エンジンウェルダーとは?基礎知識と選び方、おすすめの機種を紹介

エンジンウェルダーは、電源が確保できない屋外の現場でも金属の溶接ができる機械です。多くの種類があり、現場の条件に合わない機種を選ぶと、パワー不足で作業が進まないなどのトラブルにつながることがあります。

本記事では、エンジンウェルダーの基礎知識から選び方のポイント、使用時に押さえておきたい資格や安全対策まで解説します。現場に合った1台を選ぶ際の参考にしてください。

産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、複数のエンジンウェルダーを取り扱っています。現場ごとに最適な機種を選びたい場合は、以下のボタンから見積もりをご依頼ください。

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エンジンウェルダーとは金属を溶接するための装置

エンジンウェルダーとは、ガソリンまたはディーゼルエンジンで発電し、その電力で金属を溶接する装置です。外部の電源が必要ないため、電源が確保できない屋外の現場で使えるのが特徴です。

現場によっては「ウェルダー」と呼ばれることもありますが、本記事ではエンジンウェルダーの名称で解説します。

エンジンウェルダーと発電機の違い

見た目や仕組みが似ている機械に「発電機」がありますが、両者の違いは以下のとおりです。

【エンジンウェルダーと発電機の違い】

  • エンジンウェルダー:溶接のための電力を作る機械で、機種によっては発電機能を備えたものもある
  • 発電機:電動工具や照明などに電気を供給するための機械で、溶接はできない

なお、溶接機には、エンジン稼働ではなくコンセントなどの外部電源から電気をとって動く据え置き型の溶接機もあります。エンジンウェルダーを含む、さまざまな溶接機の違いや選び方を知りたい場合は、以下の記事をご一読ください。

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エンジンウェルダーが活躍する現場

エンジンウェルダーは、建設現場や配管工事をはじめ、幅広い現場で活躍しています。

現場 用途例
建築・土木工事
  • 鉄骨造の建方現場での溶接
  • 橋梁の架設・補修工事
  • 道路工事での鋼製の仮設材の組み立て・撤去
インフラ・配管工事
  • 上下水道管やガス管の現場接合
  • プラント配管の据付・補修
産業・農業
  • 農機具(トラクターの部品など)の破損箇所の補修溶接
  • 工場敷地内での設備架台や手すりの修繕
  • 林業現場での機械部品の応急修理

例えば、農業の繁忙期にトラクターの金属パーツが破損したとき、電源がなくてもエンジンウェルダーがあれば、その場で溶接・補修ができ作業を再開できます。

現場に合ったエンジンウェルダーの選び方

エンジンウェルダーを選ぶ際は、以下の3つのポイントを確認しましょう。

詳しく解説します。

1.溶接棒・母材に合った電流が選べる

エンジンウェルダーを選ぶ際にまず確認したいのは、「溶接に必要な電流を出せるか」です。電流が不足すると溶接時に発生する電気の放電であるアークが不安定になり、溶接の品質が落ちてしまいます。そのため、余裕を持ったクラスを選ぶ必要があります。

以下の表は、一般的な被覆アーク溶接における適正電流の目安です。

溶接棒の太さ(直径) 母材の厚さ(目安) 適正電流(下向き) 該当のエンジンウェルダークラス
2.0mm 〜2.0mm程度 35〜60A 100A〜135Aクラス
2.6mm 2.0〜3.0mm程度 55A〜100A 135A〜150Aクラス
3.2mm 3.0〜5.0mm程度 80〜140A 150A〜200Aクラス
4.0mm 5.0〜9.0mm程度 120〜190A 200A〜300Aクラス
5.0mm 9.0〜16.0mm程度 170A〜260A 300A〜400Aクラス

適正な電流は、使用する溶接棒の太さと溶接したい金属(母材)の厚さ次第です。薄い金属には細い溶接棒、鉄骨など厚い金属には太い溶接棒を使い、溶接棒が太くなるほど必要な電流も大きくなります。

さらに、橋梁や鉄骨など厚みのある部材を扱う現場では、300A以上が必要になることもあります。このように、現場で使う鉄板やパイプの厚みを事前に確認しておくと、機種を絞り込みやすくなります。

2.使用目的に合った燃料タイプである

燃料タイプは、作業時間や持ち運びの条件に合わせて選ぶことが重要です。エンジンウェルダーには、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの2つがあり、それぞれ得意な場面が異なります。

種類 特徴
ガソリンエンジン
  • 燃料はレギュラーガソリン
  • 比較的小型で軽量なものが多い
  • 本体価格が比較的安い
ディーゼルエンジン
  • 燃料は軽油
  • ランニングコストが安い
  • 耐久性に優れる
  • サイズや重量が比較的大きい

ガソリンエンジンは、小〜中型が中心で手軽に持ち運びたい場合や機械の補修など短時間の作業に最適です。一方、ディーゼルエンジンは電流が大きくパワフルなので、建設現場での長時間稼働や厚い鉄骨の溶接をともなう本格的な作業に向いています。

3. 現場条件に合う機能を備えている

電流値と燃料タイプが決まったら、最後に現場で必要な機能やタイプが搭載されているかを確認して機種を絞り込みます。エンジンウェルダーのバリエーションは、以下のとおり、機体のタイプや機能によってさまざまです。

機能例 概要
低騒音 エンジン音を抑えた設計(後付けはできないため、必要な場合は最初から低騒音型を選ぶ必要がある)
2人同時溶接型 溶接電流の出力箇所が2つあり、2人同時に溶接ができる
インバータ制御 出力電流の波形を安定させる制御方式で、アークが安定し溶接品質が向上しやすい
アイドリングストップ 溶接していないときに自動でエンジン回転数を下げる、または停止する
電源機能(発電機能) 単相100Vや三相200Vなどの電源出力を備えている

2人用エンジンウェルダーは、2人同時に作業ができ作業時間の短縮につながります。ただし、同時に使用する際は1人あたりの出力が制限されるため、使用する溶接棒の太さに対して十分な電流が確保できるかを事前に確認しておきましょう。

すべての機能を搭載したモデルは価格が上がるため、現場で「なくて困るもの」から優先順位をつけ、必要な機能に絞り込むのがコストを抑えるポイントです。

エンジンウェルダーを手配・使用する際の注意点

ここでは、エンジンウェルダーの手配前に確認しておきたい資格と、使用時に徹底すべき安全対策をまとめます。

1つずつ見ていきましょう。

1.アーク溶接に必要な資格・講習

アーク溶接の業務に関連した資格は、以下のとおりです。

対象者 資格名
作業者全員に必要
  • アーク溶接等の業務に係る特別教育
作業主任者に必要
  • 金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習
  • または特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習

アーク溶接の業務をおこなうすべての作業者は、「アーク溶接等の業務に係る特別教育」の受講が義務付けられています。

また、溶接ヒュームが特定化学物質に指定されたことを受け、現場につき1名以上の作業主任者の選任が義務付けられました。作業主任者になるには、「金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習」または「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」のいずれかを修了している必要があります。

こうした講習は法律を守るためだけでなく、感電や火災といった重大な事故を防ぐために欠かせません。現場に入る前に、関係者全員の受講状況を確認しておきましょう。

2.一酸化炭素や溶接ヒュームへの対策

有害物質 概要
一酸化炭素
  • エンジンの排気ガスから発生する
  • 無色・無臭の気体で、吸い込むと頭痛・吐き気を起こし、重篤な場合は死に至る
溶接ヒューム
  • 溶接時にアーク熱で発生した金属の蒸気が、空気中で冷えて凝固した微細な粒子状物質
  • 長期間吸い込み続けると呼吸器疾患の発症リスクを高める原因となる
  • 令和3年4月に特定化学物質(管理第2類物質)に指定され、事業者には健康障害防止措置が義務付けられている

エンジンウェルダーを使った溶接をする際は、一酸化炭素と溶接ヒュームという2つの有害物質への対策を徹底しましょう。

エンジンウェルダーはエンジンを動力としているため、排気ガスから一酸化炭素が発生します。また、溶接時に発生する溶接ヒュームも、長期間の吸入で呼吸器疾患のリスクを高める有害物質です。

一酸化炭素と溶接ヒュームは発生の原因が異なり、以下のようにそれぞれ別の対策が求められます。

対策 内容
共通の対策
  • 作業場所は十分に換気する(屋内作業では特に重要)
  • 煙や排気ガスを吸い込まないよう、風上側に立って作業する
  • 防じんマスクなどの呼吸用保護具を着用する
一酸化炭素の対策
  • タンク内・トンネル内など換気が難しい場所では送気マスクを使用する
  • 一酸化炭素濃度の測定器を設置し、濃度を常時監視する
溶接ヒュームの対策
  • ヒュームコレクター(溶接ヒューム集塵機)を設置し、発生源で吸引する
  • 作業場は毎日清掃し、堆積した粉塵の二次飛散を防ぐ

作業者の健康を守るためにも上記の対策は必要です。

レントでも、溶接ヒュームの対策に必要な集塵機「ヒュームコレクター」を取り扱っています。詳細は以下をご覧ください。
>>ヒュームコレクターの詳細を見る

3.感電・火災のリスクと対策

エンジンウェルダーは強い電流を使い、作業中に高温の火花や溶けた金属の飛散(スパッタ)が発生します。さらに、ガソリンや軽油などの燃料を搭載しているため、据え置き型の溶接機にはない火災リスクもあります。

感電や火災を防ぐための対策は、以下のとおりです。

【感電対策】

  • 使用前に必ず接地(アース)を取る
  • 絶縁性の高い手袋や作業靴、遮光保護具を着用する
  • 溶接ケーブルが確実に接続されていることを確認する
  • 雨天時や濡れた環境での使用は避ける(やむを得ない場合は、防水対策と漏電遮断器の設置を徹底する)

【火災対策】

  • 作業場所の周囲に可燃物がないことを確認してから作業を開始する
  • 給油はエンジンを必ず停止してからおこなう
  • 使用前に燃料タンクや配管からの燃料漏れがないか確認する
  • 万が一に備え、作業場所の近くに消火器を設置する

長袖の作業着や前かけを着用し、火花やスパッタによるやけどを防ぐことも重要です。「少しの間だから」と保護具の着用を省略せず、短時間の作業でも安全装備を怠らないようにしましょう。

おすすめのエンジンウェルダー3選

おすすめのエンジンウェルダーを3つの種類に分けて紹介します。

1つずつ見ていきましょう。

1.エンジンウェルダー(130〜200A)

130〜200Aクラスのエンジンウェルダーは、小型・軽量で場所を取らないタイプです。機種によって、現場内での移動が簡単にできるキャスター付きや、本体重量50kg前後のパイプフレーム型で運びやすいといった特徴があります。

さらに、電源機能付きのインバータタイプや、TIG溶接機の電源として使えるモデルもあり、溶接と電動工具の使用を1台でまかないたい場合にもおすすめです。

エンジンウェルダー(130〜200A)の詳細を見る

2.エンジンウェルダー(300〜400A)

厚い部材の溶接や長時間の使用に適した設計になっているのが、300〜400Aクラスのエンジンウェルダーです。建築・土木工事など、出力と耐久性が求められる現場に向いています。

400Aクラスには、2人同時に溶接ができるモデルもあり、作業時間を短縮したい現場で役立ちます。オイルガード付きのモデルは、土壌や河川への汚染を防げるため、環境面の配慮が求められる現場にも対応可能です。

エンジンウェルダー(300〜400A)の詳細を見る

3.エンジンウェルダー(自動アイドリングストップ付/300A・340A)

自動アイドリングストップ付きのエンジンウェルダーは、むだな運転を減らして燃費を抑えられるモデルです。あらかじめ設定した時間(1〜30分)溶接作業を止めると、自動的にエンジンが停止するため、CO2排出量の削減につながります。

直径2.0〜6.0mmの溶接棒に対応しており、幅広い用途で使用できます。溶接特性を調節する機能で、アークが安定した均一な仕上がりが得やすく、溶接品質にこだわる現場にもおすすめです。

エンジンウェルダー(自動アイドリングストップ付/300A・340A)の詳細を見る

エンジンウェルダーの導入なら管理コストが低めのレンタルがおすすめ

エンジンウェルダーは、電流クラス・燃料タイプ・搭載機能の組み合わせで最適な機種が変わります。作業内容や現場の条件に合わせて選びましょう。

現場に合った機種を使いたい場合は、その都度選べるレンタルがおすすめです。レンタルであれば、必要な期間の利用料だけで済むため、購入に比べてコストやメンテナンスの手間を抑えられます。

産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、複数のエンジンウェルダーを取り扱っており、現場の規模や用途に合わせた選択が可能です。また、補償サービスが整っているため、万が一の事故や破損にも備えられます。まずはお気軽に見積もりをご依頼ください。

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