「業務用台車を探しているけれど、種類が多くてどれを選べばいいのかわからない」といったお悩みはありませんか?台車は一見シンプルな運搬道具に見えますが、選び方を間違えると作業効率が下がったり、思わぬ事故の原因につながります。
この記事では、代表的な業務用台車の種類から、現場の状況に合わせた選び方、安全に使用するための注意点までを解説します。自社の業務に適した一台を見つけ、日々の作業効率と安全性を向上させるためにも、ぜひお読みください。
なお、特定の期間だけ台車が必要な場合や、繁忙期に合わせて台数を調整したい場合は、レンタルサービスの利用が便利です。産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、豊富な種類の業務用台車をご用意しておりますので、お気軽に下記より見積もりを依頼ください。
【業務用】代表的な台車の種類8選
業務用台車には、運ぶ荷物や使用環境に合わせてさまざまな種類が存在します。ここでは、以下のような代表的な8種類の台車の特徴を解説します。
それでは、順に紹介していきます。
1. 平台車(平床台車)
ハンドルがなくフラットな荷台が特徴の平台車は、汎用性が高い台車です。ハンドルがないことで進行方向が限定されず、360度自由に動かせるため、狭い倉庫内の通路や入り組んだ場所での荷物運搬をスムーズにおこなえます。
荷台とキャスターのみのシンプルな構造のため、段ボール箱のような定型物から機械部品のような不定形なものまで、さまざまな形状の荷物に対応可能です。「複数の作業員で、大型の家具を囲んで運ぶ」「複数の平台車を連結させ、長尺の資材を運ぶ」といった柔軟な使い方もできます。
また、異物やホコリの侵入が許されない環境で使用できるクリーンルーム用の台車もあります。
2. 手押し台車
進行方向にハンドルが取り付けられており、立ったままの姿勢で操作できる手押し台車もあります。ハンドルがあることで、重量のある荷物を運ぶ際にも安定した操作ができ、進行方向のコントロールや停止がしやすいです。
ハンドルが固定されたタイプは構造的に頑丈で壊れにくく、特定の場所でハードな使用が想定される場合に向いています。一方でハンドル部分が折りたためるタイプは、使用しない時にコンパクトに収納できるだけでなく、トラックの荷台に積んで複数の現場へ持ち運ぶ際に便利です。
ただし、折りたたみ式は収納に便利な反面、破損しやすいというデメリットがあり、固定式は頑丈ですが場所を取るという欠点もあります。用途に応じて適切な台車を選ぶことが大切です。
3. 2段式・3段式
荷台が2段または3段の棚状になっている台車は、一度に多くの種類の荷物を整理しながら運搬できる点がメリットです。倉庫でのピッキング作業において、伝票を見ながら異なる商品を棚ごとに仕分けして載せることで、作業効率を向上できます。
また、軽作業の現場では、以下のようにワゴンとしての役割も果たします。
【ワゴンとしての使用例】
- 病院でカルテや医療器具を運ぶ
- 工場で細かな部品を工程ごとに分けて移動させる
複数の小さな荷物を効率的に運びたい場合に最適な台車といえます。
4. かご台車
物流倉庫やスーパーのバックヤードでよく見かけるかご台車は、三方(または四方)が金属製の柵で囲まれている台車です。大量の荷物を、まとめて安全に運搬できるように設計されています。
段ボール箱などを高く積み上げても荷崩れの心配が少ないため、トラックへの積み下ろしや倉庫内のレイアウト変更時によく使われます。店舗によっては、商品を載せたまま売り場に出して陳列棚として活用するケースがあり、運搬と陳列の二役をこなすことが可能です。
ただし、荷物を高く積みすぎると重心が上がりバランスを崩しやすくなるため、運搬後は必ずキャスターストッパーで車輪を固定し、転倒事故を防ぐことが重要です。
5. 金網付き台車
金網付き台車は、荷台の四方が金網で囲われており、運搬中の荷物の落下を確実に防ぐことを目的としています。大きさの不揃いな小物や、ボールのように転がりやすい不定形な荷物を運ぶ際に、荷物の破損や紛失のリスク軽減に効果的です。
特に荷物が落下すると、製品の破損だけでなく、作業員がそれにつまずいて転倒するなど、二次的な事故を引き起こす恐れもあります。そうしたリスクを避け、作業効率と安全性の双方を高めたい場合に、金網付き台車が活躍します。
ほかにも倉庫や物流の現場でよく用いられる台車について以下の記事で紹介していますので、合わせてご覧ください。
台車は、重い荷物を効率よく運べる便利なツールとして物流をはじめとした、さまざまな現場で使われています。一方で種類が豊富なため、用途に適したものをどう選べばよいか迷うことはありませんか? 本記事では、台車の種類や名称・用途や条件に合わせ[…]
6. ドラム缶運搬車
ドラム缶運搬車は、重量があり人力での移動が困難なドラム缶を、安全かつ効率的に運ぶための専用台車です。ドラム缶の縁に爪を引っかけて本体を傾けることにより、テコの原理を応用して重いドラム缶を軽々と持ち上げることが可能です。
ドラム缶は内容物によっては数百キロにもなり、万が一転倒させると重大な事故につながる危険性があります。そこでドラム缶運搬車を使うことで、作業者がドラム缶の下敷きになるような事故を防ぎ、腰への負担といった身体的な疲労も軽減できます。
7. ハゼ式折板屋根専用台車
工場や倉庫でよく見かける波型の金属屋根(ハゼ式折板屋根)の上で、資材をスムーズに運搬するために開発された特殊なタイプが、ハゼ式折板屋根専用台車です。太陽光パネルの設置工事や屋根の補修作業の際に、資材や工具を安全かつ効率的に移動させるのに役立ちます。
この台車の最大の特徴は、一般的なキャスターの代わりに、屋根の凸凹にフィットする棒状の樹脂が使われている点です。摩擦を最小限に抑え、デリケートな屋根材を傷つけることなく滑るように移動させられます。
8. 悪路搬送台車
悪路搬送台車は、通常の台車では走行が困難な、舗装されていない地面での運搬を可能にするために設計された台車です。砂利道、ぬかるんだ土、雪道、草地といった不整地でもスムーズに荷物を運べるよう、一般的なキャスターの代わりにクローラなどが採用されています。
建設現場や農作業、さらにはキャンプや砂浜でのレジャーシーンなど、その活躍の場は多岐にわたります。これまで人力で苦労して運んでいたような悪路でも、この台車があれば作業負担を軽減し、効率的な運搬が可能です。
業務用の台車を使うときの注意点
台車は便利な道具ですが、使い方を誤ると重大な事故につながる危険性があります。安全に使用するために、以下の点に注意してください。
まず、荷物を高く積み上げる行為は絶対に避けましょう。荷物が高くなると作業者の前方の視界が遮られ、人や障害物との衝突事故の原因となります。
また、重心が高くなると不安定になり、わずかな段差や傾斜でも荷崩れや台車の転倒リスクが高まります。安全に運搬するには、荷物の高さを作業者の胸の高さまでに抑え、常に視界を確保することが基本です。。
段差を乗り越える際も注意が必要です。勢いに任せて無理に通過しようとすると、段差との衝突により以下のようなリスクが高まります。
【段差を勢いまかせに乗り越えてはいけない理由】
- 台車が跳ね上がって荷物が落下する
- キャスターが破損・変形する
- 急停止の衝撃により作業員自身が怪我を負う
段差の前では一度停止し、台車を段差に対して正面に向け、ゆっくりと進入させることが重要です。
坂道での操作は平坦な場所とは比較にならないほど危険をともないます。特に下り坂では、荷物の重みで台車が加速し制御不能に陥る恐れがあるため、決して1人で操作せず、必ず複数人で台車を支えるなど事故を未然に防ぐための対策を徹底してください。
業務用の台車の選び方
自社の業務に最適な台車を選ぶためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
では、それぞれについて解説します。
1. 使用環境に適した素材でできている
台車を選ぶ最初のポイントは、どのような環境で使用するのかを明確にすることです。台車の素材は以下のように複数あるので、環境に適した種類を選ぶ必要があります。
素材 | 特徴 |
アルミ |
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樹脂 |
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スチール |
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例えば、屋外や水気のある場所で頻繁に使用する場合は、サビに強いアルミ製や樹脂製、衝撃や荷重に対する耐久性を重視するなら頑丈なスチール製が向いています。また、食品工場や精密機械を扱うクリーンルームなど、衛生管理が求められる現場では、洗浄しやすくさびにくいステンレス製の台車が最適です。
このように、使用場所の環境(屋内・屋外、床の材質、求められる静音性など)を考慮して素材を選ぶことが、台車を長く安全に使うために大切です。
2. 荷物に適したサイズや耐荷重である
運搬する荷物の重量に対して、台車の最大積載量が十分であるかを確認することは、安全に作業を進めるうえで重要な項目です。最大積載量を超えた使用は、フレームの変形やキャスターの破損を引き起こし、運搬中の荷物の落下や台車の転倒といった重大な事故に直結します。
台車の耐荷重を求める際は、以下のように「キャスター1輪の許容荷重 × 4個 × 0.8(安全係数)」で計算されます。
しかし、あくまで目安であるため、耐荷重に余裕を持たせた製品選びが重要です。また、台車が動いている状態の耐荷重(動荷重)と、静止している状態の耐荷重(静荷重)は、以下のように異なります。
静荷重は動荷重に対して2~3倍の積載重量があるため、場面によって積載量を調整することも考慮してください。さらに、荷物のサイズに対して荷台が小さすぎると、運搬中に荷物がはみ出して落下する危険があるため、荷物の大きさに合ったサイズの台車を選ぶ必要があることも覚えておきましょう。
3. 現場の安全基準に必要な機能がある
安全な作業環境を維持するため、現場によっては台車の仕様に関する独自のルールが設けられていることがあります。
例えば、新築の建物内やデリケートな床材の場所では、床に傷や跡をつけにくいウレタン製やゴム製のキャスターの使用が義務付けられている場合があります。また、病院や静かなオフィスビルなど、騒音に配慮が必要な環境では、走行音を抑えた静音タイプのキャスターが必要です。
特に、傾斜のある場所や重量物を扱う現場では、積み下ろし時に台車が不意に動き出すのを防ぐストッパー機能が求められます。
概要 | |
固定キャスター |
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自在キャスター |
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上記のように、キャスターが固定タイプであるか、自在タイプであるかによって操作性が異なるため、現場の用途に適したものを選びましょう。
業務用の台車を利用するならレンタルがおすすめ
台車は、単なる運搬用具ではなく、企業の生産性と安全性を左右する重要なツールです。そのため業務用台車を選ぶ際は、運搬する荷物や作業環境を考慮し、最適な種類と機能を備えたものを選ぶことが、業務の効率化と安全確保につながります。
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