アウトリガーはクレーンで荷物を吊り上げるときに、車体を支える装置です。アウトリガーを車体から左右に張り出すことで、荷物を持ち上げたり移動させたりするときの安定性を高めます。
本記事では、クレーン付きトラック(ユニック)のアウトリガーについて、種類や設置するときの手順をまとめました。使用する際の注意点も紹介していますので、「アウトリガーの正しい使い方を知って、安全に作業を進めたい」と考えている方はご一読ください。
なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、さまざまなクレーン付きトラック(ユニック)を扱っています。作業に合った車両をご提案しますので、以下のボタンから気軽に問い合わせください。
アウトリガーとは
アウトリガーとは、車体を支える装置のことです。車両本体に格納されたアウトリガービームを左右(または前後)に伸ばし、ジャッキ状のパッドを地面に設置して車両を支えます。
アウトリガーが使われる場面は、主に以下のとおりです。
使用シーン | 概要 | 車両の例 |
建設現場や運輸業界 |
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工事現場や港湾での荷役作業 |
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上記のように、さまざまな現場においてアウトリガーが使われています。
クレーン付きトラックのアウトリガーの種類3選
クレーン付きトラックで良く見られるアウトリガーの種類は、以下の3つです。
順に見ていきましょう。
1.ハイアウトリガー
出典:古河ユニック株式会社
ハイアウトリガーは、画像のように車体を高く持ち上げることが可能なタイプです。荷台が地面と接するまで後方に大きく傾けられるため、重機や大型車両をスムーズに荷台へ載せやすくなります。
車体を高く持ち上げられる性質上、軟らかい地面など不安定な場所でハイアウトリガーを搭載した車両を使うのは、大きな危険をともないます。ハイアウトリガーを張り出す前に、安定した場所であるかよく確認しましょう。
2.リアアウトリガー
出典:古河ユニック株式会社
車体の後方に「リアアウトリガー」を備えたクレーン付きトラックもあります。
ほかの種類のアウトリガーは、荷台の前方のみにアウトリガーを搭載しているため、地面に固定できるのは2ヵ所のみです。リアアウトリガーであれば4ヵ所を地面に固定できるため、より安定性を高められます。
3.差し違いアウトリガー
差し違いアウトリガーは、左右のアームを差し違いに収納できるタイプです。「アウトリガービーム」と呼ばれるパーツが長い点が特徴で、左右に広くアウトリガーを貼り出せます。
設置の際も差し違いになって広い面積で車体を安定させられるため、安全性を高め事故を防ぎやすくすることが可能です。
クレーン付きトラックのアウトリガーを設置する4つのステップ
クレーン付きトラックのアウトリガーは、以下の手順で設置します。
順に見ていきましょう。
1.PTOのスイッチを入れる
まずはPTO(Power Take Off)のスイッチを入れます。PTOとは、エンジンの動力をさまざまな装置に分岐させるためのパーツです。
スイッチを入れるときの具体的な手順は、以下のとおりです。
【PTOのスイッチを入れる手順】
- クラッチペダルを奥まで踏む
- 運転席にあるPTOスイッチを押す
- クラッチペダルを戻すとPTOが入る
うまく作動すると「カチ」という小さな音が聞こえ、アウトリガーが操作できるようになります。
PTOを入れ忘れたままではアウトリガーに動力が伝わらないため、作業前に必ず確認しましょう。
2.アウトリガーを左右に張り出す
PTOが入ったら、アウトリガーのスイッチを操作します。張り出す前には周囲を見渡し、人や障害物にぶつからないか必ず確認しましょう。
クレーン等安全規則の第七十条の五では、アウトリガーは最大限まで左右に張り出して使わなければならないと定められています。
アウトリガーを十分に張り出し、人や物との衝突を避けるためにも、できる限り広いスペースを確保できる場所でアウトリガーを操作しましょう。
3.敷板(アウトリガーベース)を置く
アウトリガーを左右に張り出したら、「アウトリガーベース」と呼ばれる敷板を置きます。アウトリガーが地面に直接触れると、荷重が一点に集中して地盤の沈下や損傷が起こりやすくなるためです。
敷板を使えば、接地面が広がり荷重を分散させられます。敷板からはみ出ないよう、アウトリガーの底が敷板の中心に来るように設置しましょう。
4.アウトリガーを縦に伸ばす
最後に、スイッチを操作してアウトリガーを縦方向に伸ばします。伸ばす目安は、車体が持ち上がり前輪が浮く手前までです。
前輪が浮いてしまうと、クレーンで吊り上げた荷物を移動させて車体の重心も動いたときに、車両が不安定になります。そのため、アウトリガーを縦に伸ばすのは、あくまで前輪が浮く「手前」にしましょう。
一方で、縦に伸ばす長さが足りないと、荷台から荷物を降ろした際にアウトリガーが浮いてしまいます。安全に作業をするためにも、車両のバランスが不安定になっていないか確かめながら、アウトリガーを操作を進めることが重要です。
アウトリガーを使うときの3つの注意点
アウトリガーを使う際は、以下の3点に注意します。
順に見ていきましょう。
1.必要な資格・免許を保有しているか確認する
クレーン車を操作するなら、「移動式クレーン特別教育」「小型移動式クレーン運転技能講習」を受講する必要があります。
項目 | 概要 |
移動式クレーン特別教育 | 吊り上げ荷重が「1t未満」の場合に必要 |
小型移動式クレーン運転技能講習 | 吊り上げ荷重が「1t以上5t未満」の場合に必要 |
車両の総重量や吊り上げ能力を確認し、どちらを受けるべきか把握しましょう。特別教育や技能講習では車両の操作について触れるため、アウトリガーの操作方法も学べます。
また、車両で公道を走行するには以下の運転免許が必要です。
免許証の種類 | 車両総重量 | 最大積載量 |
準中型免許(5t限定) ※H19.6.2~H29.3.11までに普通免許を取得した者 |
5t未満 | 3t未満 |
準中型免許 ※H29.3.12以降に準中型免許を取得した者 |
3.5~7.5t | 2~4.5t |
中型免許(8t限定) ※H19.6.1以前に普通免許を取得した者 |
8t未満 | 5t未満 |
中型免許 ※H19.6.2以降に中型免許を取得した者 |
7.5~11t未満 | 4.5~6.5t未満 |
大型免許 | 11t以上 | 6.5t以上 |
車両を「走行」させるための運転免許と、「操作」をするための資格は別のものです。運転免許だけを保有している場合は車両の操作ができないため、注意してください。
【お問い合わせ先 レント教習センター TEL:054-265-2320】
2.アウトリガーを張り出すスペースを確保する
クレーン車を設置する場所や作業半径をチェックし、アウトリガーを張り出したときに周囲の障害物に当たらないか確認することも必要です。狭すぎる場所ではアウトリガーを完全に張り出せません。
地盤の傾きや強度をチェックし、敷板を含めて地盤が沈下する恐れがないか見ておくことも重要なチェックポイントです。雨が続いたあとや雪解けの直後は地面が軟らかくなるので、特に注意が必要です。
加えて、作業半径も確認しましょう。アウトリガーを貼り出せる場所であっても、クレーン車のブームが電線や建物に接触すると、作業ができません。
あらかじめ、クレーン車を設置する場所の地盤や障害物を調べ、アウトリガーやブームを操作できる場所を選びましょう。
3.アウトリガーベースを使用する
荷重が一点に集中すると路面が沈んだり傷んだりするため、アウトリガーベースを使って荷重を分散させることが必要です。アウトリガーベースを設置すると荷重が分散して、安定感が増します。
特に土や砂利の多い現場や舗装されていない場所では、アウトリガーベースがないとアウトリガーが地面に埋没し、車体が傾くリスクが高まります。
そのため、アウトリガーベースを使って路面を保護しながら、車両を安定させましょう。アウトリガーベースについては、以下の記事でも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
>>アウトリガーベース(敷板)とは?設置が必要な理由や選び方などをまとめて解説
作業に適したクレーン付きトラックを選ぶならレンタルがおすすめ
現場や扱う荷物に合ったクレーン付きトラック(ユニック)を準備するなら、レンタルがおすすめです。たとえアウトリガーを正しく張り出しても、作業に合わない車両を使っていると事故につながりかねません。
案件によって、吊り上げる荷物の大きさや重さ、吊り上げたい高さ、使用環境などが異なるので、適した車両を用意する必要があります。
柔軟に最適な車両を用意するなら、最低限のコストで必要なときのみ作業にぴったりな車両を借りられる、レンタルサービスの利用がおすすめです。
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アウトリガーを正しく使ってユニックで安全に作業を進めよう
クレーン付きトラック(ユニック)で安全に作業を進めるには、アウトリガーを正しく設置する必要があります。アウトリガーを張り出す際は、運転免許とは別に講習を受けて車両を操作する資格の取得が必要など、いくつか注意点もあるので確認しましょう。
作業に適したクレーン付きトラックを用意するなら、産業・建設機械のレンタル会社「レント」がおすすめです。アウトリガーの正しい操作方法を学べる特別教育や技能講習を実施しているうえ、2~3tクラスだけでなく、4t・6tクラスなど豊富はな車両を用意しています。
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