TIG溶接機の基礎知識まとめ|仕上がりに差をつける3つのポイントも解説

TIG溶接機とは、不活性ガスを使って金属を溶接する機械のことです。さまざまな金属の溶接に使用できますが、主にステンレスの溶接に用いられます。

本記事では、TIG溶接機の基礎知識から使用するときのポイントまでまとめました。おすすめのTIG溶接機も紹介しているので、「案件にあった溶接機を探している」という場合は、ご一読ください。

なお、産業・建設機械を扱うレンタル会社「レント」では、さまざまな種類のTIG溶接機を取り揃えています。直流・交流の両用タイプやエンジン式、オイルガード付きなどご要望に応じて用意いたしますので、以下よりお気軽にお見積もりを依頼ください。

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TIG溶接機とは

TIG溶接機とは

【TIG溶接とは】

  • 「TIG」は「Tungsten Inert Gas(タングステン イナート ガス=タングステン不活性ガス)」の略称
  • 放電現象(アーク)を利用する溶接手法「アーク溶接」のひとつ
    ※ただし、TIG溶接では火花がほとんど散らない

TIG溶接機は、タングステン電極に電気を流し、溶接する母材との間に高温のアークを発生させ、母材同士を溶かして接合する機械です。

溶接中に金属へ空気が入り込むと欠陥が生じたり、仕上がりの外観が悪くなったりするため、化学反応を起こしにくい「アルゴンガス」という不活性ガスを母材に吹き付け、空気の混入を防ぎます。

TIG溶接では、ほぼすべての金属の溶接ができますが、ステンレスの溶接に用いられるケースが多いです。

TIG溶接機の4つのメリット

TIG溶接機のメリットは以下の4つです。

TIG溶接機の4つのメリット

順番に説明します。

1.金属をきれいに溶接できる

TIG溶接機は、溶接中に金属が空気に触れないよう不活性ガスを使用して金属を溶接します。そのため、金属内に気泡が発生するのを防いで、きれいに溶接することが可能です。

また、TIG溶接ではスパッタがほとんど発生しないことから、美しい見た目に仕上げられます。

【スパッタとは】

溶接作業のときに発生する、溶けた金属が飛び散って固まったもののこと。

以上から、溶接後の見た目を美しく仕上げたい場合にTIG溶接機を活用すると、想定どおりの品質で溶接ができます。

2.さまざまな種類の金属を溶接できる

TIG溶接機では、融点が高く消耗しにくい金属「タングステン」を使用した電極を用いるため、以下のようにさまざまな金属の溶接が可能です。

  • アルミ
  • チタン
  • ステンレス

複数の金属を使用する商品の製造でもあらゆる母材に対応できるため、汎用性の高い製品といえます。

3.溶けた金属が周囲に飛散しない

TIG溶接は、不活性ガスを使用して安定したアークを発生させるため、溶接中に溶融金属の小さな滴が周囲に飛び散る現象「スパッタ」が発生しにくい利点があります。

溶接作業ではスパッタが周囲に飛び散ることが珍しくないため、TIG溶接であれば、作業環境をきれいに保てるうえ、仕上がりの美しさも損なわれることがありません。

4.作業時に火花が出ない

作業時に火花が出ない点もTIG溶接機のメリットです。火花が出ないぶん溶接する部分を目視しやすく、複雑な形状のものでも正確に溶接できます。

また、火花やスパッタがほとんど発生しないため、作業時の音がほかの溶接機に比べて小さい点も特徴です。さらに、火花が原因で火災が発生するリスクも抑えられるので、発電所や工場などでも安全に使用できます。

TIG溶接機の2つのデメリット

TIG溶接機のデメリットは以下の2つです。

TIG溶接機の2つのデメリット

それぞれ解説します。

1.風が吹く場所で使うには不向き

TIG溶接機は不活性ガスを使用するため、屋外や風が吹く環境では使いにくいのが難点です。風によって溶接部に空気が入り込むと、酸素と金属が結合してしまい溶接の完成度が低下するので、TIG溶接機の利点が十分に発揮されません。

可能であれば、倉庫などの屋内に移動するのがおすすめですが、どうしても屋外での作業が必要な場合は、風を避けるためのパーテーションを準備して作業しましょう。

2.不活性ガスが高価なためコストがかかる

TIG溶接に使用する不活性ガスは高価なので、長期的に使用する場合にはコストがかさみます。また、本体を購入する場合もまとまった費用が必要なため、できるだけコストを削減したいならレンタルがおすすめです。

ただし、不活性ガスは基本的にレンタルができないため別途購入しなければなりません。限られたコストで目的に合ったTIG溶接機を用意するなら、「本体をレンタルし、不活性ガスはその都度購入する」という方法を検討してみましょう。

TIG溶接機を使用するときの3つのポイント

TIG溶接機を使用するときのポイントは以下の3つです。

TIG溶接機を使用するときの3つのポイント

それぞれ解説します。

1.溶接トーチの角度を一定にする

1つ目のポイントは、溶接トーチの角度を一定にすることです。作業中に溶接トーチの角度が変わると、手元がぶれてタングステン電極が母材に接触するため、以下のような不具合が起こります。

【溶接トーチの角度がブレて発生する不具合の例】

  • 溶接部付近に黒いすすが発生する
  • タングステン電極の先端が変形する

上記の現象を防ぐには、溶接トーチの角度を一定に保ったうえで溶接作業をおこなうことが重要です。溶接トーチの角度をキープすると、きれいで品質の高い仕上がりになります。

2.力を抜いて正しい姿勢を保つ

力を抜き、正しい姿勢を保つこともTIG溶接機を使うときのポイントです。作業中に力んでしまうと、アークの発生が不安定になったり、ノズルが滑ってタングステン電極が母材に接触したりする恐れがあります。

これらを防ぐため、リラックスした状態で作業を進めることが重要です。

【TIG溶接で意識したい作業姿勢】

  • 指で支えるようにして溶接トーチを持つ
  • 手を作業台から浮かせないようにする
  • 溶接部に顔を近づけて視界を確保する
  • 溶接トーチを動かしやすいようにトーチケーブルを肩にかける

上記を意識すると安定した姿勢で作業を進められるので、よりきれいに溶接できます。

3.タングステン電極と母材は2~3mm離す

TIG溶接機を使用する際は、タングステン電極と母材を2~3mm離すようにしましょう。タングステン電極が母材から離れすぎると、溶接棒が玉状に溶けて落ちてしまいます。

また、タングステン電極を出しすぎると母材と接触する恐れがあるため、注意が必要です。近すぎず遠すぎない間隔を保てば溶接が安定するため、満足のいく仕上がりで完成します。

TIG溶接機をレンタルするなら「レント」がおすすめ

レントでTIG溶接機をレンタルする2つのメリット

TIG溶接機を借りるなら、産業・建設機械のレンタル会社「レント」がおすすめです。レントでは、以下のようにさまざまなTIG溶接機を用意しているため、作業内容に最適な機械を選べます。

  • エンジン式
  • オイルガード付き
  • 直流・交流の両用タイプ

上記のほかにも、多様な溶接機を取り扱っておりますので、用途に最適な機械をご提案することが可能です。

さらに補償サービスがあるので、万が一、破損や故障が発生しても予期せぬ出費のリスクを抑えられます。「安心してTIG溶接機のレンタルをしたい」とお考えの場合は、ぜひ以下からお見積もりを依頼ください。

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レンタルにおすすめのTIG溶接機5選

ここで、レンタルにおすすめのTIG溶接機を紹介します。

順番に見ていきましょう。

1.TIG溶接機(直流150~200A)

TIG溶接機(直流150~200A)

概要 詳細
出力電流調整範囲:TIG (A) 3~150
出力電流調整範囲:手溶接 (A) 10~140
充電時間 (分) 30(90%)、50(100%)
外形寸法 (mm) 435×160×310
重さ (kg) 11

直流150~200AのTIG溶接機は、出張や移動が発生する現場に適したモデルです。バッテリー式の製品は電源ケーブルが不要で、作業場所を簡単に移動できます。本体の重さも10kg前後と比較的軽いため、持ち運びも簡単です。

さらに、溶接時に発生するノイズを抑える機能や、ほかの機器からのノイズに強い製品もあります。精密な作業や電子機器の近くで溶接をおこなう際も安心です。

TIG溶接機(直流150~200A)の詳細を見る

2.TIG溶接機(直流300A)

TIG溶接機(直流300A)

概要 詳細
出力電流調整範囲:TIG (A) 4~180/4~300 など
出力電流調整範囲:手溶接 (A) 4~250/10~250 など
外形寸法 (mm) 380×380×260/288×520×552 など
重さ (kg) 19.5~41

直流300AのTIG溶接機には、1A単位で電流を細かく設定できるモデルがあります。1A単位でデジタル制御するため、ばらつきのない溶接で精密な作業にも対応可能です。

また、アークが安定することでスパッタを抑え、高い完成度で仕上げられます。高周波ノイズの影響を抑えられるタイプもあり、電子機器の近くで作業する際も安心です。

精密な溶接作業をおこなう場合は、ぜひ以下より詳細をご覧ください。

TIG溶接機(直流300A)の詳細を見る

3.TIG溶接機(交流・直流両用 300~500A)

TIG溶接機(交流・直流両用 300~500A)

概要 詳細
出力電流調整範囲:直流TIG (A) 4~300/5~500
出力電流調整範囲:直流手溶接 (A) 4~250/50~400
出力電流調整範囲:交流MIX TIG (A) 10~300/20~500
出力電流調整範囲:交流標準TIG (A) 10~300/20~500
出力電流調整範囲:交流ハードTIG (A) 20~300/20~500
出力電流調整範囲:交流ソフトTIG (A) 10~200/20~500
外形寸法 (mm) 375×538×534/440×585×945 など
重さ (kg) 51~113

母材に応じて、直流と交流のTIG溶接機を使い分ける必要があるときに、1台で両方に対応できるのが「交流・直流両用タイプ」のTIG溶接機です。

なお、水冷式のモデルは高電流や長時間の作業でも、冷却効果によってトーチケーブルが熱くならず、安全に作業を続けられます。また、デジタル制御機能が備わっている製品では立ち上がりが高速なので、すぐに作業を始められるため時間のロスを軽減できる点が特徴です。

TIG溶接機(交流・直流両用 300~500A)の詳細を見る

4.TIG溶接機(直流/エンジン式/150~300A)

TIG溶接機(直流/エンジン式/150~300A)

概要 詳細
出力電流調整範囲:TIG (A) 15~150/4~300
出力電流調整範囲:手溶接 (A) 30~150/4~250
外形寸法 (mm) 486×680×640/1,320×630×1,000 など
重さ (kg) 82~380

エンジン式のTIG溶接機は、作業現場に電源がない場合でも使用できるため、屋外や電源確保が難しい現場での溶接に最適です。パルス溶接機能が付いたタイプは特殊な溶接が簡単に実施でき、複雑な作業でも高品質な仕上がりが期待できます。

15~300Aの広範囲の電流設定が可能で、さまざまな素材や厚みの金属に対応します。電源が限られた現場でも溶接をおこなう場合は、エンジン式のTIG溶接機がおすすめです。

TIG溶接機(直流/エンジン式/150~300A)の詳細を見る

5.TIG溶接機 (オイルガード付/直流/エンジン式/300A)

TIG溶接機 (オイルガード付/直流/エンジン式/300A)

概要 詳細
出力電流調整範囲:TIG (A) 4~200/4~300 など
出力電流調整範囲:手溶接 (A) 4~250/30~300 など
外形寸法 (mm) 1,330×630×1,065/1,500×720×1,090
重さ (kg) 391~436

オイルガード付きのTIG溶接機は、万が一オイルが漏れた場合でも、オイルの流出量を抑えられます。

【オイルガード】
オイルの流出を防ぐ受け皿のようなもの。

また、2人用のモデルでは1台の溶接機で2人が同時に作業できるため、効率的に作業を進められます。安全かつスムーズに作業を進めたい場合は、以下からオイルガード付きのTIG溶接機をレンタルするのがおすすめです。

TIG溶接機(オイルガード付/直流/ エンジン式/300A)の詳細を見る TIG溶接機(オイルガード付/直流/エンジン式/300A/2人用)の詳細を見る

作業に適したTIG溶接機を使おう

TIG溶接機とは、不活性ガスを利用して金属を溶接する機械です。作業時に火花やスパッタと呼ばれる破片が飛び散らないため、金属をきれいに溶接できます。TIG溶接機を使う際は、トーチの角度やタングステン電極と母材の距離を保つことなどに留意し、作業を進めましょう。

なお、TIG溶接機を借りるなら産業・建設機械などをレンタルできる「レント」がおすすめです。さまざまなTIG溶接機を取りそろえており、補償制度も用意しています。産機をまとめてレンタルすることお可能ですので、「案件に適した溶接機を用意したい」「現場で必要な機械をまとめて準備したい」とお考えであれば、ぜひ以下よりお気軽にお見積りを依頼ください。

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