鉄筋探査機とは?選び方・活用事例まで徹底解説

鉄筋探査機とはどのような機械かご存じですか?
建物の安全性や工事の効率化を図るうえで、鉄筋探査は欠かせない工程です。本記事では、鉄筋探査機の基礎知識から種類、選び方までをわかりやすく解説します。鉄筋探査に関する知識を深め、あなたの現場作業をより効率的かつ正確なものにするためにお役立てください。

なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、作業日に合わせて鉄筋探査機を準備できます!

盗難、故障時の補償も充実しているため、「鉄筋探査機で安心・安全に測量したい」とお考えの方は、以下よりお気軽にご相談ください。

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鉄筋探査機とは?基礎知識と探査の重要性

鉄筋探査機とは、コンクリート構造物内部の鉄筋の位置、配筋状態(設計図に基づいた位置に鉄筋があるか)、かぶり厚さ(鉄筋を覆うコンクリートの厚さ)などを非破壊で調査するための機器です。建設業界、土木業界において、構造物の安全性評価、改修工事、耐震補強工事など、様々な場面で不可欠なツールとなっています。近年では、インフラ老朽化対策の重要性が高まる中で、鉄筋探査機の需要は増加傾向にあります。建物の長寿命化、安全性確保のため、その役割は非常に重要です。

コンクリート構造物において、鉄筋は構造耐力を担う重要な要素です。しかし、外部からの影響(塩害、中性化、凍害など)や、施工不良などが原因で、鉄筋の腐食が発生することがあります。鉄筋が腐食すると、コンクリートのひび割れ、剥離などを引き起こし、構造物の耐久性を著しく低下させる可能性があります。このような事態を未然に防ぐため、定期的な鉄筋探査を行い、早期に異常を発見し、適切な対策を講じることが重要です。

鉄筋探査を行う目的:安全確保とコスト削減

鉄筋探査を行う主な目的は、構造物の安全性確保とライフサイクルコスト(製品や設備、建物などが誕生してから廃棄されるまでの全期間にかかる総費用の削減です。安全性確保の面では、鉄筋の腐食状況を把握することで、構造物の耐荷性能を評価し、崩落などの事故を未然に防ぐことができます。また、ライフサイクルコストの削減においては、早期に異常を発見し、小規模な補修で済む段階で対応することで、大規模な改修工事を回避し、結果的にコストを抑えることができます。

具体的な例を挙げると、橋梁の維持管理において、定期的な鉄筋探査は非常に重要です。橋梁は、交通インフラの要であり、ひとたび事故が発生すると、甚大な被害をもたらす可能性があります。国土交通省の調査によると、建設後50年以上経過した橋梁の割合は年々増加しており、老朽化対策が急務となっています。定期的な鉄筋探査により、早期に異常を発見し、適切な補修を行うことで、橋梁の長寿命化を図り、安全な交通を確保することができます。ある自治体では、鉄筋探査の結果に基づき、優先順位をつけて補修工事を実施することで、予算を効率的に活用し、ライフサイクルコストを大幅に削減することに成功しています。

改修工事前の調査:正確な情報が成功の鍵

鉄筋探査は、改修工事前の調査段階で特に重要な役割を果たします。改修工事を成功させるためには、既存構造物の正確な情報を把握することが不可欠です。鉄筋探査によって、鉄筋の位置、配筋状態(設計図に基づいた位置に鉄筋があるか)、かぶり厚さ(鉄筋を覆うコンクリートの厚さ)などを正確に把握することで、様々なメリットが得られます。

【鉄筋探査のメリット】

  • 適切な補修方法の選定
  • 必要な材料の量の算出
  • 事期間の短縮

例えば、ある商業施設の改修工事において、事前に鉄筋探査を実施した結果、設計図書と実際の配筋が異なることが判明しました。もし、鉄筋探査を行わずに工事を進めていた場合、鉄筋を切断してしまい、構造耐力を著しく低下させる可能性がありました。しかし、事前に鉄筋探査を実施したことで、適切な補強方法を検討し、安全かつ円滑に工事を進めることができました。このように、改修工事前の鉄筋探査は、予期せぬトラブルを回避し、工事を成功に導くための重要なステップとなります。

鉄筋探査機の種類:用途に合わせた選択

鉄筋探査機には、様々な種類があり、それぞれに特徴があります。主な種類としては、電磁誘導法、電磁波レーダー法(GPR)、電気探査法などがあります。それぞれの特徴を理解し、探査対象や目的に合わせて適切な機種を選択することが重要です。

電磁誘導法:手軽さと使いやすさが魅力

電磁誘導法は、探査コイルに交流電流を流し、発生する磁場を利用して鉄筋の位置を検出する方法です。

【電磁誘導法】

  • 比較的安価、操作も簡単
  • 主に、鉄筋の位置や配筋状態を把握するために用いられる
  • 小型で軽量な機種が多く、手軽に持ち運びできる

これらの機種は、比較的浅い深度の探査に適しており、コンクリート表面に近い鉄筋の探査に有効です。例えば、壁や柱の鉄筋位置を確認したり、増築工事の際に既存鉄筋を避けてアンカーを打ち込む位置を決定したりする際に利用されます。電磁誘導法は、初期導入コストを抑えたい場合や、簡単な探査を行いたい場合に適した方法と言えるでしょう。

電磁波レーダー法(GPR):高精度な探査を実現

電磁波レーダー法(GPR)は、コンクリート表面から電磁波を放射し、鉄筋などの異物からの反射波を解析して、その位置や深さを特定する方法です。

【電磁波レーダー法(GPR)】

  • 電磁誘導法に比べて、より深い深度の探査が可能
  • 精度が高い探査ができる
  • 鉄筋の位置だけでなく、鉄筋径やかぶり厚さの推定ができる

GPRは、大型の構造物や、より詳細な調査が必要な場合に適しています。例えば、橋梁、トンネル、ダムなどのコンクリート構造物の内部調査や、地中埋設物の探査などにも利用されます。

これらの機種は、高性能なアンテナと高度な信号処理技術により、高精度な探査を実現しています。電磁波レーダー法は、初期導入コストは高いものの、より詳細な情報が得られるため、長期的な視点で見るとコストパフォーマンスに優れると言えるでしょう。

GPRの活用事例:橋梁の老朽化診断

GPRは、橋梁の老朽化診断において、非常に有効なツールとして活用されています。橋梁の床版コンクリート内部の鉄筋腐食状況を把握することで、早期に異常を発見し、適切な補修計画を立てることができます。

ある地方自治体では、GPRを用いて管轄する橋梁の床版調査を実施しました。その結果、複数の橋梁において、鉄筋腐食が進行している箇所が発見されました。これらの橋梁については、優先的に補修工事を実施することで、橋梁の寿命を延ばし、維持管理コストを削減することができました。また、GPRのデータに基づき、補修範囲を最小限に抑えることができたため、工事期間の短縮にもつながりました。このように、GPRは、橋梁の維持管理において、安全性向上とコスト削減の両立に貢献する重要な技術です。

電気探査法:広範囲の探査に最適

電気探査法は、地中に電流を流し、その電気的な抵抗値の変化を測定することで、地下構造を推定する方法です。

【電気探査法】

  • コンクリート中の鉄筋の腐食状況を広範囲に把握するために用いられる
  • 特に塩害による鉄筋腐食の調査に有効

電気探査法は、大規模な構造物や、広範囲にわたる調査が必要な場合に適しています。例えば、港湾施設のコンクリート構造物の調査や、海岸沿いの建物の基礎部分の調査などに利用されます。電気探査法は、他の探査方法に比べて、探査深度が浅いというデメリットがありますが、広範囲の調査を効率的に行えるというメリットがあります。電気探査法を用いた調査では、通常、複数の電極を地中に設置し、電流を流しながら抵抗値を測定します。得られた抵抗値の分布図を解析することで、鉄筋の腐食している箇所を特定することができます。

鉄筋探査機の選び方:重要なポイント

鉄筋探査機を選ぶ際には、いくつかの重要なポイントがあります。探査対象、探査深度、精度、操作性、コストなどを考慮して、最適な機種を選択する必要があります。

探査の対象を確認する:目的に合わせた機種選び

まず、探査の対象を確認することが重要です。コンクリート構造物の種類(壁、柱、床、橋梁など)、規模、鉄筋の配置状況などを考慮して、適切な探査方法と機種を選びましょう。例えば、壁の鉄筋を探査する場合は、小型で軽量な電磁誘導法の機種が適しています。一方、橋梁の床版を探査する場合は、より深い深度まで探査できる電磁波レーダー法(GPR)の機種が適しています。

また、探査の目的も考慮する必要があります。鉄筋の位置を特定するだけであれば、比較的安価な電磁誘導法の機種で十分です。しかし、鉄筋径やかぶり厚さも推定したい場合は、より高精度な電磁波レーダー法(GPR)の機種が必要となります。このように、探査の対象と目的に合わせて、最適な機種を選択することが重要です。

探査の深さを確認する:必要な深度を確保

探査深度は、鉄筋探査機を選ぶ上で非常に重要な要素です。探査したい鉄筋が埋まっている深さを考慮して、十分な探査深度を持つ機種を選びましょう。一般的に、電磁誘導法は探査深度が浅く、電磁波レーダー法(GPR)は探査深度が深いという特徴があります。

例えば、橋梁の床版の場合、鉄筋がコンクリート表面から数十センチメートルの深さに埋まっていることがあります。このような場合、探査深度が浅い電磁誘導法の機種では、鉄筋を検出することができません。電磁波レーダー法(GPR)の機種であれば、十分な探査深度を確保できるため、鉄筋を確実に検出することができます。探査深度は、機種のカタログや仕様書に記載されているため、購入前に必ず確認するようにしましょう。

精度と操作性:作業効率を左右する要素

鉄筋探査機の精度と操作性は、作業効率に大きく影響します。高精度な機種であれば、鉄筋の位置を正確に特定できるため、補修工事の際に余計な手間を省くことができます。また、操作性の良い機種であれば、作業時間を短縮し、作業者の負担を軽減することができます。

精度については、機種のカタログや仕様書に記載されている精度に関する情報を確認しましょう。また、実際に機種を使用している人のレビューや評価も参考にすると良いでしょう。操作性については、実際に機種を操作してみるのが一番です。レンタルサービスなどを利用して、複数の機種を試してみるのも良いでしょう。また、メーカーによっては、操作講習会などを開催している場合もあるので、積極的に参加してみることをお勧めします。

鉄筋探査機の使用方法:安全かつ正確な探査のために

鉄筋探査機を使用する際には、安全に十分配慮し、正しい手順で操作することが重要です。

【安全に探査するポイント】

  • メーカーの取扱説明書をよく読み、安全に関する注意事項を必ず守る
  • 探査前には探査場所の安全確認を必ず行い、周囲に人がいないことを確認してから作業始める

鉄筋探査機を使用する際には、まず、探査対象のコンクリート表面を清掃し、汚れやホコリを取り除きます。次に、探査機の電源を入れ、探査条件を設定します。探査条件は、コンクリートの種類、鉄筋の配置状況、探査深度などに応じて適切に設定する必要があります。探査条件の設定が適切でない場合、正確な探査結果が得られない可能性があります。探査条件を設定したら、探査機をコンクリート表面に当て、ゆっくりと移動させながら探査を行います。探査結果は、探査機の画面に表示されるため、注意深く観察しましょう。

鉄筋探査機使うならレンタルがおすすめ

鉄筋探査機を使うなら、購入よりもレンタルがおすすめです。

鉄筋探査機をレンタルすることで、初期投資を抑えながら最新機種を必要な期間だけ効率的に活用できるため、コストパフォーマンスに優れた選択肢となります。
レンタルならメンテナンスや故障対応も業者が行うため、現場でのトラブルを最小限に抑え、作業の安全性とスピードを両立できます。
さらに保管場所は不要になるだけでなく、用途や現場条件に応じて最適なモデルを選べる柔軟性があり、建築・設備・改修工事など幅広いシーンでの活用に最適です。

レンタルにおすすめの鉄筋探査機4選

1. ADSPIRE01

項目 詳細
型式 ADSPIRE01
メーカー 計測技術サービス
測定方式 電磁波レーダ方式
測定深度 (mm) 0~684
測定対象物 鉄筋、埋設物、空洞、ジャンカ等
質量 (kg) 0.7
サイズ (mm) ハンドル装着時:149×207×134.5

ハンドル脱着時:1449×207×74.5

鉄筋探査機の詳細を見る

こちらの「ADSPIRE01」は、最新のデジタル信号処理技術を搭載した日本製の鉄筋探査機で、最大684mmの深さまで高精度に探査可能な軽量・コンパクト設計が特長です。

スマートフォン対応の高解像度ディスプレイと3D可視化ソフトにより、鉄筋・埋設管・空洞などの位置や深さを直感的に把握でき、現場の安全性と作業効率を大幅に向上させます。

建築・設備・改修工事の幅広い現場で活躍するADSPIRE01は、NETIS登録済みの信頼性と操作性を兼ね備えたプロフェッショナル向け探査機です。

2. X-Scan PS1000

項目 詳細
型式 X-Scan PS1000
メーカー ヒルティ (Hilti)
測定方式 電磁波レーダ方式
測定深度 (mm) 300
測定対象物 鉄筋・PC鋼線・塩ビ管・ケーブル・空洞など
鉄筋位置探査精度 (mm) ±5
かぶり厚探査精度 (mm) ±5 (かぶり厚50~200)
質量 (kg) 2.5
サイズ (mm) 318×190×143

鉄筋探査機の詳細を見る

こちらの「X-Scan PS1000」は、鉄筋・PC鋼線・塩ビ管・ケーブル・空洞などを最大300mmの深さまで非破壊で高精度に探査できる、業界トップクラスのコンクリートスキャナーです。

リアルタイムで2D・3D表示が可能なため、構造物内部の埋設物の位置や被り厚さを誰でも簡単に可視化でき、施工前のリスク回避に大きく貢献します。

建築・土木・設備工事の現場で、正確な配筋確認やコア抜き前の安全確認に最適なプロフェッショナル向け探査機です。

3. SIR-EZ XT

項目 詳細
型式 SIR-EZ XT
メーカー KEYTEC
測定方式 電磁波レーダ方式
測定深度 (mm) 600
測定対象物 鉄筋、塩ビ管、電線管、空洞など
鉄筋位置探査精度 (mm) ±5
かぶり厚探査精度 (mm) ±5
質量 (kg) 約1.8
サイズ (mm) 157×190×236

鉄筋探査機の詳細を見る

こちらの「SIR-EZ XT」は、鉄筋・電線管・空洞・非金属管などを最大60cmの深さまで高精度に探査できる、電磁波レーダ探査機です。

自動深度補正機能や電線管判別ユニットを搭載し、現場での安全性と作業効率を大幅に向上させるプロ仕様の一台です。

世界25カ国以上の重要構造物で採用されており、非破壊検査の分野で圧倒的な信頼と実績を誇るハイエンドモデルです。

4. D-TECT 150CNT

項目 詳細
型式 D-TECT 150CNT
メーカー ボッシュ
最大測定範囲 (mm) 150
最小測定間隔 (mm) 40
電源 単3アルカリ乾電池×4本
質量 (kg) 0.7
サイズ (mm) 220×97×120

鉄筋探査機の詳細を見る

こちらの「D-TECT 150CNT」は、鉄筋・非鉄金属・塩ビ管・電線・木材など多様な素材を最大150mmの深さまで高精度に探知できるコンクリート探知機です。

液晶ディスプレイによる日本語表示と7つの探知モードにより、誰でも簡単に正確な位置と深さを把握でき、施工ミスを防ぎます。

建築・設備・改修工事に最適なこのモデルは、安全性と作業効率を大幅に向上させるプロフェッショナル必携のツールです。

まとめ:鉄筋探査は構造物の安全を守る要

鉄筋探査は、コンクリート構造物の安全性確保と長寿命化に不可欠な技術です。適切な機種を選び、正しい手順で操作することで、構造物の安全を守り、維持管理コストを削減することができます。また、最新技術の活用により、鉄筋探査の精度と効率はますます向上しています。今後、インフラ老朽化対策の重要性が高まる中で、鉄筋探査の役割はますます重要になるでしょう。

産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、鉄筋探査機をはじめ、さまざまな種類の測量機械を取り扱っています!

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