アーク溶接機とは?選び方やおすすめの製品6選を紹介

アーク溶接とは、アーク放電という現象を利用して金属を接合する手法のことです。幅広い用途で重用されますが、さまざまな手法があるため用途に適した溶接機を選ぶことが重要です。

本記事では、アーク溶接のなかでも最も一般的な「被覆アーク溶接」に用いる溶接機の基礎知識をまとめました。おすすめの溶接機も紹介しているので、「作業に適した溶接機を選びたい」とお考えの方は、ぜひお読みください。

なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、さまざまな溶接機をご用意しています。全国の豊富な在庫から作業に合った機械を提案いたしますので、以下よりお気軽に見積もりをご依頼ください。

見積もりを依頼する

アーク溶接機とは

アーク溶接機とは、アークを発生させ金属を溶かして接合するための機械を指します。アーク溶接にはさまざまな種類があり、方式によって大きく2つにわけられます。

電極消耗 溶接法
非消耗電極式(非溶極式)
  • TIG溶接
  • プラズマ溶接
消耗電極式(溶極式)
  • 被覆アーク溶接
  • MAG溶接
  • MIG溶接
  • CO2溶接
  • セルフシールドアーク溶接(EGW)

「アーク」とは、高温で強い光を発する気体放電現象の1つです。アークの熱を溶接に利用し、電極を溶かして溶接する手法を「消耗電極式」、電極の代わりに溶加棒を溶かす手法を「非消耗電極式」といいます。

産業機械を扱う業界でアーク溶接といえば、消耗電極式の「被覆アーク溶接」を指す場合が一般的です。

【被覆アーク溶接とは】

    • 母材(金属)と溶接棒の間にアークを発生させ、その熱で溶接棒を溶かして金属を接合する手法
  • 古くから、製造工場や工事現場など幅広い現場で採用されている

そこで本記事では「アーク溶接=被覆アーク溶接」として選び方や注意点などをこれから解説します。なお、非消耗電極式の手法の1つである「TIG溶接」について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

>>TIG溶接機の基礎知識まとめ|仕上がりに差をつける3つのポイントも解説

アーク溶接機を選ぶときの3つのポイント

アーク溶接機を選ぶときは、以下の3つを基準に選びます。

アーク溶接機を選ぶときの3つのポイント

順に見ていきましょう。

1.使用する母材に適している

1つ目のポイントは、使う母材(金属)に適している溶接機であることです。溶接機は、どのような金属にも対応できるわけではありません。

【母材に適した溶接機】

    • 鉄・鋼・鋳物:アーク溶接機
  • ステンレス、アルミ、チタンなど:TIG溶接機

母材に合った溶接機を使えば、溶接がスムーズになり完成度の高い仕上がりになります。そのため、上記のように母材に合った溶接機を選ぶことが重要です。

2.現場で定格入力電流に合った電力を確保できる

次に、現場で溶接機の定格入力電流を満たす電力を確保できるかどうかも確認しておきましょう。

【定格入力電流とは】
溶接機が最大限のパワーを出すために必要な電流のこと。

供給される電力が定格入力電流を下回ると、溶接機が本来のパワーを発揮できず、品質や作業の効率が低下する恐れがあります。事前に作業場所で使える電源をチェックし、電力が足りない場合は十分な電力を確保できるよう発電機の用意も検討しておきましょう。

3.定格使用率が適している

アーク溶接機を選ぶ際は「定格使用率」の確認も重要です。定格使用率が作業に適していないと、効率的に溶接を進められません。

【定格使用率とは】
「10分」のうち何分溶接できるかを示した数値。
※定格使用率が50%の溶接機の場合、5分間の溶接作業後に5分間の休憩が必要

注意が必要なのは、定格使用率はあくまで「10分間のうち何分利用できるか」をあらわしている点です。定格使用率が50%の場合、1時間のうち30分使えるというわけではないため、間違った認識で使うと機械に負担がかかり故障の原因になります。

もちろん、短時間の作業や断続的な使用であれば、定格使用率が低い溶接機でも問題なく作業を進められます。

しかし、長時間にわたり連続して作業が必要な場合は、定格使用率の低い溶接機では頻繁に作業を中断しなければならないため、定格使用率が作業に適しているアーク溶接機を選ぶことが重要です。

アーク溶接機を使用するときの2つの注意点

アーク溶接機を使うときは、注意点がいくつかあります。ここで、とくに知っておくべき以下の2点を解説します。

アーク溶接機を使用するときの2つの注意点

順に見ていきましょう。

1.必要な資格を取得する

1つ目の注意点は、アーク溶接機を使うには「技能講習」や「特別教育」を受講する必要があることです。2024年に労働安全衛生規則等が改正され、アーク溶接作業をおこなう人は以下の資格が必要とされています。

資格 講習時間 受講後にできること
アーク溶接特別教育 21時間以上 アーク溶接作業ができる
アーク溶接技能講習 6時間以上 作業主任者として現場の指揮ができる
※講習後の試験に合格する必要がある

資格を持たないまま作業をすると、法律に反するだけでなく事故につながる恐れもあるため、作業の開始前に必要な講座を受講しておきましょう。

2.溶接ヒュームの対策をおこなう

アーク溶接作業では、「溶接ヒューム(アークを用いて溶かした金属が蒸気になり空気中で冷却され、金属酸化物の細かい粒子となったもの)」への対策も欠かせません。

溶接ヒュームを吸い込むと神経障害など健康に影響が出る恐れがあるため、以下のような対策が必要です。

【溶接ヒュームの対策】

  • 作業場所では十分に換気する
  • 作業場所を毎日掃除する
  • 作業者は防じんマスクなどの呼吸用保護具を着用する

厚生労働省では、「屋内作業場」「屋外作業場」どちらであっても対策が必要とされています。健康を守るために、作業する環境を整え安全に溶接作業をおこないましょう。

アーク溶接機を用意するならレンタルがおすすめ

レントでアーク溶接機をレンタルするメリット

アーク溶接機を用意するなら、レンタルサービスの利用がおすすめです。アーク溶接作業では、溶接機の定格入力電流や定格使用率、母材の種類などを確認したうえで、作業内容に合った機器を選ぶことが重要です。

さまざまな作業に柔軟に対応するには、複数のアーク溶接機を用意しなければなりません。購入するとなれば購入費用が膨らむだけでなく、保管場所の確保やメンテナンス費用なども考慮しなければなりません。

一方、レンタルなら最低限のコストで溶接機を柔軟に用意できるうえ、メンテナンスされた機器を利用できるため、安心して作業に取り組めます。

なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、直流や交流のアーク溶接機をはじめバッテリータイプなども保有しています。機器の種類が豊富なため、作業内容や利用シーンに合った溶接機を選ぶことが可能です。

万が一アーク溶接機を破損した際も補償サービスで修理費用を抑えられます。溶接機の関連機器も一括でレンタルできますので、調達の手間を省きたい方は以下のボタンよりお問い合わせください。

見積もりを依頼する

レンタルにおすすめのアーク溶接機6選

ここからは、レンタルにおすすめのアーク溶接機を6つ紹介します。

順に見ていきましょう。

1.直流アーク溶接機

直流アーク溶接機

※画像は代表機種のものです。

概要 詳細
定格入力電流(A) 100~3,600
入力電圧 (V) 単相100、単相200 など
使用溶接棒(mm) φ1.0~2.6、
φ1.6~6.0 など
定格使用率(%) 40~100(190A) など
外形寸法 (mm)
(幅×奥行×高さ)
163×360×215、
248×445×410 など
重さ(kg) 6.2~21

直流アーク溶接機は、安全に溶接作業ができる機器です。交流アーク溶接機と比べて感電の危険が抑えられるので、安心して作業を進められます。

また、インバーター方式を採用しているためアークが安定し、溶接作業の完成度を高められます。ケーブルを延長させても電流が落ちにくく、広い作業現場でも安定した溶接作業が可能です。

抵抗器/直流アーク溶接機の詳細を見る

2.交流アーク溶接機

交流アーク溶接機

※画像は代表機種のものです。

概要 詳細
定格入力電圧 (V) 200、440
相数 単相
使用溶接棒(mm) φ2.6~5、
φ3.2~8 など
定格使用率(%) 20~60
外形寸法 (mm)
(幅×奥行×高さ)
255×410×400、
475×785×950 など
重さ(kg) 34~213

交流アーク溶接機はアークが安定しており、操作性や耐久性も高い機器です。使いやすく、長期間にわたって使う場合でも安心して対応できます。

機器のサイズがコンパクトで重量も比較的軽いため、作業現場での持ち運びが簡単です。現場内で度々移動が必要な場合におすすめします。

抵抗器/交流アーク溶接機の詳細を見る

3.バッテリー溶接機

バッテリー溶接機

概要 詳細
型式 アキュポケット150 BDW-180MC(2)
定格入力電流(A) 140( 25%使用率) 170
充電入力定格 AC100~110V AC100V・1.5kVA
使用溶接棒(mm) φ2.0~4.0
定格使用率(%) 18 20
外形寸法 (mm)
(長さ×幅×高さ)
435×160×310 520×300×445
重さ(kg) 11 58.5
操作要件(アーク溶接) 特別教育 特別教育

※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。

屋外で溶接したい場合など、電源の確保が難しい場合に便利な機器がバッテリー溶接機です。軽天工事や設備工事、鉄工所での出張工事など、幅広いシーンで使えます。

「アキュポケット150」という型式は肩にかけて持ち運びができ、急速充電も可能です。

「BDW-180MC」は騒音が発生しないうえ、メンテナンスが不要なモデルです。100V電源も使えるため、バッテリー残量を気にすることなく作業が進められます。

バッテリー溶接機の詳細を見る

4.ミニウェルダー(130~200A)

ミニウェルダー(130~200A)

※画像は代表機種のものです。

概要 詳細
電流調整範囲 (A) 40/60/80/100/115/135、
60~180/50~200 など
使用溶接棒(mm) φ2.0~3.2、
φ2.0~4.0 など
定格使用率(%) 40~50
燃料 ガソリン、軽油
外形寸法 (mm)
(長さ×幅×高さ)
540×435×465、
998×603×773 など
重さ(kg)
※乾燥質量
49~212

※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。

ミニウェルダーはエンジンで動くタイプの溶接機です。小型なので現場内で場所を取らず、キャスター付きタイプは簡単に移動ができます。

発電機の機能を備えたタイプやTIG溶接機の電源として使えるモデルなども扱っているため、発電機の用意を検討している場合にもおすすめです。

エンジンウェルダー(130~200A)の詳細を見る

5.エンジンウェルダー(300~400A)

エンジンウェルダー(300~400A)

概要 詳細
電流調整範囲 (A) 30~300、
60~380/600~400 など
発電-定格出力 (kVA) 単相3、三相15 など
使用溶接棒(mm) φ2.0~6.0、
φ2.0~8.0 など
定格使用率(%) 50~100
外形寸法 (mm)
(幅×奥行×高さ)
1,270×680×740、
1,520×700×943 など
重さ(kg)
※乾燥質量
300~500

※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。

300~400Aのエンジンウェルダーは軽油で動く溶接機なので、電源を確保しにくい屋外での作業に向いています。

溶接の際は4mm棒を使って2人同時に作業ができるため、作業効率を上げたい場合にもおすすめです。オイルガード付きのモデルもあり、土地や河川へのオイル漏れを防げます。

エンジンウェルダー(300~400A)の詳細を見る

6.エンジンウェルダー(自動アイドリングストップ付/300A・340A)

エンジンウェルダー(自動アイドリングストップ付/300A・340A)

概要 詳細
型式 DLW-320LS DLW-200×2LS
使用人数 1人使用時 2人使用時
溶接電源 定格出力 (kW) 8.74 7.9/8.7 7.8/8.8
定格電流 (A) 280 260/280 150/165
定格電圧 (V) 31.2 30.4/31.2 26.0/26.6
電流調整範囲 (A) 30~320 30~300/30~340 30~180/30~200
定格使用率 (%) 100
使用溶接棒(mm) φ2.0~6.0 φ2.0~6.0 φ2.0~4.0
交流電源 三相 定格出力 (kVA) 9.9 10.7/11.8
定格電圧 (V) 200/220
単相 定格出力 (kVA) 8.0 7.0/7.7
定格電圧 (V) 100/110
外形寸法 (mm)
(長さ×幅×高さ)
1,410×680×760
重さ(kg)
※乾燥質量
370 399

自動アイドリングストップの機能が付いているエンジンウェルダーは、事前に設定した時間(1~30分)で溶接作業を止めると自動的にエンジンが停止します。エンジンのむだ遣いを減らせるので、燃費の削減が可能です。

また、溶接特性調整器を搭載しており、「定電流特性」や「垂下特性」の調整ができます。

【定電流特性・垂下特性とは】

    • 定電流特性:アーク長が変化しても溶接電流が変化しない特性
  • 垂下特性:溶接出力電圧の上昇・低下に比例して、出力電流が減少・増加する特性

自在にそれぞれの特性を調整できるため、仕上がりの質をより高められます。

エンジンウェルダー(自動アイドリングストップ付/300A・340A)の詳細を見る

作業内容に合ったアーク溶接機を使おう

アーク溶接機は、金属を溶かして溶接ができる機械です。定格入力電流や定格使用率などはさまざまなので、作業内容に合った機器を選ぶことが大切です。使用する前に資格を取得しているか、溶接ヒュームの対策をおこなったかも確認しましょう。

なお、アーク溶接機をレンタルするなら、産業・建設機械のレンタル会社「レント」がおすすめです。レントでは直流・交流やバッテリータイプなど豊富な種類の機器を取りそろえており、作業に合った機器を提案できます。

補償サービスも整っているため「万が一の事故や機器の破損にも備えたい」とお考えでしたら、以下のボタンからお気軽に見積もりをご依頼ください。

見積もりを依頼する

>CONTACT

CONTACT

現場・利用箇所や状況や種別に合わせた機材の
レンタルについてのお問い合わせはこちら