コンクリートへの穴あけ作業が必要になった際「手もとにあるインパクトドライバーで対応できるの?」という疑問を抱くことはありませんか?
結論からお伝えすると、インパクトドライバーでコンクリートへの穴あけは、条件がそろえば可能です。ただし、適切な工具とビットを使い、慎重に作業する必要があります。
本記事では、インパクトドライバーでコンクリートに穴をあける方法や注意点などを解説します。より適した電動工具も紹介しますので「コンクリートに穴あけをしたい」とお考えの方は、ぜひお読みください。
なお、電動工具を準備するならレンタルがおすすめです。産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、コンクリートの穴あけに最適なドリルを豊富な在庫から提案していますので、以下のボタンからお気軽に見積もりを依頼ください。
インパクトドライバーによるコンクリートの穴あけは不可能ではない
冒頭でも述べたように、インパクトドライバーでコンクリートに穴をあけることは不可能ではありません。直径6mm程度の小さな穴であれば、コンクリート用のドリルビットで穴をあけることが可能です。
とはいえ、インパクトドライバーはネジ締めを主な用途とする工具なので、穴あけに使用する行為は推奨できるものではありません。インパクトドライバーのメーカーから、コンクリートの穴あけへの使用を控えるような注意喚起がされているケースもあります。
それでも、「事情があって、どうしてもインパクトドライバーで穴をあけたい」という方のために、次の項目で必要な道具を紹介します。
コンクリートの穴あけに必要な道具
【コンクリートの穴あけに必要な道具】
- プロ用のインパクトドライバー
- 六角軸6.35mmのコンクリート用ドリルビット
- 防じんマスク・ゴーグル
- 耳栓・イヤーマフ
まず、使うインパクトドライバーはパワーのあるプロ用の製品をおすすめします。DIY用の低出力モデルは、ほとんどのケースでコンクリートの硬さに太刀打ちできないためです。
コンクリートの穴あけには、回転力だけでなく打撃を加えた強いパワーが必要です。その衝撃に耐えられるよう、通常の金属用や木工用ビットではなく、超硬チップが付けられたコンクリート専用ビットを必ず使用しましょう。
なお、インパクトドライバーは天然石(大理石や御影石、鉄平石など)の穴あけをすると故障する確率が高いのでご注意ください。
コンクリートの穴あけにインパクトドライバーが向かない理由
なぜインパクトドライバーがコンクリートの穴あけに適しているといえないのか、その理由を整理しておきましょう。
では、それぞれ解説します。
1.本来はネジを締める工具だから
インパクトドライバーは、ネジを締めることを目的とした電動工具であるため、コンクリートのような硬い素材に穴をあける場合に適していません。
インパクトドライバーは、内蔵されたハンマーが回転方向に打撃を加えると、より強い力を発揮する仕組みです。
コンクリートのような硬い素材を削る場合、回転よりも打撃に力が使われるため、回転数が低下します。回転数が落ちると、穴をあけるために必要なパワーを確保できません。
その結果、「小さな穴しかあけられない」という状況が生まれます。
2.ビットや部材が折れやすいから
ビットや部材の破損リスクも考慮すべき点です。インパクトドライバーは衝撃を加えてネジを締めるため、強い衝撃によってドリルビットや部材が折れる可能性があります。
特にドリルビットがコンクリートに引っかかった状態で打撃を受けると、ビットが折損することも珍しくありません。さらに、コンクリートや木材などに穴あけ作業をする際、衝撃により部材そのものが割れるケースも考えられます。
このように、作業の安全性を損なうだけでなく、材料や工具の損失にもつながることから、インパクトドライバーでコンクリートに穴をあけることは推奨されていません。
コンクリートの穴あけができる電動工具2選
コンクリートの穴あけには、より適した電動工具があります。ここでは、代表的な2つの工具を紹介します。
では、見ていきましょう。
1.振動ドリル
振動ドリルは、コンクリートやレンガなどの硬い素材に穴をあけるために設計された電動工具です。
回転運動と垂直方向の振動を同時に伝え、力を分散させながら素材にアプローチするため、通常の電動ドリルでは割れやすい硬い材質でもきれいに穴をあけられます。
【振動ドリルで穴あけできる素材例】
- コンクリート
- モルタル
- タイル
- 石材
- ブロック
- 木材
- 薄い金属 など
次に紹介するハンマードリルと比べるとパワーは控えめですが、その分振動や騒音が少なく、きれいに穴をあけやすい点が特徴です。
使用する際の注意としては、手元がぶれないようにハンドルをしっかりと持ち、両手で安定させることです。また、粉じんが発生するため、保護ゴーグルや防じんマスクの着用を推奨します。
振動の強さや回転速度は機種によって異なるため、使用する際はそれぞれの機種の特性を理解しておきましょう。
2.ハンマードリル
ハンマードリルは、強力な打撃力を持つ電動工具で、コンクリートや石材などの硬質な材料に穴をあけるために使用されます。
ドリルの回転に加えてハンマーのような打撃を与えるため、パワーが強く、コンクリートの貫通やアンカを設置するための下穴加工に用いられることが多いです。
【ハンマードリルに向いている作業例】
- 20mmを超える穴をあける
- タイル剥がし
- ハツリ作業 など
パワーが強いため、振動ドリルでは対応が難しい「タイル剥がし」「ハツリ作業」も可能ですが、基本的には割れやすい材質の穴あけは向いていません。
また、ハンマードリルは重量があり、振動や騒音がともないます。使用時には周囲の環境に配慮し、必要に応じて安全対策をしましょう。
電動工具でコンクリートに穴あけするときの3つの注意点
電動工具を使ってコンクリートに穴をあける際は、安全でスムーズに作業を進めるために、以下の3つのポイントに注意しましょう。
では、1つずつ解説します。
1.作業に適した電動工具やビットを選ぶ
コンクリートの穴あけには、作業に適した振動ドリル(またはハンマードリル)と、コンクリート用ドリルビットを使用しましょう。一般的なドリルでは負荷に耐えられず、工具を傷めてしまうリスクがあります。
コンクリート用ドリルビットを選ぶ際の基準は、以下の3つです。
【コンクリート用ドリルビットを選ぶ3つの基準】
- サイズ(穴の直径・深さに合ったもの)
- 部材の種類(コンクリート、タイルなど)
- シャンクの形状(工具との適合性)
また、ビットのサイズは、以下のように穴のサイズに合わせて選びます。
【ビットの選び方】
- 振動ドリルなら、直径10mm
- ハンマードリルなら、直径20mm以上
ビットが長すぎると、曲がったり、正確な位置に穴をあけられなかったりするおそれがあります。コンクリートやタイルなど対象物の材質によっても、振動ドリルの穿孔(せんこう)能力やビットの種類が異なるため、対応したものを選びましょう。
加えて、ドリル刃の軸(シャンク)の形状も確認が必要です。電動工具は、どのタイプもドリル刃の部分と機械の部分が分かれています。
▼電動工具とよく使われるシャンクの種類例
電動工具 | シャンクの種類 |
振動ドリル |
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ハンマードリル |
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インパクトドライバー |
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電動工具によって適したサイズが異なるため、注意が必要です。例えば、同じ「六角軸シャンク」をハンマードリルとインパクトドライバーで使用したいと思っても、流用ができません。
電動工具とシャンクのタイプが一致しないと刃を固定できずうまく動かないため、間違った組み合わせを選ばないよう、工具とビットの適合性を確認しましょう。
2.部材に合った回転数や打撃数の電動工具を選ぶ
コンクリートに穴をあける際は、「回転+打撃」の両方の力が必要です。選ぶ工具の回転数や打撃数によって作業のしやすさが変わるため、部材に合ったものを選びましょう。
【用途に適した回転数】
- 回転数が高い:金属など硬いものの穴あけ
- 回転数が低い:木材など比較的やわらかい素材の穴あけ
打撃数が多いほど硬いコンクリートに対応しやすくなる一方、力が強すぎて部材を破損する恐れがあるため慎重な調整が必要です。
目的の穴あけをイメージどおりにおこなうためにも、作業する部材に適した回転数と打撃数を持つ電動工具を選ぶことが重要です。
3.騒音や粉じん対策をおこなう
コンクリートの穴あけ作業は、騒音と粉じんが発生します。安全に作業を進めるためにも、作業環境を整える対策が欠かせません。
- 騒音対策:耳栓やイヤーマフ
- 粉じん対策:保護ゴーグルやマスク
- 周囲への配慮:作業時間を調整する、養成シートなど
粉じんが周囲に飛び散るのを防ぐため、養生シートを使って作業エリアを保護したり必要に応じてビニールシートを張ったりすると、作業後の清掃が楽になります。
電動工具で穴あけをするならレンタルがおすすめ
安全かつきれいに穴あけをするなら、振動ドリルやハンマードリルなどの専用工具を使うのが理想的です。
ただし、コンクリートの厚みやあけたい穴の大きさはさまざまなので、都度適した工具を購入するとなると導入コストや保管場所の確保、メンテナンスの手間がかかります。
そこで役立つのが、レンタルの活用です。レンタルなら、必要な工具を必要なときだけ用意でき、コストを最小限におさえられます。さらに、保管やメンテナンスはレンタル会社がおこなうため、管理の負担も軽減することが可能です。
産業・建設機械のレンタル会社「レント」なら、振動ドリルやハンマードリルはもちろん、防じんマスク、保護めがね、耳栓などの作業用品も、必要に応じて一緒にご用意(※)しております。豊富な在庫から最適な工具を提案しますので、「電動工具をレンタルしたい」「作業に適したドリルを相談したい」という方は、以下のボタンよりお気軽に見積もりを依頼ください。
※防じんマスク、保護めがね、耳栓などは販売品でのご用意となります。
レンタルにおすすめのドリル4選
ここで、レンタルにおすすめの振動ドリルとハンマードリルを紹介します。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
1.振動ドリル
- UH700:2速切替モード付きで、さまざまなサイズの穴あけに対応できる
- 8420V:堅牢なアルミボディを採用し、高い耐久性がある
- DV20VB2:高速・低速の二段変速付きで、用途の幅が広い
型式 | UH700 | 8420V | DV20VB2 | |
穴あけ能力(mm) | コンクリート |
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鉄工 |
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木工 |
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電源(V) |
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回転数(min-1〔回/分〕) |
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打撃数(min-1〔回/分〕) |
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寸法(mm) |
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質量(kg) |
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※表は横にスクロールできます。
振動ドリルは、位置決めが簡単で、真円に近いきれいな穴をあけられる工具です。コンクリートはもちろん、石工、鉄工、木工の穴あけやネジ締めにも対応可能なので、一台あれば幅広い作業に活用できます。
主な機種として3種類のモデルがあるため、作業内容や好みに合わせて選べます。各機種の重量は2.2〜3kgと、長時間の作業でも負担になりにくい設計になっている点も特徴です。
2.ハンマードリル(充電式)
型式 | DH25DAL | TE 6-A36-DRS | |
穴あけ能力(mm) | コンクリート |
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(推奨6~16) |
鉄工 |
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木工 |
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ダイヤモンドコア・スーパーダイヤコア |
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― | |
ハイパーダイヤコア・スーパーウッドコア |
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― | |
バッテリー電圧 (V) |
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充電時間 (分) |
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回転数(min-1〔回/分〕) |
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打撃数(min-1〔回/分〕) |
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全長(mm) |
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質量(kg) |
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※表は横にスクロールできます。
電源の確保が難しい場所や、広範囲を移動しながらの作業におすすめの電動工具として、充電式のハンマードリルを紹介します。コードに制約されないため取り回しがよく、以下のような多様な現場環境で活躍します。
【ハンマードリル(充電式)に向いている作業例】
- コンクリートの穴あけ
- アンカの下穴あけ
- コアドリル作業
- ハツリ
- 土堀り
- 溝堀り
など
打撃モードを搭載している「DH25DAL」は、コンクリートなどの破砕作業にも対応可能です。また、粉じん対策が重要な現場では、小型強力モーターが排出されるキリコを徹底的に吸引する、「TE 6-A36-DRS」のような集じんシステム付きモデルが活躍します。
3.ハンマードリル(100V)
型式 | DH18VB | HR3811 | TE30-M-AVR | DH40MRY | DH40SR | |
穴あけ
能力 (mmφ) |
コンクリート |
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鉄工 |
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ー | ー | ー | ー | |
木工 |
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ー | ー | ー | ー | |
コアビット | - |
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電源 (V) | 単相100 | |||||
回転数 (回/分) |
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打撃数 (回/分) |
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全長 (mm) |
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質量 (kg) |
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※表は横にスクロールできます。
ハンマードリル(100V)は、以下のような安定した高出力が必要な作業に適しています。
【ハンマードリル(100V)で対応できる主な作業】
- コンクリートの穴あけ
- アンカの下穴あけ
- コアドリル作業
- ハツリ
- 土堀り
- 溝堀り など
機種によって「回転と打撃」「回転のみ」のようにモードの切り替えが可能なため、作業内容に応じて最適な設定を選べる点が特徴です。関連商品のバキュームクリーナとアタッチメントを装着すると、粉じんを最大98%削減できるので、粉じん対策を強化したいときにもおすすめです。
4.ハンマードリル(100V・アングル)
型式 | GBH2-22RE | GBH2-23REA | |
穴あけ能力
(mmφ) |
コンクリート |
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鉄工 |
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木工 |
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ダイヤモンドコア・スーパーダイヤコア |
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電源 (V) |
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回転数 (回/分) |
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打撃数 (回/分) |
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全長 (mm) |
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質量 (kg) |
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最後に紹介するのは、通常のハンマードリルに特殊なアングルヘッドを装着したモデルです。回転と打撃を同時に伝達するコンクリート用アングルヘッドを備えているため、通常のドリルでは届かない狭い場所への穴あけができます。
【ハンマードリル(100V・アングル)で対応できる主な作業】
- コンクリートの穴あけ
- アンカの下穴あけ
- コアドリル作業
- ハツリ
- 土堀り
- 溝堀り など
コンパクトで軽量のため、天井部分での上向き作業や特殊な角度での作業が求められる現場でも活躍します。
インパクトドライバーでコンクリートに穴あけをするなら慎重に進めよう
インパクトドライバーでコンクリートに小さな穴(直径6mm以下)をあけることは、可能です。ただ本来の使い方ではないため、どうしても作業をする場合は、必ずコンクリート用ドリルビットを装着し作業環境を整える必要があります。
コンクリートに安全に穴をあける場合は、振動ドリルやハンマードリルなど専用の電気工具が必要です。無理に作業を進めてコンクリートを割ってしまったり、破折したビットが当たったりしてけがをしないよう、慎重に作業をおこないましょう。
できるだけ低コストで最適な工具を用意するなら、レンタルの利用がおすすめです。産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、コンクリートの穴あけに最適なドリルを豊富に取り扱っています。
防じんマスク、保護めがねなどもまとめてご用意可能(※)なので、「コンクリートの穴あけに最適な電動工具を用意したい」「安全対策もまとめておこないたい」という場合は、以下のボタンからお気軽に見積もりを依頼ください。
※防じんマスク・保護めがねは販売品でのご用意となります。