延線ボールとは、電気や通信ケーブルの敷設に使う機械のことです。案件に適したものを選ぶためには、ケーブルの外径や設置環境などいくつかのポイントを知っておくことが重要です。
本記事では、創業約40年の産業レンタル会社が、延線ボールの選び方についてまとめました。おすすめの商品も併せて紹介していますので、「現場に合う延線ボールを用意したい」とお考えの方はご一読ください。
なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、インバータ制御式や100Vの延線ボールのレンタルをおこなっています。「延線工事に最適な機械をレンタルしたい」とお考えの場合は、以下のボタンよりお気軽に見積もりを依頼ください。
延線ボールの選び方3ステップ
前述のとおり延線ボールとは、延線工事で使うケーブルを敷地内に送り出す機械のことです。延線ボールを選ぶ際は、以下の3つのステップに沿って確認を進めましょう。
なお、ケーブルを送り出す手法としては、「手引き」「ウインチ」などほかのやり方もあります。それぞれの手法のメリット・デメリットは以下のとおりです。
手法 | メリット | デメリット |
延線ボール |
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手引き |
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ウインチ |
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また、ケーブルには高圧と低圧があり、導体の断面積をsq(スケア)で表し、主に以下の4つのサイズにわかれます。
【ケーブルの断面積のサイズ】
- 3.8スケア
- 60スケア
- 100スケア
- 150スケア
※一般的には、断面積が大きいほど多くの電気を流せる
断面積は同じでも導体を包む被膜の厚さが異なるため、「高圧ケーブル」「低圧ケーブル」のどれかによっても外径が変わります。では次章から、延線ボールを選ぶ際にチェックしておくべきケーブルの外径について見ていきましょう。
【ステップ1】使用するケーブルの外径を確認する
まずは、使用するケーブルの外径(Φ=ファイ)を確認しましょう。外径とは、導体や被膜を含めたケーブル全体の直径のことで、パイやマルとも呼ばれます。延線ボールはケーブルの外径に応じて以下から選びます。
【ケーブルの外径】
- Φ65未満
- Φ100未満
- Φ160
ケーブルの外径が大きくなるほど重く作業しにくくなるため、それを考慮して適切な延線ボールを選ぶ必要があります。延線ボールは天井や壁などに設置する場合が多いので、できるだけ軽量で扱いやすい機種を選ぶのがおすすめです。
【ステップ2】延線ボールの設置環境を確認する
次に延線ボールの設置環境を確認します。良く設置される場所は、主に以下の2つです。
No. | 設置場所 | 概要 |
1 | 天井・壁 | 工場の天井や壁にあるケーブルラック(はしごのようなもの)に設置する |
2 | 地面 | ハンドホール内に設置する |
延線ボールを設置する際は、ある程度のスペースが必要です。寸法以上のスペースがないと、以下の不具合が起こります。
【スペースが不足する場合】
- 延線ボールが別の機械に当たる
- ケーブルが抜ける
設置を予定している場所の図面や現場状況を見て、延線ボールのサイズや台数が設置場所に合っているかを確認しましょう。
なお、スペースを確保できない際は、単管パイプで設置場所を作るケースもあります。ただし、イレギュラーな対応ではあるので、通常は設置場所がとれるかを確認したうえで延線ボールを選ぶことがおすすめです。
また、ケーブルの距離が長い場合、送り出す力が強い延線ボール(4つ玉など)を選ぶ必要があります。
レントでは実際の設置場所を確認したうえでケーブルを送り出せる力を計算し、最適な台数を提案いたします。必要な台数のみを用意し、費用を抑えて延線工事の準備を進めたい場合はこちらよりお気軽にご相談ください。
【ステップ3】必要な台数を計算する
必要な延線ボールの台数は、以下の2つをもとに計算したうえで決定します。
送り出し力とは、延線ボールがケーブルを送り出す力のことで、以下のとおりケーブルサイズ(太さ)によって変わります。
【送り出し力の違い】
- 太いケーブル:重量があり、ローラーの力が伝わって押しやすい
- 細いケーブル:軽くて滑りやすく、力がうまく伝わらず押しにくい
ただし、設置台数を計算するときは、送り出し力とケーブルの重さ以外にも、現場の状況やケーブルの特性も考慮しなければならず、知見のない人が適正な設置台数を割り出そうとするのはハードルが高めです。
レントでは、現場の状況や使用するケーブルをもとに設置台数を計算したうえで貸し出しをおこなっておりますので、「設置台数の計算が難しい」「とりあえず相談してみたい」とう方は以下よりお気軽にご連絡ください。
レンタルにおすすめの延線ボール3選
ここからは以下3つの延線ボールを紹介します。
順に見ていきましょう。
1.延線ボール(インバータ制御式)
※画像は代表商品のものです。
項目 | 詳細 | ||||
型式 |
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最大送り出し力(kN[kgf]) |
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送り速度(m/min) 50/60Hz |
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モートル |
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適用ケーブル外径(mm) |
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寸法(mm) ※幅×長さ×高さ |
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質量(kg) |
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備考 |
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※表は横にスクロールできます。
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
延線ボール(インバータ制御式)はインバータ制御盤を使用しているため、スピードを制御して延線作業をおこなえます。曲がり、上り・下りなど、経路に関係なく一定の力と速度でケーブルを送り出せるため、安全なケーブルの敷設が可能です。
狭い場所にも設置できる機器や、太いケーブルの送り出しに適した機器など、さまざまな種類を取りそろえているため、現場に合う機種を選べます。
2.延線ボール(100Vタイプ)
※画像は代表商品のものです。
項目 | 詳細 |
型式 |
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最大送り出し力(kN) |
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送り速度(m/min)50/60Hz |
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モートル |
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適用ケーブル外形(mm) |
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寸法 ※幅×長さ×高さ |
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質量 (kg) |
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※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
100Vタイプの延線ボールは、一般家庭と同じ100Vのコンセントがあれば使用可能です。ボールの開閉はラチェットスパナで簡単にでき、作業をスムーズに始められます。
なお、無段階変速の機能が付いており任意の速度が選べるので、速度の調整が容易です。また、正転・逆転の切り替えが手元のスイッチで操作できるため、ケーブルを送りすぎたときの調整も簡単におこなえます。
3.【参考】張力調整機
※画像は代表商品のものです。
項目 | 詳細 |
型式 |
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電源 |
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ケーブル適用範囲(φ) |
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ケーブル保持能力(kg) |
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寸法(mm) ※幅×長さ×高さ |
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質量 (kg) |
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※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
張力調整機は、縦幹線工事の落とし込みに使用する機械です。ケーブルを止めるブレーキとしての使用はできず、あくまで加速防止装置として使います。
負荷調整ダイヤルを使ってケーブルの落下スピードを調整できるため、ケーブルの引き上げ作業よりも少ない機材で、安全な作業が可能です。使用する際に電源は必要ありません。
現場に適した延線ボールを選ぼう
現場に適した延線ボールを選ぶには、ケーブルの外径や設置環境などの考慮が必要です。本記事で紹介した延線ボールの選び方3ステップに沿って、現場に適した延線ボールを選びましょう。
なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、延線ボールのレンタルをおこなっています。設置場所や作業条件をヒアリングしたうえで設置台数の計算をおこなうため、現場に適した延線ボールのレンタルが可能です。
「スムーズに作業を進められる延線ボールを使いたい」「必要な台数だけ延線ボールをレンタルしたい」という場合は、以下のボタンから気軽に見積もりを依頼ください。