ウインチとは?電動式など5つの種類やホイストとの違いを徹底解説

ウインチとは、重量物の吊り上げや吊り下げ、けん引などをおこなう機械のことです。電動式や手動式をはじめ、ほかにもさまざまな種類があります。

本記事では、ウインチの概要や種類をまとめました。ウインチとはどういった機械か把握して、どのような作業で使えるか知りたいとお考えの場合はご一読ください。

なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、ウインチを豊富に取りそろえています。持ち運びに便利な携帯タイプや、ワイヤーの長さに制限がないタイプなどを所有しているため、作業に適したウインチを探している場合は、以下のボタンから見積もりを依頼ください。

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ウインチとは

ウインチとは、滑車やドラムなどでワイヤーを巻き取り、重量物に対して以下のような操作をおこなう機械のことです。

【ウインチでおこなえる操作】

  • 吊り上げ
  • 吊り下げ
  • けん引
  • 横引き

基本的に本体を床や壁に固定して使用し、撤去作業や機械の昇降、伐採した樹木の引き上げなど、さまざまな場面で活躍します。

ワイヤーと滑車を組み合わせると、対象物から離れた位置で遠隔操作が可能です。そのため、重量物に近づかなくても簡単かつ安全に物を移動させられます。

なお、ウインチを使用する業務に携わる場合は、法令で定められた「巻上げ機の運転の業務に係る特別教育」の受講が必要です。

ホイストとの違い

ウインチと似た機械にホイストがあります。どちらも重量物を移動させる際に使用しますが、以下のような違いがあります。

ホイスト ウインチ
移動させる方向 上下のみ 上下、左右、斜め
設置方法 梁などに吊り下げ 床や壁に固定

ホイストは荷物の吊り上げ・吊り下げに特化しており、横方向への移動はできません。一方、ウインチは横引きや斜め引きができ、より幅広い用途に対応可能です。設置する方法も異なり、ホイストは天井クレーンの梁などに吊り下げて使用しますが、ウインチは床や壁などに固定します。

ウインチの5つの種類

ウインチは動力源によって、主に5つの種類に分けられます。

1つずつ特徴を見ていきましょう。

1.電動式

電動式は、電気の力でモーターを動かし、ドラムにワイヤーを巻き上げるタイプのウインチです。モーターの力でワイヤーを巻き上げるため、作業者の負担を減らせます。

モーターの種類によってはワイヤーの巻き上げ速度を調節でき、長距離の移動(揚程)が必要な現場でもスムーズな作業が可能です。

2.手動式

人の力でハンドルを操作してワイヤーを巻き上げるタイプが、手動式です。巻き上げ方法によって、以下のとおり、回転式とラチェット式に分かれます。

【回転式とラチェット式の違い】

  • 回転式:ハンドルを360度回転させてワイヤーを巻き上げるタイプで、コンパクトで持ち運びやすい
  • ラチェット式:ハンドルを左右に往復させてワイヤーの巻き取りや巻き戻しをおこなうため、ハンドルを大きく回せない場所でも使える

回転式もラチェット式も電源が必要ないので、場所を選ばずに使用できます。

3.油圧式

油圧式では、電動機やエンジンを動力源とし、油圧モーターでドラムを回転させてワイヤーを巻き上げます。無段階での速度制御が可能で、始動や停止などの操作をスムーズにおこなえる点が特徴です。

資材の運搬のほか、船舶におけるアンカー(イカリ)の投下・巻き上げ、船の引き上げといった細かい調整が求められる作業でよく使用されます。

4.エンジン式

エンジンの動力を利用してワイヤーを巻き取る方式が、エンジン式のウインチです。燃料はガソリンやディーゼルを使用し、以下のような違いがあります。

【燃料による違い】

  • ガソリン:点火プラグによる熱を利用
  • ディーゼル:圧縮により、燃料をシリンダー内に噴射させる圧縮熱を利用

エンジン式は電気や配線が不要なので、電源が確保できない場所でも作業できるのがメリットです。けん引力が大きいため、山中での伐採作業のようにパワーが求められる林業で広く活用されています。

5.空気圧式

空気圧式は、圧縮された空気でエアモーターを動かすタイプです。電気を使わずに、コンプレッサーを使用するものもあります。

火災や爆発が発生しにくい仕様なので、化学工場や造船所、トンネル内など、引火のリスクがある場所での使用が可能です。

速度をコントロールできるのでさまざまな重量物を扱う現場や、小型かつ軽量なので移動が多い現場にも適しています。

ウインチの選び方

ウインチを選ぶときは、以下のポイントを基準に選びましょう。

1つずつ解説します。

1.荷物の重さが吊上荷重や最大荷重の範囲内である

ウインチを選ぶ際は、移動させたい荷物の重さに対応できるかを確認することが重要です。

ウインチは荷物を動かせる最大の重さである「吊上荷重」や「最大荷重」がそれぞれ決まっています。「引張力」や「定格荷重」と表記される場合もありますが、いずれも単位は基本的にkgです。小型のもので150kgほど、大きいものでは1,000kgを超える荷物を動かせます。

定められた荷重を超える荷物を無理にけん引しようとすると、ウインチの破損やワイヤーの断裂で事故につながる恐れがあります。あらかじめ荷物の重さを把握して、吊上荷重や最大荷重の範囲内かを確認しましょう。

なお、重い荷物を持ち上げるなら電動式の使用がおすすめです。ただし、電源がないと使えないため、その場合はエンジン式にするといった対応が必要な場合もあります。

2.荷物を移動させる距離を確認する

荷物を移動させる距離(ストローク)に対して、ウインチのワイヤーが不足していないかを確認します。ワイヤーの長さが足りなければ、動かしたい場所まで荷物を移動できません。

作業をスムーズに進めるため、事前に必要なストロークを測り、それよりも長いワイヤーを持つウインチを選びましょう。

3.作業に適した吊上速度である

作業の効率に影響するので、ウインチの吊上速度もチェックしたい点です。多くのウインチで吊上速度は一定ですが、機種によっては速度が異なる場合や、速度をコントロールできる電動式ウインチがあります。

手動式ウインチの場合は、ハンドルの回転数とドラムの回転数の比率を示す「ギア比」が速度の目安です。例えば、ギア比が「5:1」の場合、ハンドルを5回転させるとドラムが1回転します。

ギア比が高い(ハンドルの回転数が多い)ほどスピードは落ちますが、より少ない力で重量物を引っ張ることが可能です。

作業に適したウインチを用意するならレンタルがおすすめ

作業内容や現場に合わせて最適なウインチを用意したいなら、レンタルの利用がおすすめです。

作業ごとに異なる種類のウインチをその都度購入すると、費用がかさみます。また、所有するウインチが増えれば、その分だけ保管場所の確保やメンテナンスの手間も増えます。

レンタルであれば、使いたい期間だけウインチを借りられるため、購入や維持にかかるコストを最小限に抑えることが可能です。

なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、電動式や手動式など、さまざまな種類のウインチを用意しています。動かしたい荷物の重さや作業場所に合わせて最適なウインチを提案しますので、以下よりお気軽に見積もりを依頼ください。

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レンタルにおすすめのウインチ4選

レンタルにおすすめのウインチは、以下の4つです。

それぞれ順に紹介します。

1.定置型ウィンチ(100V)

※画像は代表商品のものです。

項目 詳細
型式 MA-650M SX-203 SX-205 SX-210
吊上荷重(kg) 150 300 500 1,000
吊上速度(m/min) 23 6.4 2.8
ワイヤ捲取量(m) 5φ×60 6φ×51 8φ×89 10φ×60
電源(V) 単相100
出力(W) 650 750
操作コード長さ(m) 3
機体寸法
(mm)
全幅 468 415 538
奥行 300 320 390
全高 298 240 315
ドラム寸法
(mm)
内寸 φ100 φ76.3 φ89.1
外寸 φ200 φ142 φ190
100 200 300
重量(kg) 25 40 65 67

上記は、100V電源で使用できる定置型のウィンチです。持ち運びできる小型タイプは、軽量で省スペースながら巻き取り量が多く、さまざまな用途での利用が可能です。ワイヤーのかけ方しだいで、引く力の容量や方向を自由に設定できます。

また、チリや雨の侵入・サビの発生を防げるタイプは、作業時の音が静かなので、場所を選ばず作業できます。ロープを取り付ける際は、ドラムの穴にロープを差し込んでネジを締めるだけなので、簡単です。

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2.定置型ウィンチ(200V)

※画像は代表商品のものです。

項目 詳細
型式 MA-2 MA-3(S) FE-500N MA-5 WK-55X
吊上荷重(50Hz/60Hz)(kg) 250/200 400/400 600/500 650/550 1,000
吊上速度(50Hz/60Hz)(m/min)
※1:3層目の値
※2:1層目の値
27/33 ※1 30/36 ※1 16/19.5 ※2 33/40 ※1 4/5 ※1
ワイヤ捲取量(m) φ6×120 φ8×120 φ10×106 φ10×150 φ10×60
電源(V) 三相200
出力(kW) 1.5 2.5 2.2 3.9 1
機体寸法 (mm) 全幅 732 907 360 1,027 738
奥行 367 401 561 401 286
全高 352 457 375 457 281
ドラム寸法
(mm)
内寸 φ152 φ190.7 φ258 φ216 φ114
外寸 φ270 φ335 φ370 φ380 φ254
150 160 253 250 206
重量(kg) 78 160 159 230 69
操作要件(巻上げ機) 特別教育

※表は横にスクロールできます。

200V電源に対応した定置型ウィンチは、商品の積み下ろしや機械の設置作業などで利用できます。扱うには、「巻上げ機の運転の業務に係る特別教育」の受講が必要です。

低速型は、荷物や装置に衝撃を与えないよう速度を抑えた運転が可能です。その分、吊上荷重が1,000kgとほかのタイプよりも大きく、特に重量のあるものを動かしたい場合に適しています。

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3.電動エンドレスウインチ チルクライマー

※画像は代表商品のものです。

項目 詳細
型式 EW-502DH EW-1022DM EW-1022DH EW-2030D
最大能力(kg) 500 1,000 1,000 2,000
速度 50Hz 19.1/9.7 7.3/3.6 14.2/7.3 4.1
60Hz 22.9/11.7 8.7/4.2 17.0/8.7 5.0
自重(kg) 63 93 94 145
電源(V) 三相交流
200/200-220
電動機 出力(kW) 2.8/1.4 2.4/1.2 4.8/2.4 2.8
極数 2/4 4/8 2/4 6
時間定格(分) 30
屋内仕様
専用ワイヤーロープ(mm)※ φ8 φ10
  • モノロープSP型(裸)φ12.5
  • 破断強度117.7kN/本
ブレーキ装置 モーター内蔵電磁ブレーキ
制御箱
安全装置 積算稼動計
  • 積算稼動計
  • サーマルリレー
  • 巻過防止装置
  • 非常停止ボタン
積算稼動計
電源コード 3.5mm²×4芯×1m
操作コード 2mm²×5芯×3m
操作コード延長 不可 不可
台車 型式 WN-1 WN-2 WN-3
自重(kg) 33 35 53
コイルマチック 型式 CM-150 CM-152 CM-103
巻取長さ(m) 150 100
自重(kg) 31 43 57

1台で往復のけん引作業をおこなえるのが「電動エンドレスウインチ チルクライマー」です。ワイヤーロープの長さに制限がなく、縦・横・斜めのどの方向にもけん引できます。ワイヤーロープは、ロープガイドというパーツに差し込んで電源を入れるだけでセッティング可能です。

軽量でコンパクトなうえ、台車付きのモデルもあるので移動が簡単です。また、ウインチを過負荷から守るサーマルリレーや、非常停止ボタンなどを備え、安全性を高めた仕様の商品もあります。

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4.万能携帯ウインチ チルホール

※画像は代表商品のものです。

項目 詳細
型式 T-7 TU-16 T-35
最大能力(kg) 750 1,600 3,000
揚程 ワイヤロープの長さ
レバー1往復で動くワイヤロープの長さ(mm) 60 70 26(48)2段切替
外寸:全長×全幅×全高(mm) 499×106×270 644×143×360 712×140×350
使用ワイヤ径(最大径)(mm) 8.3 11.7 16.3
ワイヤロープ破断強度(kN) 44.1 94.1 177
安全ピンの耐力(kg) 約1,500 約3,200
桿比 30:1 40:1 85:1(52:1)
自重(kg) 7 18 26

「万能携帯ウインチ チルホール」は、小型かつ軽量で持ち運びやすい、手動式のエンドレスウインチです。縦・横・斜めにけん引でき、ワイヤーロープの長さに制限はありません。

けん引の効率は通常のおよそ2倍で、ミリ単位でストロークの微調整が可能です。さらに、負荷のかかり過ぎを防ぐ安全ピンを装備しており、安心して使用できます。

万能携帯ウインチ チルホールの詳細を見る

ウインチとはどのような機械かを知って活用しよう

ウインチは、滑車やドラムでワイヤーを巻き取り、重量物の吊り上げ・吊り下げ、けん引などの作業ができる機械のことです。動力源によって電動式や手動式などさまざまな種類があります。ウインチを使うなら、吊上荷重や最大荷重、荷物を移動させる距離などを考慮して、作業に適したものを選びましょう。

なお、ウインチはレンタルで用意することも可能です。レンタルであれば、作業内容や現場に適したウインチをその都度用意できるので、購入やメンテナンスにかかる費用を抑えられます。

産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、100Vや200Vの電動式や手動式など、豊富な種類のウインチを取りそろえています。どれが荷物や作業場所に合っているかわからない場合でも、40年以上培ったノウハウをもとに最適な種類をご提案しますので、以下のボタンよりお気軽に見積もりを依頼ください。

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