門型クレーンの操作に必要な資格は、つり上げ荷重や作業方式によって異なります。なかには資格がいらないタイプの門型クレーンもありますが、安全に作業を進めるためには詳細を把握しておくことが重要です。
本記事では、クレーン操作に必要な資格の種類や取得方法について詳しく解説します。「安全に作業するために、クレーンを操作に必要な資格が知りたい」という方は、ご一読ください。
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門型クレーンは作業内容によって必要な資格が異なる
「門型クレーン」の作業必要な資格は、つり上げ荷重(クレーンがつり上げられる最大荷重のこと)や作業方式によって異なります。キャスターが付いておりチェーンブロックを利用する移動式門型クレーンでは、クレーン操作の資格は必要ありません。
ですが、移動式ではなクレーンや屋外に設置された大型のクレーンなど、資格を保有していないと操作できない門型クレーンもいくつかあります。また、荷物をフックに掛け外しする「玉掛け業務」をおこなう場合は、以下のとおり、つり上げ荷重に応じた資格が必要です。
つり上げ荷重 | 資格 |
1t以上 | 玉掛け技能講習 |
0.5t以上1t未満 | 玉掛け業務の特別教育 |
つり上げ荷重とはクレーンが安全に吊り上げることができる最大の荷重のことです。これは、クレーン本体の構造や材料によって定められ、フックや吊り具の重量も含まれた数値です。
門型クレーンに必要な資格
門型クレーンの種類により操作に必要な資格も異なるため、注意が必要です。
門型クレーン |
|
門型クレーンは、チェーンブロックを利用するタイプなどはクレーンの資格は必要ありませんが、資格が必要なものもあります。
一方、門型リフターは「せり上げ機械」に分類されるため、資格がなくても操作できるのが利点です。ただし、安全に作業するためには、玉掛けの知識や技術を持つ人による作業が望ましいといえます。
クレーン運転業務に必要な資格
厚生労働省では、クレーン業務に携わる際に必要な免許を以下のように定めています。
No. | 免許・資格 | 5t以上 | 5t未満 | |||
クレーン (無線操作式を含む) |
床上運転式クレーン | 床上操作式クレーン | 跨線テルハ | |||
1 | クレーン・デリック運転士免許(限定なし) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
3 | クレーン運転士免許(床上運転式クレーン限定) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
4 | 床上操作式クレーン運転技能講習 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
5 | クレーン運転業務の特別教育 | 〇 | 〇 |
参考:厚生労働省
順番に見ていきましょう。
1.クレーン・デリック運転士免許(限定なし)
クレーン・デリック運転士免許(限定なし)は、すべてのクレーンとデリックを運転できる免許です。特に、つり上げ荷重が5t以上のクレーンやデリックを運転する際に求められます。
受験に際して特別な資格要件はありません。なお、試験科目の内容は以下のとおりです。
種類 | 試験科目 |
学科 |
|
実技 |
|
以下をはじめとした資格を持つ人は、試験科目の一部が免除されます。
【試験科目の一部が免除となる対象者例】
- クレーン運転実技教習(床上運転式クレーンを用いておこなうものを除く)を修了した者で、修了日から起算して1年以内の者
- 鉱山においてつり上げ荷重が5トン以上のクレーン(床上操作式クレーンおよび床上運転式クレーンを除く)の運転の業務に1ヵ月以上従事した経験を持つ者
上記以外にも免除を受けられる資格があるので、該当する資格を持っていないか事前に確認しておきましょう。
2.クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)
クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)は、特につり上げ荷重が5t以上のクレーンを運転するために必要な免許で、クレーンのみを運転できます。
この免許についても、受験に際して特別な要件はありません。試験科目の出題範囲は、クレーン・デリック運転士免許(限定なし)から「デリック関係知識およびデリック関係法令」を除外したものです。
種類 | 試験科目 |
学科 |
※デリック関係知識、デリック関係法令は除く |
実技 |
|
また、試験科目の一部が免除される人は以下のとおりです。
【試験科目の一部が免除となる対象者例】
- 床上運転式クレーンを用いておこなうクレーン運転実技教習を修了した者で、その修了した日から起算して1年以内の者
- 鉱山において、つり上げ荷重が5t以上の床上運転式クレーンの運転の業務に1ヵ月以上従事した経験を持つ者
上記以外にも免除の対象となる資格があるため、該当する資格を持っていないか、あらかじめ確認することをおすすめします。
3.クレーン運転士免許(床上運転式クレーン限定)
クレーン運転士免許(床上運転式クレーン限定)は、つり上げ荷重5t以上の床上運転式クレーンを運転できる免許です。また、床上操作式クレーンや移動式クレーンを除く、つり上げ荷重5t未満のクレーンの運転もできます。
クレーン運転士免許(床上運転式クレーン限定)についても、受験に際して特別な要件はありません。
次に試験科目について見ていきましょう。学科試験は、クレーン・デリック運転士免許(限定なし)の範囲から「デリック関係知識およびデリック関係法令」が除外された内容で、クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)と同一の出題範囲です。
一方、実技試験では床上運転式クレーンを使った試験が実施されます。
種類 | 試験科目 |
学科 |
※デリック関係知識、デリック関係法令は除く |
実技 |
|
なお、試験科目の一部が免除される対象者は以下のとおりですが、ほかにも免除を受けられる資格があります。
【試験科目の一部が免除となる対象者例】
- 移動式クレーンまたは揚貨装置運転士免許を有する者
- 旧デリック運転士免許を有する者
保有する資格によって免除される科目が変わるだけでなく、申請時の手続きや必要書類も異なるので、事前に詳細を確認するのがおすすめです。
4.床上操作式クレーン運転技能講習
「床上操作式クレーン運転技能講習」は、つり上げ荷重5t以上の床上操作式クレーン(無線式を除く)を運転する際に義務付けられている技能講習です。この講習の修了者は、移動式クレーンを除く5t未満のクレーンも運転できます。
それでは、技能講習の具体的な内容を見ていきましょう。必要な学科と実技は以下のとおりです。
項目 | 詳細 |
学科 |
|
実技 |
|
参考:厚生労働省
また、以下の資格を持つ人は一部の科目が免除されます。
【試験科目の一部が免除となる対象者】
- 移動式クレーン運転士免許を取得した者
- デリック運転士免許を取得した者
- 揚貨装置運転士免許を取得した者
- 小型移動式クレーン運転技能講習を修了した者
- 玉掛け技能講習を修了した者
科目の免除を希望する場合は対象となる資格の写しが必要なので、事前に用意しましょう。
5.クレーン運転業務の特別教育
クレーン運転業務の特別教育は、つり上げ荷重5t未満のクレーンを運転する際に義務付けられています。学科や実技の内容は以下のとおりです。
項目 | 詳細 |
学科 |
|
実技 |
|
参考:厚生労働省
重量物を扱うクレーン作業では、不適切な運転操作をすると労働災害につながりかねません。事故防止のためにも、特別教育を受講しましょう。
玉掛け業務に必要な資格
玉掛け業務に必要な資格について解説します。
順に見ていきましょう。
1.玉掛け技能講習
玉掛け技能講習は、つり上げ荷重1t以上の玉掛け業務をおこなう際に欠かせない資格です。業務に携わるには以下の修了が必須とされています。
項目 | 詳細 |
学科 |
|
実技 |
|
参考:厚生労働省
また、以下に該当する資格を持つ人は、科目の一部が免除されます。
【科目の一部が免除となる対象者】
- 床上操作式クレーン運転技能講習(つり上げ荷重5t以上、走行横行荷と共に移動)修了者
- 小型移動式クレーン運転技能講習(つり上げ荷重1t以上5t未満)修了者
- クレーン運転士免許の所有者
- 移動式クレーン運転士免許の所有者
- デリック運転士免許の所有者
- 揚貨装置運転士免許の所有者
受講科目の免除を受けるなら、資格に該当する免許証や修了証、合格証明書などの書類提出が必要になるので、事前に準備しておくと安心です。
2.玉掛け特別教育
「玉掛け特別教育」は、つり上げ荷重0.5t以上1t未満の玉掛作業をおこなう際に義務付けられている特別教育です。学科と実技は以下のとおりに定められています。
項目 | 詳細 |
学科 |
|
実技 |
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参考:厚生労働省
荷物の落下事故を防ぎ、現場の安全性を高めるためにも、正しい玉掛け作業の知識や技術を身につけておきましょう。
クレーン業務に関する資格取得なら「レント」がおすすめ
クレーン作業の準備を効率よく進めたいなら、レンタル会社の利用がおすすめです。講習を受ける手続きとまとめて作業に最適なクレーンを用意できるので、効率的に準備を進められます。
産業・建設機械のレンタル会社「レント」でもクレーンのレンタルに加え、技能講習や特別教育を実施しています。
クレーンを使用する際は、現場の状況や荷物の重量に合わせて最適な機種を選定することが重要です。それに加えて資格受講の手続きもおこなうとなれば、準備コストが増えて負担が増大する懸念があります。
そこでレンタル会社に依頼すれば、資格や講習だけでなく、クレーンの選定についても適切なアドバイスを受けることが可能です。「クレーンの知識がなくて準備が不安」「できるだけスムーズに準備を進めたい」とお考えの方は、以下のボタンより気軽にご相談ください。
玉掛けに必要な「技能講習」の概要
ここでは、レント教習センターが実施している「玉掛け技能講習」について説明します。
順番に見ていきましょう。
1.教習時間と料金
「玉掛け技能講習」は、つり上げ荷重1t以上の玉掛け業務をおこなうために必要な技能講習です。
【玉掛け技能講習の概要】
- 講習名:玉掛け技能講習 (つり上げ荷重1t以上)
- 教習時間:19時間
- 受講資格:条件なし
- 料金(税込):合計30,000円
- 内訳 受講料:28,350円、テキスト代:1,650円
最新の情報は玉掛け技能講習 (つり上荷重1t以上)をご覧ください。また、以下のいずれかに該当する人は一部の科目を免除できます。
【科目の一部が免除となる対象者】
- 床上操作式クレーン運転技能講習(つり上げ荷重5t以上、走行横行荷と共に移動)修了者
- 小型移動式クレーン運転技能講習(つり上げ荷重1t以上5t未満)修了者
- クレーン運転士免許の所有者
- 移動式クレーン運転士免許の所有者
- デリック運転士免許の所有者
- 揚貨装置運転士免許の所有者
受講科目の免除を受ける際は、該当する資格の免許証や修了証、合格証明書などの書類が必要なので、あらかじめ用意しておきましょう。
2.お申し込みの流れ
技能講習のお申し込みの流れは、以下のとおりです。
以下の持ち物を前もって用意し、受講当日は開始時間に遅れないように注意しましょう。
【受講当日の持ち物】
- 筆記用具
- 本人確認書類(免許証など)の原本
- 受講資格を証明する書類の原本
- 電卓(携帯電話の電卓機能は不可)
- 実技受講に必要な服装・安全具
申し込み方法について詳しく知りたい方は、以下のボタンより詳細をご確認ください。
クレーン業務に必要な資格を把握しよう
門型クレーンの使用には、作業内容により必要な資格が異なります。例えば、チェーンブロックを利用する移動式タイプでは操作資格は不要ですが、玉掛け業務をおこなう場合はつり上げ荷重に応じた技能講習や特別教育が必要です。
また、ほかのクレーンを使用する際は、別の資格取得が必要となるケースがあります。作業を安全に進めるため、事前に現場で必要となる資格や講習を確認しましょう。
なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、40年以上にわたり蓄積してきた経験とノウハウを活かし、登録教習機関として丁寧な技能講習や特別教育を実施しています。
受講の手続きと同時に移動式門型クレーンのレンタルも可能ですので、「信頼できる教習所で講習を受けたい」「門型クレーンのレンタルと同時に講習の手続きも済ませたい」とお考えの場合は、以下のボタンからお気軽にご相談ください。