この問題は、「人材不足を理由に、公共事業の入札に参加する企業が不足する」といった、私たちのインフラにも深刻な影響を及ぼしています。

さらに、ベテラン層の大量退職は、マニュアル化が難しい高度な技術やノウハウを失うことを意味します。技術の継承が進まなければ、将来的に建設物の品質低下や事故の増加に直結しかねません。

こうした状況下で、時間外労働の上限規制によって1人当たりの労働時間が減ることで、同じ仕事量をこなすにはより多くの人員が必要となり、既存の人材不足をさらに深刻化させる悪循環に陥る恐れがあります。

建設業が人材不足を乗り越える2つの対策

建設業が人材不足を乗り越える鍵となるのが、以下の2つの対策です。

1つずつ見ていきましょう。

1.労働環境を改善する

人材に「選ばれる」業界になるには、旧来の3Kのイメージを払拭し、働きがいのある環境の整備が欠かせません。国土交通省は「給与が良い・休暇が取れる・希望がもてる」という「新3K」を掲げ、業界の魅力向上を推進しています。

例えば以下が、改善のためにおこなえる具体的な取り組み例です。

【労働環境を改善する取り組み例】

  • 週休2日制の定着
  • 経験豊富な先輩社員と若手がペアを組むメンター制度の導入

これらは大手企業で主に実施されている事例ですが、中小企業でも実施可能な対策は存在します。働きやすい企業づくりを進める中小企業に対しては、国や自治体による補助金・助成金制度の活用によって、以下のような労働環境の改善が可能です。

【制度を活用した労働環境の改善例】

  • 空調服の導入
  • 粉じんなどを吸引する機械の導入
  • 休憩所への空調設備(クーラー・暖房)の設置
  • 安全帯の義務化

離職者の多くが「独立」や「同業他社への転職」を選ぶ現状を踏まえれば、自社を選ばれる企業にすることが重要です。近年は、人材不足に加えて資材の高騰といった厳しい状況がありますが、できることを一つずつ進めてみましょう。

2.業務の効率化を図る

限られた人材で生産性を維持・向上させるには、業務の効率化が必須です。特に、ICT技術などを活用した建設DXによる人材不足の解消が期待されています。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

【業務効率化の代表例】

  • BIM/CIM:3Dモデルで設計から施工までの情報を一元管理し、手戻りをなくす
  • ICT建機:未経験者でも熟練工のような精密な作業を可能にする
  • ドローンやAI:測量や点検作業を自動化する

しかし、業務効率化は最先端のデジタル技術に限った話ではありません。以下のようなツールをうまく使えば、業務効率化を図れます。

機器の例 効率化のポイント
6t平ボディートラック

積載量が4t車より増加するため、3便必要な運搬を2便に削減できる

鉄筋結束機

片手で鉄筋を瞬時に結束できる
水中ポンプ(電極式自動運転型)

センサーで自動停止するため監視が不要になる
オフィスカー

仮設事務所を設置したり事務所に移動したりしなくても、オフィスワークをおこなえる
ALC間仕切建込クレーン

ALC間仕切りパネルを、安全に効率良く建込みできる
昇降アシスト装置

人やモノの昇降を支えて、効率的に移動できる
AIガードマンロボット信号機

ガードマンを機械に置き換え、安全性を高められる
バキュームクリーナー背負式/充電式(環境用)

バッテリーを作業者が背負うことによって、効率的に作業できる

このように、効率化に役立つツールは意外に豊富なうえ、レンタルも可能です。購入するとなれば導入やメンテナンスにコストがかかりますが、レンタルであれば「まずは使ってみる」といったチャレンジができます。

「自社には資金がないからむりだ」とあきらめず、ツールを少しずつ取り入れてみることで、業務の効率化を目指し、働きやすい環境づくりをおこないましょう。

業務効率化におすすめの商品5選

ここでは、業務効率化におすすめの商品を5つ紹介します。いずれもレンタルできるツールばかりですので、ぜひ取り入れてみてください。

それでは順に紹介していきます。

1.コードレス背負式 高周波バイブレータ

型式 ECV-I5
入力 容量(W) 500
入力 電圧(V) 36
入力 電流(A) 14
出力 容量(W) 450
出力 電圧(V) 25
出力 電流(A) 12
出力 周波数(Hz) 400
本体寸法(mm)L×W×H 164×55×90
質量(kg) 1.1
NETIS登録番号 KT-190124-VE

「コードレス背負式 高周波バイブレータ」は、コンクリート打設に使用する、背負い式のコードレスバイブレータです。電源コードの取り回しが不要になることで、これまで補助を含め3人必要だった作業を1人でおこなえるようになります。

電源の確保や長いケーブルがなくなると、作業前の段取りや作業終了後の片付けにかかる時間を削減できるうえ、排気や騒音のないバッテリーで安全に作業をおこなうことが可能です。

コードレス背負式 高周波バイブレータの詳細を見る

2.自動鉄筋結束ロボット トモロボ

商品名 自動鉄筋結束ロボット/トモロボ
結束タクト(s) 2.7(※1)
稼働時間(H) 12(※2)
結束パターン
  • 全結束
  • チドリ結束
  • 2つ飛び結束
寸法(mm) 幅630 – 930 (可変式)×高さ600×奥行き690(※3)
重量(kg) 38.5(※4)
鉄筋
  • 対象鉄筋径 φ10、φ13、φ16(※5) に対応
  • 配筋ピッチ 100 – 300mm内で25mmずつに対応
  • ピッチ誤差 ±20mm
NETIS登録番号 SK-200003-A

※1 200mmピッチ、結束機2台使用時1カ所当り
※2 200mmピッチ、結束機2台使用、バッテリーフル充電時 環境温度25度の場合
※3 脱着式センサーは含みません
※4 結束機は含みません
※5 φ16鉄筋が3本交わる部分には、結束できないことがあります

次は、結束作業を自動化するロボットとして、「自動鉄筋結束ロボット トモロボ」を紹介します。土間やスラブ配筋の上を自動で走行し、鉄筋の交差点をセンサーで検知するので、以下のように、1ヵ所あたり2.7秒以下の作業時間を実現可能です。

「全結束」「チドリ結束」「2つ飛び結束」など、さまざまなピッチやパターンで結束できるので、トモロボに任せれば、作業員の負担を軽減し、生産性を高められます。

自動鉄筋結束ロボット トモロボの詳細を見る

3.スピードセッター

型式 RAP-20S S7G-BH265H
適用ボルト穴 (mm) φ23.5~φ26.5 φ21.5~φ26.5
最高出力 (kN[t]) 200[20] 120[12]
ストローク (mm) 50
リターン スプリング
ホール径 (mm) φ26
質量 (kg) 13 12.4(バッテリー含)
付属品 ソケット(50・100)
  • ソケット(50・100)
  • 充電器
  • サイドハンドル

「スピードセッター」は、鉄骨のボルト穴を合わせるための油圧式工具で、ピンを強力な力でスピーディに引き抜きます。

穴位置合わせにドリフトピンをハンマーで打ち込む作業に対して、打撃音がないスピードセッターは、騒音の軽減に役立ちます。足場が悪い現場での大ハンマーによる打込作業の危険を解消し、安全で効率の良いボルトの穴位置合わせも可能です。

スピードセッターの詳細を見る

4.トータルステーション

型式 CS-237WF GM-107F
望遠鏡倍率(倍) 30
正立 正像
最大測定距離(m) 1プリズム:1,600
  • ノンプリズム:0.3~800
  • プリズム5型:1.3~500
  • プリズム2型:1.3~5,000
  • 反射シートRS90N-K:1.3~500
  • 反射シートRS50N-K:1.3~300
  • 反射シートRS10N-K:1.3~100
最小角度表示 10″または20″
測角精度 7″
電源 内蔵電源 リチウムイオンバッテリー
連続使用時間(h) 約8.5 約21
重量(kg) 4.9 5.5

建築や土木の現場で活躍する測量機器「トータルステーション」にも、業務の効率化に役立つ機器があります。通常のトータルステーションは、「プリズム(反射板)を設置する人」、「距離を測定する人」の作業員2名で測量をおこないます。

一方で、「ノンプリズム方式」であればプリズムの設置が不要なので、下記のような場所でも作業員1名だけで測量することが可能です。

  • 人が立ち入ることが難しい場所
  • 勾配が急で足場が悪い場所
  • 交通量が多い場所

また、水平・垂直方向の回転角と対象物までの距離を同時に取得し、「座標の計算」「記録」「出力」などを自動的におこなうため、測量の精度向上も目指せます。

 

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5.ガードレール支柱引抜機 カンヌッキ

型式 TK-TSB-155 TK-TSC-155
シリンダーストローク(mm) 155
寸法 (mm) 幅260×長198×高330 幅312×長250×高330
質量 (kg) 23.4 26.5

「ガードレール支柱引抜機 カンヌッキ」は、建設現場の足場などに使われる単管パイプを、油圧の力で引き抜く機械です。コンパクトなので、道路を占有するほど大掛かりな装置を用意する必要がなく、運搬から設置・作業まで手軽におこなえる利点があります。

また、支柱をつかむチャックは「外つかみ」「内つかみ」の2つがあります。

基本は外つかみですが、曲がっていて外側からつかめない場合には、内つかみチャックといったように、対象の支柱の状況に応じて選ぶことが可能です。重機を使った大がかりな引き抜き作業が不要になり、狭い場所でも安全かつ効率的に作業を進められます。

ガードレール支柱引抜機 カンヌッキの詳細を見る

新しい技術を活用して働きやすい労働環境をつくろう

建設業界は、旧来の働き方や過酷な労働環境などにより人材不足の危機に直面しており、この課題が原因で倒産する企業も少なくありません。少子高齢化により全体の労働人口が減っている現状では、新技術の活用による業務効率化や、働きやすい労働環境の整備が急務です。

新技術や最新機器だけでなく、従来の機器や技術でも使い方しだいでは業務効率化を図れます。

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▼参考記事

建設業就業者数の推移|一般社団法人日本建設業連合会
最近の建設産業行政について|国土交通省
建設業における雇用管理現状把握実態調査報告書 令和5年度調査|厚生労働省
建設業における時間外労働の上限規制について|厚生労働省
「建設業」倒産動向調査(2024年)株式会社帝国データバンク
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新3Kを実現するための直轄工事における取組|国土交通省
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