重量物を吊り上げたり移動させたりするクレーン車には、さまざまな種類があります。その種類は幅広いため、適した車両を選ぶためにはそれぞれの特徴を知っておくことが重要です。
本記事では、代表的なクレーン車の種類や特徴をまとめました。クレーンの走行や操作に必要な資格も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、クレーン車のレンタルが可能です。「最低限のコストで、案件にぴったり合う車両を用意したい」とお考えであれば、以下のボタンより気軽に見積もりを依頼ください。
クレーン車とは
クレーン車とは、下記のような「移動式クレーン」のことを指します。
移動式クレーンとは、「動力を用いて荷をつり上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置で、原動機を内蔵し、かつ、不特定の場所に移動させることができるもの」と定義されている。
このうち、つり上げ荷重が1トン以上5トン未満の移動式クレーンを小型移動式クレーンという。
引用:厚生労働省
クレーン車はエンジンなどの原動力を搭載しているため、自力で移動できる点が特徴です。また、クレーンで「荷物を吊り上げる」「水平に運搬する」という作業を安全におこなうために、ほとんどの車両が以下の構造を持っています。
工事現場をはじめ建設現場や工場などさまざまな現場で使われており、その種類は多様です。では次項で、代表的な種類を見ていきましょう。
クレーン車の代表的な種類5選
ここで、厚生労働省の小型移動式クレーン運転技能講習(補助テキスト)に記載された「移動式クレーン」のなかから、代表的な種類として以下の5つを紹介します。
順に見ていきましょう。
1.トラッククレーン
出典:厚生労働省
トラックにクレーンを搭載したクレーン車として、トラッククレーンがあります。クレーン作業時の安定性を高めるためのアウトリガが備えられており、運転室は走行用とクレーン操作用の2つに分かれています。
吊り上げ荷重が5t未満のトラッククレーンは、通常のトラックシャーシ(車体の骨組み)を補強し、上部旋回体と呼ばれるクレーン装置を取り付けた車両が多いです。また、クレーン装置の動力を伝達する方式には「油圧式」と「機械式」の2つがありますが、5t未満の小型クレーンでは、油圧式が採用されているケースがほとんどです。
2.積載形トラッククレーン
出典:厚生労働省
積載形トラッククレーンは、トラックの荷台と運転席の間などにクレーン装置を搭載した車両です。トラックの荷台に載せた荷物をクレーンで吊り上げられるため、「資材を運ぶ」「クレーンで下ろす」といった2役をこなします。
日本では、古河ユニック株式会社から「UNIC100(ユニック100)」という車両が発売されたことが広く知られるきっかけとなり、現在でも通称「ユニック」として親しまれています。
ユニックについては以下の記事で詳しく紹介しているので、併せてご覧ください。
>>ユニック(クレーン付きトラック)レンタルの注意点やおすすめ商品を紹介
3.ホイールクレーン
出典:厚生労働省
狭い現場で活躍するクレーン車として、ホイールクレーンがあります。走行車輪は4輪式と3輪式(前2輪、後1輪)があり、小回りが利く点が特徴です。
1つの運転室で「走行」と「クレーン操作」ができので、移動後に運転席を乗り換えず荷物の積み上げをおこなえます。アウトリガがない車両では、前輪タイヤ(もしくは全タイヤの外側)に付いている鉄輪が荷を吊り上げる際に接地し安定性を高める構造になっています。
4.ラフテレーンクレーン(ラフタークレーン)
出典:厚生労働省
ラフテレーンクレーンは、ホイールクレーンに分類される車両です。ホイールクレーンと同様に、1つの運転室で走行とクレーンの操作をおこなうことが可能で、以下4つの操向方式を備えています。
【4つの操向方式】
- 前2輪操向
- 後2輪操向
- 4輪操向
- かに操向
操向方式を使い分ければ、狭い現場でも機動性を発揮しやすいことが特徴です。また、装備している大型タイヤは全輪駆動のためトラッククレーンより走行機能が優れており、不整地や地盤が比較的やわらかい場所でも走行できます。
5.クローラクレーン
出典:厚生労働省
タイヤではなく、ベルト状の無限軌道(クローラ)で走行するクレーン車を、クローラクレーンといいます。クローラはタイヤと比較して接地する面積が広いため、地面への圧力が分散され高い安定性があります。
整備されていない土地や地盤が柔らかい場所でも重量物を持ち上げられますが、走行スピードがゆっくりなため公道を走ることができません。そのため、作業現場に移動する際はトレーラーなどで輸送する必要があります。
クレーン車の走行や操作に必要な3つの資格
クレーン車の走行や荷物の吊り上げ操作には、それぞれ資格が必要です。ここで、各操作に必要な資格を以下の3つ紹介します。
順に解説します。
1.「走行」に必要な資格
クレーン車を公道で走行する際には、以下の運転免許が必要です。
免許証の種類 | 車両総重量 | 最大積載量 |
準中型免許(5t限定) ※H19.6.2~H29.3.11までに普通免許を取得した者 |
5t未満 | 3t未満 |
準中型免許 ※H29.3.12以降に準中型免許を取得した者 |
3.5~7.5t | 2~4.5t |
中型免許(8t限定) ※H19.6.1以前に普通免許を取得した者 |
8t未満 | 5t未満 |
中型免許 ※H19.6.2以降に中型免許を取得した者 |
7.5~11t未満 | 4.5~6.5t未満 |
大型免許 | 11t以上 | 6.5t以上 |
注意が必要なのは、運転免許でできる操作が「クレーン車の走行のみ」であることです。クレーンの操作をする場合は、次章で解説する資格を取る必要があります。
また、運転免許は不定期で条件が変更になる場合があるため、走行前に最新の情報を確認ておくと安心です。
2.「クレーン操作」に必要な資格
クレーンを操作する場合は、以下の資格が必要です。
資格 | 吊り上げ荷重 |
移動式クレーン運転特別教育 | 0.5t以上1t未満 |
小型移動式クレーン運転技能講習 | 1t以上5t未満 |
移動式クレーン運転士免許 | 5t以上 |
以下のような資格を持つ人は、受講科目の一部が免除されます(ただし、取得する資格によって免除される内容が異なります)。
【クレーン操作の講習で受講科目が一部免除される対象者例】
- クレーン運転士免許の所有者
- デリック運転士免許の所有者
- 揚貨装置の運転士免許の所有者
- 玉掛け技能講習(吊り上げ荷重等1t以上)修了者
- 床上操作式クレーン運転技能講習(吊り上げ荷重5t以上、走行横行荷とともに移動)修了者
そのため、講習を実施している機関によっては、受講できるコースと、特定の資格を持つ人向けのコースが用意されているので確認してみましょう。なお、受講科目の免除を受ける際には、免許証や修了証など資格を証明する書類が必要なので、あらかじめ用意しておくことをおすすめします。
3.「玉掛け作業」に必要な資格
玉掛け用具を使って荷掛けや荷外しをする「玉掛け作業」をおこなう際には、以下の資格が求められます。
資格 | 吊り上げ荷重 |
玉掛け業務の特別教育 | 0.5t以上1t未満 |
玉掛け技能講習 | 1t以上5t未満 |
クレーン操作に必要な資格と同様に、玉掛け作業の講習も以下の対象者は受講する科目が一部免除されます。
【玉掛け作業の講習で受講科目が一部免除される対象者例】
- クレーン運転士免許の所有者
- 移動式クレーン運転士免許の所有者
- デリック運転士免許の所有者
- 揚貨装置運転士免許の所有者
- 小型移動式クレーン運転技能講習(吊り上げ荷重1t以上5t未満)修了者
- 床上操作式クレーン運転技能講習(吊り上げ荷重5t以上、走行横行荷とともに移動)修了者
取得する資格によって免除される内容が異なるため、受講前にあらかじめ確認しておくと安心です。
【お問合せ先 レント教習センター TEL:054-265-2320】
クレーン車を使用するならレンタルがおすすめ
クレーン車を使用するなら、レンタルの活用がおすすめです。吊り上げたい荷物の重さ(サイズ)や現場の作業環境など、クレーンを使用する条件は現場によって多様です。
現場に適した車両をその都度用意するとなれば、導入費用が膨らむだけでなく、保管スペースやメンテナンスコストなども確保しておく必要があります。
一方でレンタルなら、現場に合う車両を必要な期間だけ用意することが可能です。保管場所の確保が不要なうえ、レンタル会社がメンテナンスをおこなうため、最低限のコストで作業に適した車両を準備できます。
産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、クレーン付きトラック(ユニック)やミニクローラークレーンのレンタルをおこなっております。
在庫が豊富なだけでなく配送サービスもあるので、「作業にぴったりのクレーン車を最低限のコストで用意したい」とお考えの場合は、以下のボタンより気軽に見積もりをご依頼ください。
レンタルにおすすめの「積載形トラッククレーン」4選
ここからは、レンタルにおすすめの積載形トラッククレーンを紹介します。
順に見ていきましょう。
1.【2~3t】クレーン付きトラック
※画像は代表機種のものです。
項目 | 詳細 |
空車時最大クレーン容量 |
|
最大地上揚程(mm) |
|
最大積載量(kg) |
|
操作要件 |
|
運転免許 |
|
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
2~3tクレーン付きトラックは、積載形トラッククレーンのなかでも最もスタンダードな車両です。公道の走行がしやすいうえ、荷台の最大積載量は2,000kg(もしくは3,000kg)あり、資材や重機などさまざまな荷物を積める点が特徴です。
また、安全性を高めるためにさまざまな機能を搭載しています。
【安全機能の例:ML停止型】
- 強度定格荷重監視機能:クレーン強度の限界に近づくと音が鳴り、強度限界に達するとクレーンの作動を自動停止する
- 転倒防止機能:クレーンの転倒に近づくと音が鳴り、転倒限界に達するとクレーンを自動停止する
ブームの伸縮やフック操作がラジコン操作できる車両もあるため、高い操作性で作業をよりスムーズに進められます。
2.【3t】クレーン付きトラック荷台内格納タイプ
※画像は代表機種のものです。
項目 | 詳細 |
空車時最大クレーン容量 |
(アウトリガ最大張出時) |
最大地上揚程(mm) |
|
最大積載量(kg) |
|
操作要件 |
|
運転免許 |
|
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
荷台内格納タイプのクレーン付きトラックは、ブームを格納できる積載形トラッククレーンです。クレーンの格納時の全高は1.99mとコンパクトなので、地下駐車場など高さ制限のある場所へ入りやすい特徴があります。
また、下記の「ポップアップ式コラム」を採用しているため、フトコロ部に積荷があっても制約なくクレーン作業をおこなえる点も特徴です。
全方位に作業範囲を展開できるブームを搭載しているので、車両の向きを変える手間がなく作業場所を選びにくい魅力もあります。
3.【4t】クレーン付きトラック
※画像は代表機種のものです。
項目 | 詳細 |
空車時最大クレーン容量 |
|
最大地上揚程(mm) |
|
最大積載量(kg) |
|
操作要件 |
|
運転免許 |
|
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
3tより多くの荷物を積みたい場合には、4tクレーン付きトラックがおすすめです。制限高さに近づくと警報が鳴る「高さ制限機能」や、アウトリガの接地反力を常に測定する「転倒防止機能」など、安全装置を搭載した車両があるので、予期せぬ事故を防止できます。
また、NETIS(新技術情報提供システム)に登録されている車両もあるので、評価の加点を目指したい際にもおすすめです。
4.【6t】クレーン付きトラック
※画像は代表機種のものです。
項目 | 詳細 |
空車時最大クレーン容量 |
|
最大地上揚程(mm) |
|
最大積載量(kg) |
|
操作要件 |
|
運転免許 |
|
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
6tクレーン付きトラックは、車体の大きさが4tクレーン付きトラックとほぼ同じでありながら、およそ2倍の積載量を持つ車両です。これまで2回に分けていた荷物の運搬を1回で済ませられるため、作業効率をアップできます。
大型クレーンタイプはリーチが伸び作業範囲を広げられるので、ほかの車両では届かなかった場所への積み下ろしも可能です。
レンタルにおすすめの「クローラークレーン」4選
ここで、レンタルにおすすめのクローラークレーンを以下の4つ紹介します。
それぞれ紹介します。
1.ミニクローラークレーン(2.9t/5段)
※画像は代表機種のものです。
項目 | 詳細 |
最大クレーン容量 |
|
最大地上揚程(m) |
|
最大地下揚程(m) |
|
走行速度(km/h) |
|
操作要件 |
|
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
ミニクローラークレーン(2.9t/5段)は、走行時の最大幅が60cmとコンパクトな設計のクレーンです。トラックが通れない狭い道路や現場内の細い通路、カーブの多い通路なども走行だけでなく、その場で旋回ターンができるなど小回りが利く点が特徴です。
200Vの電動モーターで走行も作業もできる動力を併用した仕様も機種もあり、エンジンでの作業ができない夜間や屋内でも、排気や騒音を抑えたクリーンかつ静かに作業を進められます。
2.ミニクローラークレーン(2.9t/5段/バッテリー式)
※画像は代表機種のものです。
型式 | UR-W295CBR | UR-W295CB2RA2 |
最大クレーン容量 |
|
|
最大地上揚程(m) |
|
|
最大地下揚程(m) |
|
|
走行速度 標準(km/h) |
|
|
走行速度 高速(km/h) |
|
|
操作要件 |
|
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
次は、ミニクローラークレーンでは希少なバッテリー式を紹介します。コンパクトなボディに大容量バッテリーを搭載しており、標準モードで4.5時間(高速モードは4時間)の連続運転が可能です。
電源ケーブルがないので、「電源が届く範囲内しか運転できない」「ケーブルに引っかかって転倒する」などの心配がなく、作業そのものに集中できます。また、排出ガスや騒音がないうえ、床面の汚れを防ぐホワイトクローラ仕様なので、屋内でも安心して使用できます。
ミニクローラークレーン(2.9t/5段/バッテリー式)の詳細を見る
3.ミニクローラークレーン カニクレーン(2.9t/5段・6段/分解)
※画像は代表機種のものです。
項目 | 詳細 |
最大クレーン容量 |
|
最大地上揚程(m) |
|
最大地下揚程(m) |
|
走行速度(km/h) |
|
操作要件 |
|
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
上記は、ブームやアウトリガなどのパーツを取り外して分解し、運搬や組み立てができるタイプです。そのため、ロープウェイやスキー場のリフトといった索道や、ヘリコプターによる運搬もおこなえます。
また、自力分解仕様は専用治具が付いており、分解・組み立てに他の揚重機が必要ないので、比較的扱いやすいミニクローラークレーンでもあります。
ミニクローラークレーン カニクレーン (2.9t/5段・6段/分解)の詳細を見る
4.小旋回クローラークレーン
※画像は代表機種のものです。
項目 | 詳細 |
最大クレーン容量 |
|
最大地上揚程(m) |
|
最大作業半径 (m) |
|
走行速度(km/h) |
|
操作要件 |
|
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
小旋回クローラークレーンは、その名のとおり小さく旋回するクレーンです。傾斜警報や後方カメラが付いているため、狭い場所での作業でも安全に作業を進められます。
また、走行やフックを巻き上げるスピードを切り替えられる機能も付いており、作業効率を上げることも可能です。
クレーン車の種類を把握して作業に合った車両を使おう
クレーン車(移動式クレーン)は、重量物を吊り上げたり水平に動かしたりする際に活躍する車両のことです。クレーンはもちろんエンジンなどの動力源を備えているため、ほかから動力を確保する必要がなく自力で動くことが可能です。
トラッククレーンや積載形クレーンなどさまざまな種類がありそれぞれ特徴が異なるため、作業内容や現場に合った車両を選びましょう。
クレーン車を使用するなら、最低限のコストで案件にぴったりの車両を用意できるレンタルがおすすめです。産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、積載形トラッククレーンやクローラークレーンなどを保有しているため、作業に合った車両を全国の在庫から提案可能です。
また、必要な資格を取得できるよう特別教育や技能講習を実施しているうえ、万が一の事故が発生した場合に負担額を抑えられる安心サポート制度も用意しています。「最低限のコストで、作業に適したクレーン車を用意したい」とお考えの方は、以下のボタンよりお気軽にご相談ください。