油圧ユニットとは?基本的な仕組みや選び方のポイントを解説

油圧ユニットとは、油圧で動く製品を使うための装置です。使いたい製品や現場に合った油圧ユニットを選ぶことで作業がスムーズに進められます。ただ、選び方を間違えると機器が故障したり作業効率が下がったりするため、「どのように選べばいいのだろうと迷う」場合もあります。

本記事では、油圧ユニットの基本的な仕組みから選び方、活用法などをまとめました。「作業にぴったりの油圧ユニットを知りたい」という方は、ご一読ください。

なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、油圧ユニットをはじめ対応製品を多数取りそろえています。レンタルをご検討の場合は、以下のボタンより気軽に見積もりを依頼ください。

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油圧ユニットとは

油圧ユニットとは

油圧ユニットは油圧発生装置のことです。「パスカルの原理」を応用し、油などの流体を介して小さなエネルギーを大きなエネルギーに変換することで、対応する製品の動力源を生み出します。

【パスカルの原理とは】

閉じ込められた液体などの流体に加えられた圧力は、流体内すべてに等しく伝わる原理のこと

油圧ユニットには以下の特徴があります。

【油圧ユニットの特徴】

  • 圧力をかけた油を作り出し、油圧工具や機械に送り込む
  • 「油タンク」「モーター」「ポンプ」が一体化されている
  • 搭載されるポンプやアクチュエータの種類・サイズによって出力できる力の大きさが決まる

なお「アクチュエータ」とは、油圧装置で発生した流体エネルギーを、押す・引く・回すなどの機械動作に変換する装置の総称です。小さな力から大きなパワーを生み出せます。

油圧ユニットの仕組み

ここでは、油圧ユニットがどのように動作するのかを見ていきましょう。エネルギーの流れは、以下の4つのステップで進んでいきます。

No. 項目 概要
1 動力源
  • エンジンやモーターが回転し、油圧ポンプに運動エネルギーを発生させる
  • 運動エネルギーだけでは重機で重いものを持ち上げるには不十分
    • 油に圧をかけることで、大きなエネルギーに変換していく
2 油圧ポンプ
  • エンジンやモーターなどの動力源で生まれた運動エネルギーが、油圧ポンプに伝わる
  • 油圧ポンプは受け取ったエネルギーを使い、油に圧力をかける
    • この過程で、運動エネルギーから流体エネルギーへと変換される
  • 圧力がかかった状態の油は、油圧制御弁へと送られる
3 油圧制御弁
  • 油圧ポンプで圧をかけられた油が、油圧制御弁に流れ込む
  • 油圧制御弁は主に3種類の弁で構成される
    • 圧力制御弁
    • 流量制御弁
    • 方向制御弁
  • 3つの弁が連携して油の「圧力」「流量」「方向」をコントロールし、最終的に油圧アクチュエータへと伝達する
4 油圧アクチュエータ
  • 油圧制御弁で圧力を調整された油が、油圧アクチュエータへと流れ込む
  • 流体エネルギーが機械エネルギーに変換される
    • その結果、実際の「仕事」をおこなう動力が生み出される

このように、油圧ユニットは動力源から油圧アクチュエータに至るまでの過程で、小さな運動エネルギーを大きな機械エネルギーへと変換します。

油圧ユニットを活用する理由

油圧ユニットがさまざまな現場で活用される理由を、4つのポイントに分けて解説します。

油圧ユニットを活用する理由

それぞれ見ていきましょう。

1.大きなパワーを生み出せるから

油圧の特徴として、小型の駆動装置でも大きな力を生み出せる点が挙げられます。力の増幅はパスカルの原理にもとづいたものです。液体は圧縮されにくく、密閉された容器内で加えられた圧力はどこも同じ強さです。

この性質により、小さな面積に加えた力を大きな面積に伝えることで、元の力を何倍にも増幅できます。パスカルの原理を利用した油圧技術はさまざまな機械で活用されており、以下はその一例です。

【油圧技術を用いた機械】

  • 製造業の大型プレス機
  • ショベルカーなどの土木機械
  • 船の舵や安定装置
  • 工場の大型機械

このように、小型装置でも大きな力を生み出す油圧はさまざまな分野で欠かせない技術です。

2.本体が軽量でコンパクトだから

発電機やコンプレッサーなどの動力源と比べると、油圧ユニットは軽量かつコンパクトに設計されています。持ち運びやすいうえ、油圧は簡単に高圧化でき、小さな装置でも強力なパワーを生み出せます。

また、限られたスペースしかない作業現場でも設置しやすく、作業スペースを圧迫しません。さらに、小型車両にも積み込みやすいため、現場間の移動がスムーズにおこなえます。

3.速度を簡単に調節できるから

動作速度を簡単に調節できるのも、油圧ユニットが活用される理由です。油圧制御弁の1つである「流量制御弁」を使用することで、油の流れる量を調節し、機械の動作速度を変更できます。

スピードをなめらかに変えられる(無段階変速)ため、作業状況に応じた細かい調整や作業中の速度変更が可能です。この特性を活かし、油圧ショベルの精密操作や工場プレス機の速度調整など、さまざまな現場で油圧ユニットが使われています。

4.方向を制御しやすいから

流体の流れる方向を自在に制御できることも、油圧の利点といえます。「方向制御弁」では、油の流れる方向を切り替えたり、一方向にしか流れないように制御したりできます。

そのため、アクチュエータの動作をコントロールし、対応製品を効率的に稼働させることが可能です。

油圧ユニットの活用例

ここでは、油圧ユニットの活用例を紹介します。油圧ユニットを動力源として使用する製品は以下のとおりです。

油圧ユニットの対応製品例

対応製品 概要
油圧式杭打ち機
  • 人力で大ハンマーを振り下ろして、杭を打つ作業を軽減
  • 油圧の強力な力で簡単に打ち込みが可能
油圧チッパー油圧ハンドブレーカー
  • コンクリートなどを粉砕できる
  • 壁打ちやハツリ作業に適している
油圧カッター
  • コンクリートやアスファルトの切断が可能
  • 油圧モーターで駆動するため騒音が少ない
ベビークラッシャー
  • コンクリート壁のハツリに使う
  • 部分的な改修工事などでバックホーが入れない場所で使用

上記の対応製品は「油圧アタッチメント」と呼ばれることもあります。油圧ユニットに対応した製品は建設現場や工事において、効率的に作業をするためのツールとして使用されています。

油圧ユニットの選び方の3つのポイント

油圧ユニットの選び方のポイントは、主に3つです。

それでは、1つずつ説明します。

1. 使用する製品や使用場所で選ぶ

使用する製品や機械によって、適切な油圧ユニットは異なります。製品や機械の許容範囲を超える出力の油圧ユニットを使用すると、接続した機器に負荷がかかり破損の原因となるためです。

例えば、小型の油圧工具に高圧力の油圧ユニットを接続すると故障のリスクがあります。また、作業環境によって求められる性能も違うため、以下のように状況に合わせて選ぶことが重要です。

【屋内・屋外での選び方】

  • 屋内作業:低騒音・排気がない油圧ユニットを選ぶ
  • 屋外作業:防水や、太陽光・雨など天候への耐性がある油圧ユニットを選ぶ

製品や使用場所に合った油圧ユニットを選ぶと、作業が効率よく安全に進められます。

2.最高使用圧力を確認する

油圧ユニットの選定において、最高使用圧力(MPa)の確認も重要なポイントです。機械を動かすためには、運動エネルギーから流体エネルギーへ変換する過程で適切な圧力が必要です。

特に硬い素材を破砕する作業では、高い圧力を発生させられる油圧ユニットを使います。作業内容に適した最高使用圧力を持つ油圧ユニットを選び、生産性を高めつつ安全に作業を進めましょう。

3.流量が適切である

流量(油の吐出量)が適切であることも、油圧ユニットを選ぶ際の判断基準です。

油圧ユニットでは、機械エネルギーを流体エネルギーに変える際に流量を必要とします。例えば、低流量で精密な動作が必要な場合は、制御性を重視したものを選定するのがおすすめです。

作業内容に合わせて、適切な流量を持つ油圧ユニットを選ぶことが重要です。

油圧ユニットや対応製品を用意するならレンタルがおすすめ

油圧ユニットや対応製品を使用する場合は、レンタルの利用がおすすめです。

油圧ユニットと対応製品は作業内容によって最適な機器が異なるため、作業場所や必要な圧力、流量などを考慮する必要があります。ただ、案件ごとに適した機器を購入すると、購入コストが膨らむだけでなく保管場所の確保も必要です。

一方で、レンタルなら必要な期間だけ用途に合った機器を利用できます。また、対応製品に合った油圧ユニットもまとめてレンタル可能なので、対応製品の組み合わせに関する心配も不要です。さらに、メンテナンスはレンタル会社が担当するため、常に整備された状態の機器で安全に作業を進められます。

レントでは、さまざまな油圧ユニットや対応製品を全国の在庫から提案可能です。専門スタッフに相談しながら作業に最適な油圧ユニットや対応製品を選べるため、安心して利用できます。

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レンタルにおすすめの油圧ユニット

※画像は代表商品のものです。

型式 U-070-1 U-070S U-051EB
圧力(MPa) 11.7 低圧側11.7/高圧側80.3
流量(L/min) 20.5 60Hz:25/50Hz:20.5
エンジン 型式 ロビン EX21D ロビン EX21D(S)
最大出力(kW) 4.2 5.1
回転数(rpm) 3,600 3,600
電動モーター 三相200V 3.7kW
作動油タンク容量(L) 4 4 10
燃料タンク容量(L) 3.6 3.6
外径寸法(mm) 615×480×577 630×500×610 530×730×695
重量(kg) 40 58

※表は横にスクロールできます。

油圧ユニットは、油圧で動く機械の動力源となる装置です。軽量でコンパクトなためライトバンにも積み込めるうえ、キャスター付きで移動も簡単なので、現場間や現場内での移動が簡単です。

特に電動式は、ハンドクラッシャーなどの高圧機器にも使用できます。また、オープン式カバーを採用しているため、メンテナンス性に優れている点もポイントです。

油圧ユニットの詳細を見る

レンタルにおすすめの油圧ユニットの対応製品5選

ここからは、レンタルにおすすめの油圧ユニットの対応製品を紹介します。

順に見ていきましょう。

1.油圧杭打機

※画像は代表商品のものです。

型式 KH-150-2 KH-180-2 KH-240V KH-800
打撃数(bpm) 1,920 1,700 1,080 600
打込部内径(φ) 50 80 150
作動油圧(MPa) 8~11 8~11 9.8~14.7
許容耐圧(MPa) 21.4 21.4
最高圧力(MPa) 20.6 27.5
所要油流量 (L/min) 20~25 18~22 20 20~35
接続金口 3/8 inカプラ 3/8 inカプラ 3/8 inカプラ
許容背圧 (MPa) 2.5 2.5
外径寸法 (mm) 486×273×146 597×272×- 629×265×154 850×364×310(※)
質量 (kg) 約20 約23 約24.5 約110(※)

(※)打ち込み工具、吊りフックを含まず。
※表は横にスクロールできます。

油圧の強力な力で杭を簡単に打ち込めるのが、油圧杭打機です。軽くてコンパクトな設計のため、狭い現場でも効率的に作業できます。

さらに、冬季や寒冷地でも凍結の心配がなく、安定した打撃力を発揮するので気象条件に左右されず作業が可能です。また従来の人力による杭打ち作業と比較して作業者の負担が軽減されるため、作業効率のアップが期待できます。

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2.油圧チッパー

※画像は代表商品のものです。

型式 BH-05B
所要油流量(L/min) 20.5
打撃数(bpm) 2,150
打撃エネルギー(kgf・m) 3.6
シャンク寸法(mm) φ17.5×60
外径寸法(mm) 94×176×428
質量(kg) 6.6

油圧チッパーはコンクリートなどを粉砕する機器です。油圧式のため凍結の心配がなく、寒冷地や冬季の作業でも安定した性能を発揮します。コンパクトな設計により街中の狭い場所でも扱いやすく、限られた作業スペースでの施工も可能です。

また、住宅地での工事や騒音規制が厳しい地域での作業にも対応できるよう、排気吐出音が少なくして騒音や振動を抑えています。そのため、さまざまな現場環境や作業条件に合わせて使用できる点も特徴です。

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3.油圧ハンドブレーカー

※画像は代表商品のものです。

型式 BH-11 BH-20R BH-23RK BH-16VS
所要油流量(L/min) 9.5~25 20.5 20
打撃数(bpm) 1,450 (15L/min) 1,050 1,000 1,450
シャンク寸法(mm) φ26×80 φ30×87
外径寸法(mm) 566×156 682×420 702×420 678×410
質量(kg) 11 22 24.8 19

※表は横にスクロールできます。

コンクリートやアスファルトの粉砕作業に最適な機器のひとつに、油圧ハンドブレーカーが挙げられます。アキュームレータ(蓄圧器)を装備しており、優れた破砕力を発揮するのが特徴です。

また、排気吐出音を抑えており、低騒音で粉塵の飛散を少なくして作業がおこなえるため、住宅地に近い工事現場でも周囲への影響を最小限にできます。

油圧式のため、寒い地域での作業でも凍結の心配がありません。さまざまな気象条件のもとで安定した性能を発揮し、多くの現場で活用されています。

油圧ハンドブレーカーの詳細を見る

4.油圧カッター

※画像は代表商品のものです。

型式 CH-130
所要油量(L/min) 20.5
回転数(bpm) 3,200
ブレード寸法(mm) φ305/穴径22
接続金口 3/8 in カプラ
質量(kg) 8
外径寸法(mm) 602×207×315

油圧カッターは、コンクリートやアスファルトの切断に最適な機器です。油圧モーターの力で駆動するため、硬い素材でも効率的に切断作業がおこなえます。

低騒音ながら強力な切断力を備えているのが特徴で、排気がなく穴のなかでも作業が可能です。さまざまな工事現場の状況や用途に合わせて活用できます。

油圧カッターの詳細を見る

5.ベビークラッシャー

※画像は代表商品のものです。

型式 HBC-1L HBC-2
シリンダー出力(ton) 26 34
最大圧力(MPa) 85 85
能力(壁の厚さ)(mm) 180 230
アームの開き(mm) 最大 200 250
最小 20 35
重量 (kg) 25 45

ベビークラッシャーは、部分改修工事などのバックホーが入れない狭い場所での使用に適しています。限られたスペースでのコンクリート壁のハツリといった解体作業が可能です。

従来のハンドブレーカー工法より振動や騒音が少ないため、住宅地や事務所ビルなど振動や騒音に配慮が必要な場所でも、使いやすくなっています。また、コンパクトな設計のため、特に狭い場所での作業に最適です。

ベビークラッシャーの詳細を見る

作業効率を上げる油圧ユニットを活用しよう

油圧ユニットは油圧で動く機械に動力を供給する装置です。油圧ユニットを選ぶ際は対応する製品をはじめ、作業環境や必要な圧力・流量などを考慮したうえで、案件に合った製品を選びましょう。

なお、安全かつ効率的に作業を進めたいと考えているなら、レンタルがおすすめです。産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、油圧ユニットをはじめ、さまざまな種類の対応製品を取り扱っています。

必要な期間だけレンタルができるため、油圧ユニットや対応製品の購入費用がかからないうえ、保管スペースの確保も必要ありません。また、油圧ユニットと対応製品をワンストップでまとめてレンタルできます。

どの製品を選ぶべきか迷っても専門家に相談できるため、安心して商品を借りられます。「現場に合った油圧機器をレンタルしたい」とお考えの方は、以下のボタンからお気軽に見積もりを依頼ください。

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