トータルステーションとは?初心者向けに原理・種類・使い方を解説

建設、土木、測量といった分野で広く利用されているトータルステーション。具体的にどのような機器で、どのような役割を担っているのか、詳しく解説します。

「トータルステーションとは何か?」知りたい方や、測量機器の選び方に悩んでいる方は必見です。

なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、作業日に合わせてトータルステーションを準備できます!

盗難、故障時の補償も充実しているため、「トータルステーションで安心・安全に測量したい」とお考えの方は、以下よりお気軽にご相談ください。

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トータルステーションとは? 基本原理から役割までを理解する

トータルステーションとは、簡単に言うと、『距離と角度を同時に高精度で計測できる測量機器』です。従来の測量機器であるセオドライトに、光波測距儀(EDM)の機能を組み込んだもので、一度の設置で水平角、鉛直角、距離の3つの要素を計測できるため、作業効率が飛躍的に向上しました。

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※光波測距儀(EDM):レーザーなどの光波を利用して、対象物までの距離を高精度に測定する装置

では、なぜトータルステーションは重要なのでしょうか? それは、現代の測量・建設における様々なニーズに応えられるからです。例えば、高層ビルの建設現場では、ミリ単位の精度で位置を把握し、構造物を正確に組み上げる必要があります。また、トンネル工事では、地盤のわずかな変動を監視し、安全を確保しなければなりません。このような高度な要求に応えるためには、トータルステーションのような高精度な測量機器が不可欠なのです。

本記事では、トータルステーションの基本的な原理、役割、種類、使い方、そして選び方まで、初心者にもわかりやすく解説します。 トータルステーションの理解を深め、あなたの業務に役立てていただければ幸いです。

トータルステーションの仕組み:距離と角度を同時に測る技術

トータルステーションが距離と角度を同時に計測できる秘密は、光波測距儀(EDM)と角度計測センサーの組み合わせにあります。光波測距儀は、レーザー光を目標物に照射し、反射して戻ってくるまでの時間を計測することで、距離を算出します。一方、角度計測センサーは、水平方向と垂直方向の角度を高精度に測定します。

【距離計測の原理】

  • EDMは、レーザー光を発射し、目標物に設置された反射プリズムで反射された光を受信する
  • レーザー光の往復時間と光の速度から距離を計算する

近年のEDM技術の進歩により、数キロメートル先の距離でも数ミリメートルの精度で計測できるようになりました。 例えば、ある建設現場では、橋梁の橋脚間の距離をトータルステーションで計測し、設計図との誤差がわずか数ミリであることを確認しました。これにより、橋桁の設置作業をスムーズに進めることができました。

【角度計測の原理】

  • トータルステーションは、水平角と鉛直角を計測するためのエンコーダーが内蔵されている
  • エンコーダーは、非常に細かい目盛りが刻まれた円盤で、回転角度を電気信号に変換する
  • エンコーダーの信号を解析することで、高精度な角度計測が可能

 角度計測の精度は、トータルステーションの性能を左右する重要な要素です。高精度なトータルステーションでは、1秒角(1度の3600分の1)以下の精度で角度を計測できます。

セオドライトとトータルステーションの違い:測量機器の進化

トータルステーションが登場する以前は、セオドライトという測量機器が主流でした。これらの機器とトータルステーションの違いを理解することで、トータルステーションの優位性がより明確になります。

項目 セオドライト トータルステーション
角度

距離

×

『セオドライト』は水平角と鉛直角を計測できる測量機器です。 高精度な計測が可能ですが、距離を計測する機能はありません。 セオドライトは、高層ビルの建設現場や、ダムの建設現場など、より精密な測量を必要とする現場で用いられてきました。 例えば、東京スカイツリーの建設では、セオドライトを用いて、タワーの垂直方向の傾きを常に監視し、安全な建設を支えました。

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一方、『トータルステーション』はセオドライトの機能に加え、光波測距儀(EDM)を搭載し、距離と角度を同時に計測できる測量機器です。 一度の設置で3つの要素を計測できるため、作業効率が飛躍的に向上します。 トータルステーションは、現代の測量・建設現場において、最も汎用性の高い測量機器として広く利用されています。 例えば、高速道路の建設現場では、トータルステーションを用いて、道路の線形、勾配、高さを正確に計測し、設計図通りに道路を建設しています。

トータルステーションの登場は、測量作業を大きく変えました。 従来の測量機器では、距離と角度を別々に計測する必要があり、時間と手間がかかっていました。 トータルステーションは、これらの作業を一度に行えるため、作業時間を大幅に短縮し、人件費を削減することができます。 また、トータルステーションは、計測データを自動的に記録できるため、手作業による記録ミスを防止し、データの信頼性を高めることができます。

トータルステーションの種類:用途に合わせた最適な選択

トータルステーションには、様々な種類があり、それぞれ特徴や得意とする分野が異なります。ここでは、代表的なトータルステーションの種類を紹介します。

種類 項目
一般的トータルステーション
  • プリズムと呼ばれる反射板を目標物に設置し、そこに向けてレーザー光を照射して距離を計測するタイプのトータルステーション
  • 精度が高く、長距離の計測に適していますが、プリズムを設置する必要があるため、計測に手間がかかる場合がある
  • 例: 大規模な土地の測量や、高精度な構造物の建設現場など
ノンプリズムトータルステーション
  • プリズムを使用せずに、直接目標物に向けてレーザー光を照射して距離を計測するタイプのトータルステーション
  • プリズムを設置する手間が省けるため、計測が迅速に行えますが、一般的に精度はやや低くなる
  • ノンプリズムトータルステーションは、立ち入りが困難な場所や、危険な場所での計測に適している
  • 例: 崖の斜面の計測や、高圧電線の近くでの計測
自動追尾トータルステーション
  • 自動でプリズムを追尾する機能を持つトータルステーション
  • 観測者が移動しても、自動的にプリズムを追尾するため、一人での測量作業が可能
  • 道路工事やトンネル工事など、広い範囲を移動しながら計測する作業に適している
  • 例: 道路の舗装工事で自動追尾トータルステーションを用いて、舗装面の高さをリアルタイムで計測し、均一な舗装を実現
電子野帳搭載トータルステーション
  • 計測データを自動的に記録し、図面を作成する機能を持つトータルステーション
  • 現場で計測したデータをすぐに図面に反映できるため、作業効率が飛躍的に向上
  • 設計事務所や建設コンサルタントなど、図面作成業務が多い場合に適している

※表は横にスクロールできます。

トータルステーションを選ぶ際には、計測する距離、精度、作業環境、予算などを考慮し、最適な機種を選択することが重要です。

トータルステーションの使い方:基本操作から現場での応用まで

トータルステーションを使いこなすためには、基本的な操作方法を理解しておく必要があります。ここでは、トータルステーションの設置から計測までの基本的な手順を解説します。

1. 設置場所の決定

測量する範囲全体を見渡せる、安定した場所にトータルステーションを設置します。設置場所は、できるだけ水平な場所を選び、視界を遮るものがないように注意します。 例えば、土地の測量を行う場合、土地の中心付近で、周囲の建物や樹木に邪魔されない場所を選びます。

2. 三脚の据え付け

三脚を水平に設置し、しっかりと固定します。三脚の脚は、地面にしっかりと食い込ませ、安定した状態を保つようにします。 三脚の設置が不十分だと、計測精度に影響が出る可能性があるため、慎重に行います。

3. トータルステーションの据え付け

トータルステーションを三脚に取り付け、固定します。トータルステーションが三脚にしっかりと固定されていることを確認します。

4. 整準作業

トータルステーションを水平に調整する作業です。 水準器を見ながら、三脚の脚の長さを調整したり、整準ねじを回したりして、気泡が水準器の中心に来るように調整します。 整準作業は、計測精度に大きく影響するため、丁寧に行う必要があります。

5. 求心作業

トータルステーションの鉛直軸を、測量点の真上に合わせる作業です。 望遠鏡を覗きながら、トータルステーションを移動させたり、シフトノブを操作したりして、測量点のマークが視野の中心に来るように調整します。 求心作業も、計測精度に影響するため、丁寧に行う必要があります。

6. 器械高の計測

トータルステーションの高さ(器械高)を計測します。 器械高は、計測データの計算に使用するため、正確に計測する必要があります。

7. 目標点の視準

望遠鏡を使って、目標点(プリズム)を視準します。 望遠鏡の焦点を合わせ、目標点が鮮明に見えるように調整します。

8. 距離と角度の計測

トータルステーションの操作パネルから、距離と角度の計測を実行します。 計測データは、自動的に記録されます。

上記は基本的な操作手順ですが、機種によって操作方法が異なる場合があります。 必ず取扱説明書をよく読んでから使用するようにしてください。 また、現場での応用として、座標計測、対回観測、REM観測など、様々な測量方法があります。 これらの測量方法を習得することで、より高度な測量作業を行うことができます。

トータルステーションの活用事例:様々な現場での活躍

トータルステーションは、建設、土木、測量といった様々な分野で活用されています。ここでは、具体的な活用事例を紹介します。

建設現場

高層ビルの建設現場では、ミリ単位の精度で柱や梁の位置を計測し、構造物を正確に組み上げるためにトータルステーションが用いられています。 また、建物の垂直方向の傾きを常に監視し、安全な建設を支えています。 例えば、ある建設現場では、トータルステーションを用いて、高層ビルの各階の床面の水平レベルを計測し、設計図との誤差がわずか数ミリであることを確認しました。これにより、内装工事をスムーズに進めることができました。

土木現場

道路やトンネルの建設現場では、正確な線形や勾配を維持するためにトータルステーションが用いられています。 また、地盤の変動を監視し、安全を確保するために活用されています。 例えば、あるトンネル工事では、トータルステーションを用いて、トンネル内部の掘削面の形状を定期的に計測し、設計図とのずれを修正しました。これにより、トンネルの安全性を確保することができました。

測量現場

土地の境界を確定する作業や、地形図を作成する作業にトータルステーションが用いられています。 GPSと組み合わせて、広範囲の測量を行うことも可能です。 例えば、ある測量会社では、トータルステーションとGPSを用いて、広大な森林の地形図を作成しました。これにより、森林資源の管理や、防災計画の策定に役立つ情報を提供することができました。

災害現場

地震や豪雨などの災害が発生した際には、被災地の状況を迅速に把握するためにトータルステーションが用いられています。 倒壊した建物の位置や、地盤の変動状況などを計測し、復旧作業の計画策定に役立てられています。 例えば、ある地震災害現場では、トータルステーションを用いて、地盤の液状化の範囲を特定し、復旧工事の優先順位を決定しました。

遺跡調査

遺跡の発掘調査現場では、遺構や遺物の位置を正確に記録するためにトータルステーションが用いられています。 3Dスキャナーと組み合わせて、遺跡のデジタルアーカイブを作成することも可能です。 例えば、ある遺跡調査現場では、トータルステーションと3Dスキャナーを用いて、古墳の形状を詳細に記録し、後世に伝えるためのデジタルデータを制作しました。

これらの活用事例からもわかるように、トータルステーションは、現代社会の様々な分野で不可欠な測量機器として活躍しています。

トータルステーション使うならレンタルがおすすめ

トータルステーションを使うなら、購入よりもレンタルがおすすめです。

トータルステーションは高価な精密機器であり、購入には数十万円〜数百万円の費用がかかることもあります。レンタルを利用することで、必要な期間だけ機器を使用できるため、初期投資を抑えつつ業務を開始できます。特に短期プロジェクトやスポット的な測量業務には最適です。

レンタルサービスでは、トータルステーションを利用するスケジュールにあわせて整備された機材を使用できます。自社で購入した場合、保管スペースの確保や管理の手間が生まれるため、使い終わった後すぐに返却できるレンタルは大きな利点になります。

レンタル機器は、業者が定期的に点検・整備を行っているため、故障やトラブルのリスクが低く、万が一の際にも迅速な交換対応が可能です。自社で保有する場合に比べて、修理対応の負担が軽減されます。

 

レンタルにおすすめのトータルステーション

1. CS-237WF

項目 詳細
型式 CS-237WF
メーカー トプコン
望遠鏡倍率(倍) 30
正立
最大測定距離(m) 1プリズム
1,600
最小角度表示 10″または20″
測角精度 7″
電源 内蔵電源
連続使用時間(h) 約8.5
重量(kg) 4.9

トータルステーションの詳細を見る

CS-237WFは、測角精度7秒・測距精度±(3mm+3ppm×D)を誇る高性能トータルステーションで、精密な測量作業に最適です。
小型・軽量設計と長時間バッテリーにより、屋外での連続使用にも対応し、現場作業の負担を軽減します。
レンタルなら初期投資を抑えつつ、整備された機種を必要な期間だけ利用できるため、コストパフォーマンスに優れています。

2. GM-107F

項目 詳細
型式 GM-107F
メーカー トプコン
望遠鏡倍率(倍) 30
正像
最大測定距離(m) ノンプリズム:0.3~800
プリズム5型:1.3~500
プリズム2型:1.3~5,000
反射シートRS90N-K:1.3~500
反射シートRS50N-K:1.3~300
反射シートRS10N-K:1.3~100
最小角度表示 10″または20″
測角精度 7″
電源 リチウムイオンバッテリー
連続使用時間(h) 約21
重量(kg) 5.5

トータルステーションの詳細を見る

GM-107Fは、ハイエンドクラスの新設計EDMを搭載し、精度7秒の測角と最大800mのノンプリズム測距が可能な高性能トータルステーションです。
防塵防水性能IP66と−20℃〜50℃の使用温度範囲に対応し、過酷な現場でも安定した測量作業を実現します。
レンタルなら初期費用を抑えつつ、整備された機種を必要な期間だけ利用できるため、コストと作業効率の両面で優れた選択肢です。

まとめ:トータルステーションは測量作業の効率化と高精度化に不可欠なツール

トータルステーションは、距離と角度を同時に高精度で計測できる測量機器であり、建設、土木、測量といった様々な分野で広く利用されています。 トランシットやセオドライトといった従来の測量機器に比べ、作業効率が飛躍的に向上し、計測データの信頼性も高めることができます。

トータルステーションには、様々な種類があり、用途に合わせて最適な機種を選択することが重要です。 精度、機能、耐久性、価格などを考慮し、あなたのニーズに合った一台を選びましょう。

トータルステーションは、現代社会の様々な分野で不可欠な測量機器として活躍しています。 トータルステーションの知識を深め、あなたの業務に役立てていただければ幸いです。

なお産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、トータルステーションをはじめ、さまざまな種類の測量機械を取り扱っています!

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