トラックは車体が大きく運転席が高いという構造上、死角が多くなる傾向にあります。安全に運転するには、見えない範囲をカバーできるトラックのミラーを正しく活用することが重要です。
本記事では、トラックに付いているミラーの役割や種類をまとめました。調整方法や注意点も紹介しているため、「ミラーを正しく使って安全にトラックを運転したい」とお考えの場合はご一読ください。
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トラックにおけるミラーの役割
トラックのミラーには主に以下の役割があります。
車体が大きいトラックは死角が生じやすいため、ミラーを使って視界を確保する必要があります。走行中は、近くを走る車や歩行者の動きなど周囲の状況を常に確認しなければなりません。ミラーを活用すると、車線変更や右左折の際に安全確認を素早くおこなえます。
加えて、トラックは車両の大きさから、後続車との距離感をつかむのが乗用車よりも困難です。ミラーを使って車両感覚を把握すれば、車線内をより安全に走行でき、駐車やバックの際にも周囲の建物や構造物に衝突するリスクを抑えられます。
なお、トラックの主な死角は、以下のとおりです。
項目 | 概要 |
車両のすぐ前方 |
|
助手席側 |
|
車両の真後ろ |
|
後輪の内側(内輪差) |
|
ミラーを使って、上記のような死角をカバーしましょう。
トラックのミラー3種類
トラックのミラーには、主に以下の種類があります。
順に見ていきましょう。
1.サイドミラー
トラックには、左右それぞれに2枚のミラーが縦に並んで取り付けられています。そのうち上側に位置するのが「サイドミラー」です。
運転席から直接確認しにくい車両の後方や後側方を映し出せるので、隣の車線を走行する車両をはじめ、車両後方に位置する車や障害物などを確認できます。
車線変更や対向車とすれ違うときの安全を確保する際にも、サイドミラーの確認が必要です。
2.サイドアンダーミラー
「サイドアンダーミラー」は、左右のサイドミラーの下部に付いている補助的なミラーです。サイドミラーだけでは確認しにくいフロントタイヤ周辺や、車体の直下を映し出せます。左の前輪付近や助手席側の側面も確認でき、路肩や縁石との接触を防ぐことが可能です。
なお、交差点で左右に曲がる際は、歩行者や自転車がトラックの死角に入り込む危険性があります。しかし、サイドアンダーミラーに採用されているのは広い範囲を映し出せる広角ミラーなので、巻き込み事故を防ぐ効果が期待できます。
3.アンダーミラー
助手席側の上部などに設置されている「アンダーミラー」は、円形のものが一般的です。前輪付近や車両前(左側の前方から正面足元)の死角をカバーするために備えられています。
車両のすぐ前方や側面下部の様子は、トラックの運転席からは目視での確認が困難です。特に、車高が高いトラックでは、子どもや自転車、小さな障害物などが死角に入り込む恐れがあります。
アンダーミラーを使えば、ドライバーの視界を補い、子どもなどを巻き込んでしまう事故の防止につながります。
トラックのミラーを調整する方法
トラックミラーの調整方法を、以下のとおり種類別に紹介します。
1つずつ見ていきましょう。
1.サイドミラーの場合
サイドミラーの上下比や左右比は、運転席側と助手席側で異なるので、以下を目安に調整が必要です。
ミラーの位置 | 上下比・左右比 | 映る箇所と範囲 |
運転席側 | 上下比 | 地面が1/4~1/3ほど映る |
左右比 | 運転している車のボディが1/3~1/4ほど映る | |
助手席側 | 上下比 | 地面が1/2~2/3ほど映る |
左右比 | 運転している車のボディが1/4ほど映る |
死角を減らすには、運転席側や助手席側で、地面やトラックのボディがどのくらい映っているかをそれぞれ確認しながら調整します。
また、車線のなかで自分が運転するトラックの位置や、隣の車との間隔が一目で把握できるよう、サイドミラーを確認しながら角度を整えることも重要です。
2.サイドアンダーミラーの場合
サイドアンダーミラーを調節する場合は、ほかのミラーで映せない部分をカバーできる角度を探します。サイドミラーは車体の下部、アンダーミラーは車両の側方を確認するのが困難です。
後輪がサイドアンダーミラーに映るようにすると、サイドミラーとアンダーミラーで見えない部分を補えて、バランスよく死角を減らせます。
3.アンダーミラーの場合
トラック前方の死角を補うアンダーミラーは、車体の1/4〜1/3くらいが映るように調整します。また、前方に小さな子どもや障害物がないか確認できるよう、バンパー直前の地面が見えるくらい低めの位置に調節するのがポイントです。
特に、サイドアンダーミラーに映る部分とのつなぎ目には、死角が生まれないよう注意が必要です。
3つのミラーを調整し終えたら、実際に運転する姿勢であらためてミラー内の映り方を確認し、見えない箇所がないかチェックします。できるだけ死角をなくして事故を防ぐためにも、ミラーの調整はこまめにおこないましょう。
トラックを安全に運行するために守るべきミラーの注意点
安全にトラックで走行するには、ミラーに関して以下の3つに注意します。
それでは、順番に見ていきましょう。
1.壊れたらすぐに交換する
トラックのミラーが壊れたら、すぐに交換が必要です。ミラーが破損したまま走行を続けると、周囲の状況を十分に確認できず、事故を起こしかねません。また、以下のとおり整備不良車両に該当して道路交通法に違反するので、罰則を受ける恐れがあります。
(整備不良車両の運転の禁止)
第六十二条 車両等の使用者その他車両等の装置の整備について責任を有する者又は運転者は、その装置が道路運送車両法第三章若しくはこれに基づく命令の規定(同法の規定が適用されない自衛隊の使用する自動車については、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第百十四条第二項の規定による防衛大臣の定め。以下同じ。)又は軌道法第十四条若しくはこれに基づく命令の規定に定めるところに適合しないため交通の危険を生じさせ、又は他人に迷惑を及ぼすおそれがある車両等(次条第一項及び第七十一条の四の二第二項第一号において「整備不良車両」という。)を運転させ、又は運転してはならない。引用:道路交通法
ミラーが壊れたら、迅速に交換して新しいものを取り付けましょう。
2.汚れや曇りが付着したら取り除く
雨風にさらされるトラックのミラーは、水滴や泥はね、虫などが付着して汚れている場合があります。そのままの状態にしておくと、ミラーが見えにくくなり、周囲の状況を正確に把握できません。ミラーはこまめに拭き取るなど、常にきれいな視界を保つことが重要です。
また、結露によってミラーが見えにくくなる場合もあります。その際は、必要に応じて曇り止めや撥水剤を使用するのも、1つの方法です。
3.振動でずれたら角度や位置を調整する
長い距離や舗装されていない道路を走行した後は、振動などでミラーの角度や位置がずれていないかを確認する必要があります。また、取り付け部の緩みや金具の破損などで、気付かないうちにミラーの視界が変わっている場合も考えられます。
日常的にミラーの点検は欠かせませんが、大きな振動で車体が揺れた場合などは特にチェックが必要です。ミラーの角度や映る範囲が変わっていないか、確かめることをおすすめします。
「発進前や休憩から戻ったときには、必ずミラーの角度や映り具合を確認する」など、ミラーを調整する習慣をつけましょう。
ミラーを使ってトラックを安全に運転しよう
車体の大きなトラックにとって、周囲の状況を把握できるミラーは、事故を未然に防ぐ重要な役割を担っています。
ただし、ミラーだけに頼るのではなく、目視による確認を組み合わせて、周囲の状況に気を配ることが重要です。歩行者や自転車は予想外の方向に動く場合があるため、慎重な運転を心がけましょう。
なお、トラックを運転するなら、ドライブレコーダーやバックモニタを活用するのもおすすめです。万が一事故が起こったときの状況を記録できたり、バックの際に車両の後方を映し出せたりと、より安心して運転できます。
産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、ドライブレコーダーなどが借りられるうえ、はじめからそうした機器が車両に搭載されているトラックを豊富に取り扱っています。安全に運搬を進めるうえで最適なツールや車両を提案しますので、以下のボタンよりお気軽に見積もりを依頼ください。
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