クレーン車のサイズ一覧|サイズ別に必要な免許や資格、手続きも解説

クレーン車は、種類やサイズによって吊り上げ能力や適した作業環境が異なります。もし、現場の状況や吊り荷の重量に合わない車両を選んでしまうと、作業の遅れや事故のリスクにつながるケースが少なくありません。

本記事では、建設現場や運搬作業でよく用いられる4つのクレーン車のサイズについてまとめました。ただし、実際はメーカーや装備によって仕様は細かく異なるので、一般的な目安として紹介します。

なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、クレーン付きトラック(ユニック車)やクローラークレーンなど、多様なサイズのクレーン車のレンタルに対応しています。

「作業現場にクレーン車を手配したいけど、どのサイズを選べばいいかわからない」「種類が多すぎて最適な車両を見極められるか不安だ」という方は、お気軽にご相談ください。

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クレーン付きトラック(ユニック車)のサイズ例

クレーン付きトラックは主に以下の2つのサイズに分けられます。

種類 クラス 最大地上揚程 最大作業半径 空車時最大クレーン容量 最大積載量

小型クレーン付きトラック

〜3.5t ~6.4m ~4.6m ~2.22t×1.1m ~3,000kg

中型クレーン付きトラック

〜8t ~11.7m ~9.81m ~2.93t×2.6m ~5,200kg

※表は横にスクロールできます。

1つずつ見ていきましょう。

1. 小型クレーン付きトラック(2〜3.5t)

項目 詳細
クラス 2t 3t
型式 TKG-XZU650 2RG-XZU605M
クレーン部 最大地上揚程 7.9m 6.4m
最大作業半径 6.4m 4.6m
空車時最大クレーン容量 2.63t×1.6m 2.22t×1.1m
最大積載量 2,000kg 3,000kg

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小型クレーン付きトラックとは、主に2tクラスや3tクラスの車両を指し、そのコンパクトさが特徴です。例えば、住宅が密集する市街地での資材搬入や、道幅の狭い山間部での作業など、大型車が進入できない場所に適しています。特に戸建て住宅の建設現場で多く使用されています。

2~3tクレーン付トラックの詳細を見る

3tクレーン付トラック荷台内格納タイプの詳細を見る

2. 中型クレーン付きトラック(4〜8t)

項目 詳細
クラス 2.6t 5.2t
型式 SKG-FRP90S2 SKG-FSR90S2
クレーン部 最大地上揚程 9.5m 11.7m
最大作業半径 7.51m 9.81m
空車時最大クレーン容量 2.93t×2.6m 2.93t×2.6m
最大積載量 2,650kg 5,200kg

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近距離から中・長距離の運搬まで幅広く対応できるのが、中型クレーン付きトラックです。小型クラスよりも高い積載能力とクレーン性能を誇り、より重い資材や大きな機械も一度に運ぶことが可能です。

そのため、土木・建築現場、造園業での庭石の運搬・設置、水道工事業での配管資材の搬入など、多岐にわたる業界で活躍しています。

4tクレーン付トラックの詳細を見る

6tクレーン付トラックの詳細を見る

ラフタークレーンのサイズ例

ラフタークレーン(ラフテレーンクレーン)は、主に以下の3つのサイズに分けられます。

種類 クラス 最大吊り上げ能力 最大地上揚程 最大作業半径

小型ラフタークレーン

~16t ~16t×3.0m
  • ブーム:~28.9m
  • ジブ:~35.8m
  • ブーム:~24.5m
  • ジブ:~28.0m

汎用ラフタークレーン

〜70t ~70t×2.1m
  • ブーム:~45.2m
  • ジブ:~63.0m
  • ブーム:~36.0m
  • ジブ:~40.8m

追加ウエイト付きラフタークレーン

80t〜 ~100t×1.6m
  • ブーム:~48.7m
  • ジブ:~66.3m
  • ブーム:~38.0m
  • ジブ:~44.0m

※表は横にスクロールできます。

※上記はあくまで一例であり車種によって異なります。

順番に解説します。

1. 小型ラフタークレーン(4.9t~16t)

出典:厚生労働省

項目 詳細
クラス 4.9t 13t 16t
メーカー コベルコ建機 加藤製作所 タダノ
最大吊り上げ能力 4.9t×5.0m 13t×1.7m 16t×3.0m
ブーム長さ 5.5m~24.0m 5.3m~24m 6.5m~28.0m
クレーン部 最大地上揚程
  • ブーム:24.5m
  • ジブ:29.7m
  • ブーム:24.8m
  • ジブ:30.4m
  • ブーム:28.9m
  • ジブ:35.8m
最大作業半径
  • ブーム:22.5m
  • ジブ:25.9m
  • ブーム:24.5m
  • ジブ:28.0m

参照元:コベルコ建機株式会社、株式会社 加藤製作所、株式会社タダノ

※表は横にスクロールできます。

吊り上げ荷重が4.9tから16tまでの小型ラフタークレーンは、都市部での作業に適しています。

コンパクトな車体で道幅が狭い市街地や住宅街の現場へも進入可能です。ビル3〜4階程度の高さまでの資材の吊り上げや、狭小地での鉄骨建て方作業などで活躍します。

2. 汎用ラフタークレーン(20t〜70t)

項目 詳細
クラス
  • 25t
  • 35t
  • 50t
  • 60t
  • 70t
メーカー
  • タダノ
  • 加藤製作所
  • 加藤製作所
  • タダノ
  • タダノ
最大吊り上げ能力
  • 25t×3.5m
  • 35t×2.6m
  • 50t×3.0m
  • 60t×1.8m
  • 70t×2.1m
ブーム長さ
  • 9.35m~30.5m
  • 7.5m~32.5m
  • 10.1m~40.0m
  • 10.3m~41.2m
  • 9.8m~44.0m
クレーン部 最大地上揚程
  • ブーム:31.3m
  • ジブ:44.2m
  • ブーム:33.9m
  • ジブ:47.9m
  • ブーム:41.1m
  • ジブ:54.8m
  • ブーム:42.6m
  • ジブ:55.8m
  • ブーム:45.2m
  • ジブ:63.0m
最大作業半径
  • ブーム:27.9m
  • ジブ:34.0m
  • ブーム:36.0m
  • ジブ:40.0m
  • ブーム:36.0m
  • ジブ:40.8m

参照元:株式会社タダノ、株式会社 加藤製作所

※表は横にスクロールできます。

吊り上げ荷重20tから70tクラスのクレーン車は、ラフタークレーンのなかで汎用性が高く、多様な現場で主力として使用されます。20t以上のモデルは小型機よりブームが長く、より高所での作業が可能です。

30tクラス以上になると中型の油圧ショベル(ユンボ)を吊り上げられます。40tクラスは吊り上げ能力に対して車体が大きいため、市場での流通が少ない傾向にあります。60tクラス以上ではビルの15階程度の高所作業や、鉄骨やテトラポットの設置など、大規模な作業にも対応可能です。

また、70tクラス以上では、ジブを上空に伸ばせるため、狭い場所や障害物の多い現場に適しています。作業内容に応じて適切なサイズを選択しましょう。

3. 追加ウエイト付きラフタークレーン(80t〜)

項目 詳細
クラス
  • 80t
  • 100t
メーカー
  • 加藤製作所
  • タダノ
最大吊り上げ能力
  • 80t×2.2m
  • 100t×1.6m
ブーム長さ
  • 10.0m~45.0m
  • 10.2m~48.0m
クレーン部 最大地上揚程
  • ブーム:46.0m
  • ジブ:64.0m
  • ブーム:48.7m
  • ジブ:66.3m
最大作業半径
  • ブーム:38.0m
  • ジブ:44.0m

参照元:株式会社 加藤製作所、株式会社タダノ

80t以上の大型ラフタークレーンは、車体後部に追加のウエイト(カウンターウエイト)を取り付けられる点が特徴です。

ウエイトにより、アウトリガーで車体を固定した際の安定性が向上し、重量物の吊り上げ時の横転リスクを最小限に抑えます。ビル15階相当を超える高層階への重量物の搬入や、橋梁の架設工事などで活躍します。

ただし、ウエイトを装着した状態では公道を走行できない点に注意が必要です。

クローラクレーンのサイズ例

クローラークレーンは、主に以下の2つのサイズに分けられます。

種類 クラス 最大クレーン容量 ブーム長さ

小型クローラークレーン

〜5t未満 ~4.9t×2.1m ~16.5m

中・大型クローラークレーン

5t〜 ~90t×4.3m ~62.6m

※表は横にスクロールできます。

※上記はあくまで一例であり車種によって異なります。

以下で詳しく説明します。

1. 小型クローラークレーン(1t〜5t未満)

項目 詳細
クラス 2.93t 2.98t 4.9t
型式 UR-W295C1RS MC305CWM-3 CC985S-1
最大クレーン容量 2.93t×1.4m 2.98t×2.5m 4.9t×2.1m
ブーム長さ 2.53~8.65m 3.965~12.485m 4.78~15.78m
クレーン部 最大地上揚程 約8.8m 約12.52m 16.5m
最大作業半径 8.41m 12.16m 14.67m

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吊り上げ荷重が1tから5t未満の小型クローラークレーンは、コンパクトな車体で、大型機械が入れない場所での作業が得意です。ショッピングモール内部での設備更新作業や、トンネル内での資材搬入、墓石の設置作業などで活躍します。

ミニクローラークレーンの詳細を見る

ミニクローラークレーン カニクレーンの詳細を見る

小旋回クローラークレーンの詳細を見る

2. 中・大型クローラークレーン(5t〜)

項目 詳細
クラス 10t 50t 70t 90t
メーカー コベルコ建機 コベルコ建機 コベルコ建機 コベルコ建機
最大つり上げ能力 10t×3.0m 50t×3.8m 70t×4.0m 90t×4.3m
ブーム長さ 5.1~21.2m 51.8m 54.9m 62.6m

参照元:コベルコ建機株式会社

※表は横にスクロールできます。

中・大型クローラークレーンは、吊り上げ荷重が5t以上の車両を指します。一般的な建築現場での鉄骨建て方から、高層ビルやタワーマンション建設時の超高所への部材吊り上げまで、幅広いシーンで活躍します。

地盤が軟弱な場所でも安定した作業が可能で、大規模な建設現場には欠かせない車両です。

オールテレーンクレーンのサイズ例

項目 詳細
クラス
  • 110t
  • 140t
  • 220t
メーカー
  • 加藤製作所
  • タダノ
  • タダノ
最大つり上げ能力
  • 110t×2.0m
  • 140t×2.5m
  • 220t×2.5m
ブーム長さ
  • 11.1m~51.3m
  • 12.8m~60.0m
  • 13.2m~68.0m
クレーン部
最大地上揚程
  • ブーム:52.2m
  • ジブ:72.3m
  • ブーム:60.0m
  • フルオートラフィングジブ:78.0m
  • ブーム:68.0m
  • フルオートラフィングジブ:86.0m
  • 油圧チルトジブ:103.0m

参照元:株式会社 加藤製作所、株式会社タダノ

※表は横にスクロールできます。

舗装されていない道路から一般道まで、さまざまな路面を走行できるのがオールテレーンクレーンです。大型の特殊車両で、吊り上げ能力は80tから700tクラスまでと幅広く、100tを超える大型モデルが一般的です。風力発電のブレード設置や橋梁の架設など、大規模プロジェクトで使用されます。

クレーン車の走行や操作はサイズに適した免許・資格が必要

クレーン車を取り扱うには、以下の2種類の免許や資格がそれぞれ必要です。

【クレーン車を取り扱うのに必要な免許・資格】

  • 公道を走行するための運転免許
  • クレーン操作や玉掛作業に関する資格

クレーン車を公道で運転するには、その車両の「車両総重量」と「最大積載量」に応じた運転免許が求められます。

免許証の種類と車両総重量・最大積載量を以下の表にまとめました。

免許証の種類 車両総重量 最大積載量
中型 準中型免許(5t限定)
※H19.6.2~H29.3.11までに普通免許を取得した者
5t未満 3t未満
準中型免許
※H29.3.12以降に準中型免許を取得した者
3.5~7.5t 2~4.5t
中型免許(8t限定)
※H19.6.1以前に普通免許を取得した者
8t未満 5t未満
中型免許
※H19.6.2以降に中型免許を取得した者
7.5~11t未満 4.5~6.5t未満
大型 大型免許 11t以上 6.5t以上

参考:警視庁警察庁

また、クレーン操作や玉掛作業に必要な資格は以下の表のとおりです。

▼クレーン操作に必要な資格

吊り上げ荷重 免許・資格
5t以上 移動式クレーン運転士免許
1t以上5t未満 小型移動式クレーン運転技能講習
1t未満 移動式クレーン運転特別教育

参考:厚生労働省

▼玉掛けに必要な資格

吊り上げ荷重 資格要件
1t以上 玉掛け業務技能講習
1t未満 玉掛け業務特別教育

参考:厚生労働省

クレーン車を使うには、車両の大きさに合った運転免許と、吊り上げ能力に合った操作資格の両方が必要です。必要な免許・資格がないまま運転・操作すると法律違反で罰則を受けるため、クレーン車を手配する際は、オペレーターが必要な資格を持っているか事前に確認しておきましょう。

免許・資格の詳細や取得方法については、以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

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レントでも、クレーン操作に必要な特別教育技能講習、玉掛け作業に必要な特別教育技能講習を実施しています。お問い合わせ・お申し込みは、以下からお気軽にご連絡ください。
【お問い合わせ先 レント教習センター TEL:054-265-2320

【補足】制限値を超えるクレーン車は「特殊車両通行許可」も必要

クレーン車は、車体の大きさや重さが道路の制限値を超えると「特殊車両」として扱われます。道路法の車両制限令では、公道の安全確保や構造保全のため、車両の幅・長さ・高さ・重さなどに「一般的制限値」を設けています。

具体的な制限値は以下の表のとおりです。

車両の諸元 最高限度(一般的制限値)
2.5m
長さ 12m
高さ 3.8m
重さ 総重量 20t
軸重 10t
輪荷重 5t
最小回転半径 12m

参考:国土交通省

ラフタークレーンやオールテレーンクレーンなどは、これらの制限値を超える場合が多く、公道を走行する前に「特殊車両通行許可」を取得しなければなりません。

もし、許可を得ずに公道を走行した場合、道路交通法違反として罰則が科されます。また、違反が発覚すれば工事が中断するリスクがあります。大型クレーン車の手配時には、通行経路の確認と許可申請を忘れずにおこないましょう。

クレーン車のサイズを把握して作業に最適な車両を選ぼう

クレーン車には多様な種類とサイズがあり、それぞれの特性を理解すれば、作業現場の広さ、必要な吊り上げ能力、搬入経路などに応じて最適な一台を選べます。しかし、自社でクレーン車を選定し、購入・導入するには多くの時間とコストが必要です。

そこで検討したいのが、必要な車両を必要な時だけ利用できる「レンタル」です。高額な車両購入費や定期的なメンテナンス費用、保管場所といった維持費を削減できます。

産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、クレーン付きトラックやクローラークレーンなどのレンタルに対応しています。「現場に最適なクレーンのサイズが分からない」「コストをできるだけ抑えたい」という方は、お気軽に見積もりを依頼ください。

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クレーン車を手配する際の流れなどについては以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

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