アウトリガーベースとは、クレーン車や高所作業車のアウトリガーに設置する敷板で、車体を安定させ路面を保護する役割があります。アウトリガーベースにはさまざまな種類があるため、用途に応じた選び方が重要です。
本記事では、アウトリガーベースの基本的な役割から選び方、使用する際の注意点をまとめました。「アウトリガーベースの基礎知識を知りたい」とお考えの方は、ご一読ください。
なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、アウトリガーベースが標準装備された車両を取りそろえています。万が一の際に補償をおこなう「安心サポート制度」もありますので、安全に配慮して作業を進めたい場合は以下のボタンからお気軽に見積もりを依頼ください。
アウトリガーベース(アウトリガーの敷板)とは
アウトリガーベースとは、十分な厚みと強度を持つ角型の板のことで、「敷板」とも呼ばれます。その役割は、アウトリガーの先端に集中した圧力を分散させ、地面への負担を軽減することです。
アウトリガーとは、クレーン付きトラックや高所作業車などの車体の両側から地面へ張り出す、以下のような装置を指します。
クレーンが持ち上げる荷物の重さによっては、車体だけでは支えきれずに転倒したり、タイヤがパンクしたりする危険があります。そのような事態を防ぐために車体に備わっているのが、アウトリガーです。
アウトリガーベースは、アスファルトなど舗装された平らな場所で使用するケースが一般的です。ただし、軟弱な地盤など不安定な場所では、広い敷鉄板で補強したうえで使用します。
アウトリガーベースが必要な2つの理由
アウトリガーベースが必要な理由は、主に2つです。
それでは、1つずつ説明します。
1. 車体を安定させ、安全に作業をおこなうため
1つ目の理由は、車体を安定させ安全に作業をおこなうためです。特に、舗装されていない地面での作業ではアウトリガーが地面に沈み込み車体が傾くため、転倒事故につながる恐れがあります。
アウトリガーベースを使えば事故を防ぎ、安定した足場で作業が可能です。実際に移動式クレーンを使った現場では、以下のような場所でアウトリガーが地盤にめり込み、転倒した事故が発生しています。
【事故の事例】
- 道路工事後などの、舗装が不十分な場所
- 道路脇の側溝の上
- 鉄板を敷いた下が空洞になっている工事現場
また、クレーン等安全規則第七十条の三でも、以下に該当する場所でのクレーン作業は禁止されています。
【クレーン等安全規則第70条の3で作業が禁止とされている場所】
- 地盤が軟弱な場所
- 地下に埋設物がある場所
ただし、十分な広さと強度を持つ鉄板などを敷いて地盤を補強し、その上にクレーン車を設置する場合は、安全に作業を進めることが可能です。この場合、敷鉄板の上にアウトリガーベースを設置すると、より安全な作業環境を確保できます。
2.車体の重みを分散させ、地面を傷つけないため
車体の重みを分散させ地面を傷つけないためにも、アウトリガーベースは重要です。実際のクレーン作業では、アウトリガーの先端にあるフロートに圧力がかかります。
【フロートとは】
アウトリガーの一部。地面と接する部分にある、お皿のような形をしたパーツのこと。
フロート1脚には、機体質量と吊り上げる荷物の総重量70~80%の荷重がかかります。機体質量とは、作業装置を除いた、冷却水や油の入っていない機械本体の質量です。
フロートをそのまま地面に設置すると圧力が小さな面積に集中し、地盤の沈下や公道の破損につながります。
特に、小型の移動式クレーンでは、大規模な土木工事と違って事前の地盤調査を実施しないケースがほとんどです。代わりに、以下を目安に地盤の強度を判断します。
【地盤の強度を判断する目安】
- 人の足跡や車両のタイヤ跡の深さ
- 目視で確認した土の種類や性質
こうした状況で安全に作業をおこなうには、アウトリガーベースが欠かせません。アウトリガーベースの使用によって、集中する圧力を分散し地盤への負担を抑えながら、車体の安定性を向上できます。
アウトリガーベースの選び方
アウトリガーベースを選ぶときのポイントは以下の2つです。
それぞれのポイントを見ていきましょう。
1. 作業車の最大積載量に合わせて選ぶ
1つ目のポイントは、作業車の最大積載量に適したアウトリガーベースを選ぶことです。アウトリガーベースにはそれぞれ耐荷重が決められており、耐荷重を超えると事故につながる恐れがあります。
【耐荷重とは】
物や構造物が耐えられる最大の重さのこと。
例えば、小型クレーン車用のアウトリガーベースを大型クレーン車に使用した場合、重みに耐えられず破損し事故を引き起こすリスクがあるため、注意が必要です。
また、破損や変形を起こしたアウトリガーベースは使用できないため、代替品の手配などで作業が遅れる原因にもなります。安全に作業をおこなうためには、作業車の最大積載量に合った耐荷重のアウトリガーベースを選びましょう。
2. 設置場所に適した材質を選ぶ
設置場所や用途に応じた材質選びも、ポイントの1つです。アウトリガーベースの主な材質と特徴を、以下に紹介します。
材質 | 特徴 |
木製 |
|
ゴム製 |
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プラスチック樹脂製 |
|
現場の状況に合わない材質は、アウトリガーベースの破損や車両の転倒につながります。それぞれの特徴を理解し、設置場所に最適なアウトリガーベースを選択しましょう。
アウトリガーベースを使用するときの2つの注意点
アウトリガーベースを使用するときは、以下の2点に注意が必要です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 平らな場所で使用する
1つ目の注意点は、安定した平らな場所でアウトリガーベースを使用することです。
アウトリガーベースは、安定した場所での使用を前提として設計されています。想定されていない不安定な場所での使用は、車体が転倒するなどの事故につながり危険です。
以下のような場所でアウトリガーベースを使うことは避けましょう。
場所 | 概要 |
傾斜のある場所 | アウトリガーベースの片側に荷重が集中するため、転倒する危険がある |
軟弱な地盤 | 地盤が不安定なため、作業中にアウトリガーベースが沈み込む可能性がある |
地面がデコボコしている場所 | アウトリガーベースが安定せず車体が不安定になり、転倒する危険がある |
また、偏荷重による事故を防ぐため、アウトリガーベースの中央にアウトリガーを設置し、負担が均等にかかるようにします。
【偏荷重とは】
重さが前後左右のいずれかの方向に偏っている状態のこと。
アウトリガーベースに偏った重さが伝わると、破損やアウトリガーのずれが発生する可能性があります。
実際に、アウトリガーのずれが原因で車体が地面に沈み込み、転倒する事故も報告されています。特に住宅地では、周辺の建物や人々に被害をもたらす可能性があるため、細心の注意が必要です。
また、作業を開始した後にアウトリガーベースの位置を修正するには、手間と時間がかかります。そのため、アウトリガーベースを設置する位置は十分に確認しましょう。
2.1つの車両に対して同じ製品を使用する
1つの車両に対して同一メーカー・同一製品のアウトリガーベースを使う点も、注意したいポイントです。
例えば、耐荷重が同じアウトリガーベースでも、メーカーや製品が異なれば厚さや寸法も違ってきます。異なる製品を組み合わせると車体の安定性が損なわれる原因となり、事故へとつながりかねません。
実際に足場が不安定であったため、車両が傾き転倒した事故が報告されています。安全に作業をおこなうためにも、同一メーカー・同一製品のアウトリガーベースを選びましょう。
作業を安全におこなうには車両選びも重要
クレーン付きトラックや高所作業車などでの作業を安全に進めるためには、アウトリガーベースを正しく使用することはもちろん、車両選びも重要です。
現場によって、吊り上げる荷物の重さや作業する高さがさまざまです。そのため、アウトリガーベースを正しく使っていても、作業内容に合わない車両では事故につながるリスクが高まります。
アウトリガーベースによる安全対策は、適切な作業車を選んでこそ効果を発揮することを覚えておきましょう。
なもし、最低限のコストで案件に合う車両を用意するなら、レンタルサービスの利用がおすすめです。必要なときに必要な車両のみを借りられるため、購入費用や保管場所の確保で悩む必要がありません。
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安全に作業するためにアウトリガーベースを正しく使おう
アウトリガーベースは、クレーン付きトラックや高所作業車のアウトリガーと地面との間に設置する敷板です。車体を安定させ作業の安全性を高めるためには、欠かせません。
車両や作業内容、現場の状況に応じて適切なアウトリガーベースを選んで、正しく使用すると事故を防げます。そのため車両を選ぶ際は、アウトリガーベースも含めて確認することが重要です。
なお、作業に適した高所作業車やクレーン付きトラックをお探しの場合は、産業・建設機械のレンタル会社「レント」がおすすめです。アウトリガーベースが付いている車両を豊富に取りそろえているので、自社で別途用意する必要がありません。
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