フォークリフトのマストとは、車体前面に設置された荷物を昇降させる門型の支柱のことです。マストには複数の種類があり、持ち上げられる高さや縮めたときの全高が異なるため、現場に合ったものを選ぶ必要があります。
本記事では、マストの基本的な構造から種類ごとの違い、関連する事故事例と防止策までをまとめました。「マストの違いを理解して、作業をスムーズに進めたい」という方は、ご一読ください。
なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、さまざまな種類のマストを搭載したフォークリフトを取りそろえています。現場に合った1台を提案しますので、以下のボタンよりお気軽に見積もりをご依頼ください。
フォークリフトのマストとは
フォークリフトのマストとは、車体の前面に設置された、荷物を昇降させるための門型の支柱のことです。主に以下の3つのパーツで構成されており、これらが連動することでフォークがスムーズに上下し、荷物を持ち上げられます。

【マストの構造】
- アウターマスト:マストの一番外側にあたる部分
- インナーマスト:フォークが固定されている内側のレール
- リフトシリンダ:油圧の力でフォークを昇降させるための装置
マストにはいくつかの種類があり、持ち上げられる最大の高さや縮めたときの全高がそれぞれ異なります。現場の天井高や作業内容を考えずに選んでしまうと、「マストを伸ばしたら天井にぶつかった」「倉庫の入口が低くて中に入れない」といったトラブルにつながりかねません。
こうした事故や作業の中断を防ぐためにも、種類ごとの特徴を理解したうえで選ぶことが重要です。なお、フォークリフト自体の種類や特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。
フォークリフトには構造・機能や動力などによってさまざまな分類があり、種類が豊富です。そのため、どのような種類があるかをあらかじめ押さえておくと、作業にぴったり合う機種を選びやすくなります。 本記事では、フォークリフトの種類をまとめまし[…]
フォークリフトの代表的なマストの種類
フォークリフトの代表的なマストは、主に以下の3種類です。

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1.スタンダードマスト

【スタンダードマストの特徴】
- 多くのフォークリフトに標準装備されている
- フォークを上げるとインナーマストが上部に突き出る
- 天井が低い場所では使いにくい
- 構造がシンプルで故障しにくく、メンテナンス費用を抑えやすい
- ほかのマストと比べて前方の視界が広く、接触事故を防ぎやすい
スタンダードマストは、最も一般的なタイプです。Standard(スタンダード)の略である「STD(エス・ティー・ディー)マスト」と呼ばれることもあります。
工場内でのパレット積み替えやトラックへの積み下ろしなど、高い場所への荷上げが不要な現場に向いています。なお、屋外で使うならパワーのあるエンジン式、排気ガスを出せない倉庫内で使うならバッテリー式がおすすめです。
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2.ハイマスト

【ハイマストの特徴】
- 揚高を確保するため、マストのレールが長い
- 揚高:荷物を持ち上げられる最大の高さ
- 高い棚への荷物の出し入れができる
- 入口が低い場所やコンテナには進入できないことがある
- 狭い通路での旋回時はマストの高さに注意が必要
スタンダードマストでは届かない高さまで荷物を上げる場合は、ハイマストが適しています。スタンダードマストと同様に、フォークを上げるとインナーマストが上部に突き出る構造です。
高い棚でのピッキング作業や、天井が高い大型倉庫での作業に向いています。ただし、フォークを下げた状態でもマストがヘッドガード(運転席を保護する屋根部分)より高いため、導入前に通路や入口の高さを測っておきましょう。
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3.フルフリー3段マスト

【フルフリー3段マストの特徴】
- ハイマストよりもさらに高い位置まで荷物を持ち上げられる
- フォークを上げてもマストの高さが変わらない「フルフリー機能」がある
- 入口が低くても中に進入してから高く荷物を上げられる
- マスト中央にシリンダーがあるため、前方の視界が遮られやすい
ハイマストでは進入できない低い入口の倉庫でも、高い位置まで荷物を上げたいときに活躍するのがフルフリー3段マストです。名前のとおりマストが3段構造になっており、それぞれが伸びることでより高い位置まで荷物を持ち上げられます。
なお、3段構造になっているマストは、外から「アウターマスト」「ミドルマスト」「インナーマスト」と呼ばれます。

上記のようなフルフリー機能は、3段マストだけでなく、2段マストに搭載されているケースもあります。
通常のマストは、フォークを上げるとマスト自体も伸びて車高が高くなりますが、フルフリー機能があれば一定の高さまでは車高が変わりません。そのため、入口は低いが中の棚は高い倉庫や、扉が低いコンテナ内での作業に向いています。
ただし、マスト中央にシリンダーがあるため前方の視界が遮られやすく、作業時は周囲の確認に注意が必要です。
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フォークリフトのマストに関連して起こりやすい事故
一般社団法人日本産業車両協会によると、2024年に発生したフォークリフトによる死傷事故は1,953件にのぼります。事故の種類別では「はさまれ・巻き込まれ(683件)」が全体の約35%を占めて最多であり、次いで「激突され(564件)」、「墜落・転落(215件)」と続きます。

出典元:「2024年(1~12月)フォークリフトに起因する労働災害の発生状況(確定値)|一般社団法人日本産業車両協会」をもとに作成
このような事故を防ぐためには、どのような状況で事故が発生しやすいかを知っておくことが重要です。ここでは、マストが原因となりやすい代表的な事故パターンを紹介します。
| 事故類型 | 発生状況・原因 | 災害の内容 |
| はさまれ |
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| 激突され |
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| 墜落・転落 |
|
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事故の多くは、作業者の操作ミスだけでなく、作業環境や安全ルールが十分に整っていないことが重なって発生しています。
ひとたび事故が発生すれば、被災者本人の人生を大きく変えてしまうだけでなく、現場の稼働停止や納期の遅延など、周囲にも多大な影響を及ぼします。事故を未然に防ぐためにも「決められた作業手順の確認」と「安全確認の習慣化」を徹底するのが重要です。
フォークリフトの事故を防ぐための対策
続いて、フォークリフトの事故を防ぐための対策について見ていきましょう。

順に解説します。
1.マストと車体の間を通らない
運転席から乗り降りする際、マストと車体の間を通って移動するのはとても危険です。実際に、通り抜ける際に誤って操作レバーに触れてしまい、マストが動いて身体を挟む事故が発生しています。
前の章でもお伝えしたとおり、フォークリフトによる死傷事故の約3割は「はさまれ・巻き込まれ」事故です。運転席を離れる際は必ず電源を切り、一度地面に降りてから移動しましょう。
戻る際も同様に、必ず地面を経由してから車両に乗り込んでください。
2.フォークリフトの動線をあらかじめ決めておく
フォークリフトと作業員の接触事故を防ぐためには、フォークリフトの動線をあらかじめ決めておくことが重要です。走行する区域と人が立ち入る区域を明確に分けることで、事故のリスクを減らせます。
【走行する区域の分け方】
- フォークリフトが走行するエリアと作業員が歩行する通路を、ガードレールや柵で物理的に区切る
- 床にラインテープを引いて視覚的に区分けする
また、旋回時にはフォークリフトのフォークや車体後部が大きな弧を描くため、可動範囲を事前に想定しておきましょう。近くに従業員がいたり資材が置かれていたりすると、巻き込まれて重大な事故につながる恐れがあります。
作業前に周囲の安全を確認することを習慣化すると、より安全に作業できます。
3.走行時は必ずフォークを下げる
フォークリフトで移動する際は、フォークを地面近くまで下げて走行しましょう。マストを上げたまま走行すると車両が不安定になり、段差や傾斜で横転したり、荷物が落下したりする危険があります。
天井や出入口にマストが接触する事故にもつながりかねません。荷物が破損するだけでなく、周囲の作業員に当たって怪我をさせる恐れもあります。走行前に「マストは下がっているか」「周囲にぶつかる高さではないか」を必ず確認しましょう。
4.定期点検でマストの状態を確認する
マストの状態を定期的に確認することも、事故を防ぐうえで重要です。油圧シリンダーの油漏れやリフトチェーンの摩耗・損傷などを放置すると、マストが正常に昇降しなくなったり、荷物を持ち上げている最中にフォークが落下したりする可能性があります。
機械の不具合を早期発見するためにも、法律で定められた点検を実施しましょう。
【点検するタイミング】
- 始業点検:毎日、作業開始前に実施
- 月次点検:1ヵ月に1回実施
- 特定自主検査(年次点検):1年に1回、専門の資格者が実施
これらを確実に実施することで、車両の異常を早期に発見し、安全な状態を維持できます。なお、レンタルを利用すれば、メンテナンス済みの車両が現場に届きます。
法定点検の管理もレンタル会社に任せられるため、手間がかかりません。
マストの種類と特徴を理解して最適な1台を選ぼう

マストはフォークリフトのフォークを昇降させる支柱で、種類によって持ち上げられる高さや縮めた状態の全高が異なります。
現場の天井高や作業内容に合わないマストを選ぶと、接触事故や入口を通れないといったトラブルにつながるため、事前に特徴を理解しておくことが重要です。
産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、スタンダードマストからフルフリー3段マストまで、豊富な種類のフォークリフトを取りそろえています。現場の高さ制限や用途をヒアリングし、最適な1台を提案しますので、お気軽にご相談ください。