ダンプトラックの過積載とは?積載量の目安・罰則や安全を守る防止対策

「過積載にならないだろうか?」と不安になることがありませんか?決められた最大積載量を超えて荷物を積み、公道を走行する「過積載」は道路交通法違反であるだけでなく、現場の安全を脅かし、事業全体のリスクにもつながる危険な行為です。

本記事では、過積載が起こる原因や積載量の目安、違反時の罰則、そして防止策まで解説します。現場の安全対策やリスク管理の一環としてお役立てください。

産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、現場や用途に合わせたダンプトラックを豊富に取りそろえています。レンタルなら、維持にかかるコストや手間を気にせず、必要なときに必要な分だけ使えます。ダンプトラックのレンタルをご検討の際は、以下よりお気軽に見積もりを依頼ください。

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ダンプトラックの過積載とは

ダンプトラックの「過積載」とは、車検証に記載された最大積載量を超えて荷物を積み、公道を走行することです。まず知っておきたいのは、過積載の状態で運転すると重大な事故を引き起こす危険性が非常に高いということです。

【過積載によるトラブル例】

  • 制動距離が伸び、急な飛び出しに対応できず衝突する
  • カーブでバランスを崩し横転する
  • 下り坂でブレーキが過熱し、効かなくなる(フェード現象)

実際に、過積載が原因の事故はニュースでも取り上げられています。「ちょっとくらい大丈夫だろう」という軽い判断が、ドライバー自身や現場関係者の命を危険にさらすこともあるのです。

さらに、過積載は道路交通法違反にあたり、罰則を受けます。国土交通省の調査では、特殊車両の約3割が過積載状態で走行しているとされており、これに対する取り締まりも年々強化されています。

参考:道路交通法丨e-Gov 法令検索

参考:国土交通省丨大型車両の通行適正化の取組について

過積載を引き起こす背景

過積載が法律で禁止されているにもかかわらず、なぜ繰り返されてしまうのでしょうか。その背景には、運送業界が長年抱えてきた人手不足による効率化の必要性や現場に根づいた慣習が深く関係しています。

【過積載を引き起こす背景】

  • 荷主が「一度で運んでほしい」と無理な依頼をする
  • コスト削減のため、積載量を超えて積んでしまう
  • 「このくらいなら大丈夫」という慣れや目測で積んでしまう
  • 荷物の形状や密度、重さを正確に把握できていない

こうした小さな判断や依頼の積み重ねが、過積載につながっています。

過積載がもたらす最大のリスクは、現場の安全性が損なわれることです。制動距離の伸びや横転事故など、ドライバー本人だけでなく、周囲の人や設備にも被害を及ぼす可能性があります。

さらに、過積載によって罰則を受けたり車両トラブルが発生したりすることで、結果的にコストが増加することも少なくありません。だからこそ、関係者全員がリスクを正しく理解し、安全を守るための事前確認や体制づくりを徹底することが重要です。

【サイズ別】ダンプトラックの積載量と過積載の目安

前述のとおり、ダンプトラックの積載量は、車検証の「最大積載量」が基準です。この数値を1kgでも超えると、過積載にあたります。

ここで注意したいのは、「車体の大きさ」と「実際に積める量」は必ずしも同じではないという点です。最大積載量は、車両の設計や荷台の構造、乗員数によって変わります。

例えば、同じ「4tダンプ」でも、実際の最大積載量は3t台〜5t台と幅があります。思い込みで判断せず、必ず使用する車ごとに車検証を確認し、正しい積載量を把握しましょう。

ここからは、一般的な目安としてダンプトラックを3種類に分け、それぞれの積載量の目安を紹介します。

No. 種類 積載量の目安
1 小型ダンプトラック 2t~3t程度
2 中型ダンプトラック 3t〜5t程度
3 大型ダンプトラック 8t~11t程度

それぞれ詳しく解説します。

1.小型ダンプトラックの場合

項目 詳細
最大積載量
  • 3.0t未満
積載量の目安
  • 2t~3t程度
車両寸法(例)
  • 長さ:4.7m以下
  • 幅:1.7m以下
  • 高さ:2.0m以下
車両総重量(例)
  • 5t以内
トラックの例

小型ダンプは主に「2tクラス」の車両で、積載量の目安は 約2t〜3tです。軽ダンプより多くの荷物を運べて小回りもきくため、都市部の狭い道や小規模工事で活躍します。

2.中型ダンプトラックの場合

項目 詳細
最大積載量
  • 6.5t未満
積載量の目安
  • 3t〜5t程度
車両寸法(例)
  • 長さ:12m以下
  • 幅:2.5m以下
  • 高さ:3.8m以下
車両総重量(例)
  • 11t未満
トラックの例

中型ダンプトラックの積載量の目安は、約3t〜5tです。建設現場で定番の「4tクラス」が中心で、扱いやすさと積載力のバランスに優れています。三転ダンプやローダーダンプなど種類も豊富で、多くの現場で重宝されています。

積載量の目安は3t〜5t程度と幅があるので、必ず車検証を確認しましょう。

3.大型ダンプトラックの場合

項目 詳細
最大積載量
  • 6.5t以上
積載量の目安
  • 8t~11t程度
車両寸法(例)
  • 長さ:12m以下
  • 幅:2.5m以下
  • 高さ:3.8m以下
車両総重量(例)
  • 11t以上

「10tクラス」の大型ダンプトラックの積載量は、約8t〜11tが目安です。中型よりも多く積めるため、一度でまとめて多くの荷物を運びたい現場などに便利です。パワーがある分、過積載になると危険性も高まるため、より厳格な積載管理が求められます。

なお、ダンプカーの運転免許については以下の記事で解説しているのであわせてご覧ください。

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過積載が発覚した場合の罰則・罰金

過積載が発覚した場合、責任を問われるのはドライバー個人だけではありません。違反の内容によっては、運輸業者や荷主も処分の対象となることがあります。ここでは、それぞれの立場ごとにどのような罰則があるのかを整理します。

順番に見ていきましょう。

1.ドライバーが受ける罰則

過積載をおこなったドライバーには、違反点数の加点や反則金の支払いなどの処分が科せられます。罰則の重さは「最大積載量をどれだけ超えたか」で変わります。

項目 違反点数 反則金
過積載の割合が5割未満 2点 3万円
過積載の割合が5割以上10割未満 3点 4万円
過積載の割合が10割以上 6点(免許停止) 6ヵ月以下の懲役
または10万円以下の罰金

超過割合が大きいほど処分は重くなり、違反点数が6点に達すると、初めての違反であっても「30日間の免許停止」という処分を受けることになります。さらに、違反を重ねて累積点数が増えると、免許取り消しになる可能性が否定できません。

特に大型ダンプで繰り返した場合、懲役刑や車両使用停止・事業停止などの厳しい処分になる可能性があります。

2.運輸業者(運送会社)が受ける罰則

過積載が見つかれば、運輸業者は「知らなかった」では済まされません。ドライバーに過積載を指示あるいは黙認していた場合は、厳しい罰則が科されます。

【罰則の内容】

  • 運行管理者資格者証の返納命令や資格取り消し
  • 悪質と判断された場合は、車両使用停止(1〜180日)や事業停止(最大90日)などの行政処分

さらに、再び違反を繰り返す場合や違反台数が多い場合は、車両指定の取り消しや営業停止に発展することもあります。

3.荷主(発注者)が受ける罰則

過積載の責任は、運送する側だけでなく依頼主である荷主にもおよびます。過積載になると知りながら依頼・指示した場合、「再発防止命令」を受ける可能性があるからです。この命令に従わず再び違反させた場合は、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

このように、過積載の責任はドライバーのみにとどまらず、会社全体、さらには荷主にも及ぶものです。「うっかり」では済まされないリスクを踏まえ、管理と対策を徹底しましょう。

 ダンプトラックの過積載を防ぐ4つの対策

ここで、過積載を防ぐために現場で実践できる4つの対策を紹介します。

それでは、順に見ていきましょう。

1.積載量の事前確認と目視チェックをする

過積載を防ぐうえで基本となる取り組みは、積み込み前後の確認作業を徹底することです。以下のように、現場でできるチェックを徹底するだけでリスクは減らせます。

【積み込み前】

  • 運搬する荷物の量とトラックの最大積載量を確認する

【積み込み作業中】

  • 荷物の高さ・偏りを目視でチェックする
  • 土砂や砕石を山盛りにせず、平らにならす

【積み込み後】

  • リアサスペンションの沈み具合・タイヤのたわみ・車体バランスを確認する

特に、積み込み後のチェックポイントは、警察の路上チェックでも用いられる基本的な判断ポイントなので、積み込み後には必ず見直しましょう。また、走行前には荷物の固定状態を確認し、走行中に崩れるリスクを防止することも、安全管理のうえで重要です。

2.自重計(計量器)を使って積載量を正確に測定する

過積載でありがちなミスが「目測のズレ」です。特に砂利や土砂など高密度の資材は、見た目以上に重く、目測に頼ると最大積載量を超えてしまう恐れがあります。

理想は、積み込みのたびに計量をすることです。1回ごとに計量すれば、知らないうちの過積載を防げます。また、測定結果や積載の様子を写真で記録しておけば、万が一、過積載を疑われた際に「適正に運搬していた」証拠にもなります。

3.制動距離・ブレーキチェックで安全性を確保する

積載作業が終わったら、公道に出る前にブレーキチェックすることを習慣化しましょう。具体的には、ヤード内や工事現場内の広いスペースでゆっくりと発進し、軽くブレーキを踏んで制動距離を確認します。

特に以下の状況ではブレーキ性能が低下しやすく制御が難しくなるため、チェックが欠かせません。

【ブレーキ性能が低下しやすい状況】

  • 雨天時
  • 長い下り坂
  • 荷重が重いとき

このようなこまめな確認の積み重ねが、大きな事故の防止につながります。

4.会社全体で防止体制を整備する

過積載防止には、ドライバー個人の努力だけでは限界があるため、会社全体で仕組みを整える必要があります。

具体的な対策は以下のとおりです。

【マニュアルの整備】

  • 積載手順、目視確認項目、計量器の使い方を明文化
  • チェックリストを作成し、誰でも同じ手順で対応できるようにする

【定期的な教育・研修を実施】

  • 法令や罰則の最新情報を共有
  • 過去の事故例を学び、危険意識を高める

マニュアルは作って終わりではなく、現場の声を反映して随時見直し、改善していくことが重要です。また、万が一違反が起きた場合には、その原因を分析し、再発防止策を徹底しましょう。こうした積み重ねが、ドライバーの安全意識の向上にもつながります。

過積載を防ぎ、安全にダンプトラックを運転しよう

ダンプトラックの過積載は、事故のリスクを高める危険な行為です。過積載を防ぎ安全に運行するには、積載量の事前確認を徹底し、安全運転を常に意識しましょう。

日々の運搬業務では、現場ごとに荷物の種類や条件が異なるため、状況に合った車両を選ぶことが安全対策にもつながります。必要なときに最適な車種を利用したい場合は、レンタルの活用がおすすめです。レンタルなら、維持管理の手間やコストを抑えつつ、過積載リスクを軽減できます。

産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、スタンダードな土砂ダンプをはじめ、三転ダンプやローダーダンプなど幅広い車種を取りそろえています。案件に合う車両がわからない場合でも、作業内容や荷物の重量などを踏まえて最適な車両をご提案可能です。ダンプトラックをお探しの際は、以下よりお気軽に見積もりを依頼ください。

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