AIストップとは?深刻な掘削機の接触事故をゼロに近づけるAI技術を紹介

建設業は全業種のなかで労働災害による死亡者数が最も多く、その要因の1つに建設機械との接触事故が後を絶たないという深刻な現実があります。特に掘削機を用いる作業では、「ヒヤリとする場面が度々ある」「対策はしているが、いつか重大な事故が起きるのではないかと不安」といった声を聞くことが多いです。

本記事では、こうした課題を解決するためAIを活用した掘削機自動停止システム「AIストップ」について、具体的な機能や導入メリットを詳しく解説します。さらに、現場の安全性を高める関連システムも紹介しますので、自社の安全対策を見直すきっかけとしてぜひ最後までお読みください。

なお、AIストップはNETIS(ネティス)に登録された技術を搭載しています。「安全対策のためにより新しい技術を使いたい」「安全強化だけでなく公共工事での加点も狙いたい」とお考えの方は、以下のボタンからまずは詳細をご覧ください。

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労働災害による死亡者数が全業種で最も高い

建設業界が抱える深刻な課題の1つが、労働災害の多さです。厚生労働省が公表した資料によると、2024年における建設業の労働災害による死亡者数は232名(全業種の約3割)でした。

特に以下の3つが三大災害と呼ばれ、建設業界で起きる労働災害の約9割を占めています。

【三大災害】

  • 墜落・転落災害
  • 建設機械・クレーン等災害
  • 倒壊・崩壊災害

なかでも、ショベルカーやブルドーザー、掘削機といった建設機械と作業員が接触する事故は、非常に危険な災害です。建設機械が旋回する際、死角にいた作業員が挟まれてしまう事故は死亡リスクが高く、現場の安全対策の見直しが求められています。

従来の安全対策では限界がある

多くの建設現場では、オペレーターによる目視での確認や、専任の誘導員を配置しての安全確認がおこなわれてきました。しかし、このような人による対策だけでは事故を完全に防ぐことが難しいのが実情です。

なぜなら、重機の構造上、オペレーターに死角が多く、作業を進めながら目視だけで周囲を十分に確認できないためです。

例えば、ショベルカーの運転席は地上から高い位置にあるため、機体のすぐそばやアームの下などがほとんど見えなくなってしまいます。さらに、車両の感覚をつかむのが難しい特殊な構造や、エンジンカバーなどが視界を大きく遮ることも、死角を増やす要因です。

【建築現場の懸念点の例】

  • 建設機械には死角が多く、作業しながら確認することが難しい
  • 作業現場の騒音により、音声による連絡が困難
  • 疲労や注意散漫による見落としが発生しやすい
  • 長時間作業や集中力の低下がエラーを引き起こしてしまう

上記のように現場特有の環境によって、危険を知らせる声がオペレーターに届かないケースや、一瞬の気の緩みから発生する人的ミスが事故につながるケースがあり、新たな対策が必要とされています。

掘削機の事故防止にAIが注目されている

建設業界の深刻な状況を打開するため、国も対策に乗り出しています。厚生労働省が策定した「第14次労働災害防止計画」では、建設業における死亡災害を2027年までに2022年比で15%以上削減するという具体的な目標が掲げられました。

この目標達成のために、注目を集めている技術の1つがAIです。例えばAIカメラは、単なるセンサーとは異なり「人」と「物」を識別できるので、不要な警告が減り、本当に危険な場面でのみ作動します。

人間の目ではどうしてもカバーしきれない死角をAIで監視し、危険を自動で検知・警告することによって、限られた人材で作業を進める現場であっても安全対策を強化しようとする動きが進んできています。

接触事故を防ぐならAIカメラ式掘削機自動停止システム「AIストップ」

AIストップ

掘削機による接触事故を防ぐなら「AIストップ」がおすすめです。このシステムは、半天球AIカメラが「人」だけを正確に検知し、万が一の際には掘削機を自動で停止させます。

掘削機の周囲に設定した危険エリアへ作業員が侵入すると、2段階の警報で段階的に危険を知らせ機械を自動停止し、重大な接触事故を未然に防ぐことが可能です。一連の動作がすべて自動でおこなわれるため、「作業に夢中になってしまい見ていなかった」「疲れていて気づかなかった」という人的ミスによる事故を減らせます。

さらに、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS(ネティス)」にも登録されている商品なので、「限られた人材で効率的かつ安全に作業を進めたい」とお考えであれば、まずは以下から詳細をご覧ください。

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AIストップの3つの特徴

ここでは、AIストップの具体的な特徴について以下の3つを紹介します。

AIストップの3つの特徴

では、1つずつ見ていきましょう。

1. 半天球AIカメラで360度検知できる

AIストップには、半天球型のAIカメラが搭載されています。半天球型であれば360度を監視できるので、これ一台で掘削機の周辺に発生する死角を大幅に削減できるというわけです。

また、AIカメラによる画像認識は、危険エリア内に侵入したのが「人」だけを検知する点が特徴です。資材や工具などには反応しないため、誤作動を最小限に抑えられます。

さらに本体にはIP66等級の防塵(ぼうじん)・防水機能を備えており、逆光や夜間、雨や霧、雪といった悪条件の環境でも安定して作動し、過酷な屋外工事の現場でも問題なく使用できます。

必要に応じてカメラは最大2台まで設置でき、機体の前方と後方にそれぞれ取り付けて死角をほぼゼロに近づけ、接触事故のリスクを低減させることも可能です。

2. 2段階警報システムが搭載されている

AIストップは、危険度に応じて警告をステップアップする「2段階警報システム」を採用しています。現場の状況に合わせて、検知範囲を半径0.5mから5.0mまで細かく調整し、その範囲を「外側警告範囲」と「内側警報範囲」に分けて設定することが可能です。


第1段階として、作業員が「外側警告範囲」に進入すると、まず警告灯が点滅し、オペレーターと作業員の双方に注意を促します。そして第2段階として、さらに危険な「内側警報範囲」まで侵入してしまうと、警告灯に加えてブザーが鳴り響き、同時に掘削機の動きが自動で停止します。

例えば、「外側を2m、内側を1m」に設定すれば、作業員が2m以内に近づくと光で注意を促し、1mまで踏み込んだ瞬間に機械が停止するイメージです。これによって、「スムーズに作業を進めること」「緊急時に安全を確保すること」を両立し、事故を未然に防ぎます。

3. NETIS(ネティス)登録技術である

AIストップは、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS(ネティス)」に登録された技術を活用しています。NETISとは、「新技術情報提供システム=New Technology Information System」の頭文字をとった略称で、施工者が登録された技術を公共工事で活用するとビジネス上のメリットがあります。

具体的には、工事完成時に発注者から評価される「工事成績評定」において、安全対策への優れた取り組みとして加点対象となる点です。

出典:国土交通省

価格と技術力を総合的に評価して落札者を決める「総合評価落札方式」の入札においてもアピールポイントとなるため、受注の可能性を高めることにつながります。ほかにも、

  • 施工を安全かつ効率的に進められる
  • 施工コストや工期の短縮が期待できる

という利点があるため、安全かつ効率的に工事を進めたい企業が注目しています。

ここまでAIストップの3つの特徴について紹介しました。レントでは、実際の活用例をもとに各現場に適した使い方を提案することも可能なので、「もう少し詳しく知りたい」「とりあえず見積もりが欲しい」という場合は、以下のボタンからお気軽にご連絡ください。

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接触事故のリスクを軽減するほかの安全対策システム2選

ここからは、AIストップのほかに接触事故のリスクを軽減するシステムを2つ紹介します。

順に見ていきましょう。

1. 掘削機自動停止システム「ライダーストップ」

項目 詳細
対応機種 0.1~0.25 クラス 掘削機(12V)
センサー検知距離(m) 警報:2、一時停止:1または1.5
センサー検知角度(°) 180(1つのセンサーでの数値)
防塵・防水 65(センサー、制御ボックス、コントロールボックス)
NETIS登録番号 QS-210039-A

ライダーストップは、レントが独自に開発したオリジナルの安全対策商品です。レーザー光を照射し反射光を捉えることで、対象物までの距離や形状、位置を3次元で正確に測定する「2D LiDAR(ライダー)センサー」を使って、掘削機と作業員の接触事故を防止します。

検知エリア内に人や物が入ると警報を発し、掘削機を自動停止させることで接触事故のリスクを軽減します。2D LiDARセンサーは2カ所に取り付けられるうえ、位置の調整が可能なので、現場に適した検知エリアを構築しより安全に作業を進めることが可能です。

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2. 作業員検知システム「MFストップ」

項目 詳細
検知距離(m) 3/4/5/6/7/8(6段階)、3/4/6/8/10/12(6段階)
警報出力 スピーカー用×1
内側検知認定 (外側警報値の)3/3、2/3、1/2、1/3
動作電源電圧(V) DC +12、DC +24
最大消費電流(A) 2
電波受信アンテナ(MHz) 1/4λホイップアンテナ(マグネットベース付)受信周波数:315
磁界送信周波数 125
保護等級 IP65相当(防塵防水仕様)
動作温度(度) -10~+60、-10~+75
本体寸法(mm) 150×200×75、230×300×86
対象掘削機 0.1~0.25(12V)、 0.45~0.7(24V)
NETIS登録番号 QS-150004-VE

磁界によってICタグを検知するセミアクティブRFID方式を採用した「MFストップ」も、作業員を検知し事故を防止するシステムとしておすすめです。検知器を取り付けた重機と、専用のICタグを身につけた作業員が一定の距離まで接近すると、ブザーとパトライトで接近を知らせ重機が自動で停止します。

検知距離によって「外側警報」「内側警報」の2段階に分け、それぞれ異なる音を出して知らせるので、危険をいち早く把握でき安心です。

検知範囲は360度なので死角をつくらず、壁や障害物の向こう側にいる作業員も発見して警告します。さらに、作業員が身につけるICタグの数には制限がないため、トンネルなどの暗い現場、障害物のある危険な現場でも、すべての作業員が安心して作業を進められます。

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AIを活用して建設現場の安全性を向上させよう

掘削機と作業員の接触事故は、建設現場における深刻な労働災害の1つです。従来の人の目だけに頼った安全管理では限界があり、建設業界では企業の信頼性向上だけでなく、作業員のかけがえのない命を守るためにも、新しい技術の導入が求められています。

レントでは、現場の安全性を向上させるAIストップをはじめ、複数の安全対策商品をご用意しています。システムの導入に関するご相談や、現場に合わせた最適な活用方法のご提案も可能ですので、「システムを導入して事故防止を図りたい」「現場の安全対策を強化したい」とお考えの方は、以下のボタンからお気軽に見積もりを依頼ください。

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