ハンマードリルに取り付けるビット(キリ)は、コンクリートやレンガなどの硬い建材に穴をあけるために欠かせない道具です。しかし、種類やサイズが多く、どれを選べばいいのか迷ってしまうことはありませんか?
もし用途に合わないビットを選ぶと、作業がうまく進まなかったり、ビットがすぐにダメになったりする場合もあります。
本記事では、ハンマードリル用ビットの種類や規格を解説します。失敗しない選び方のポイントも紹介するので、最適なビットを選ぶためにもご一読ください。
なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、さまざまなハンマードリルのレンタルや適合するビットの販売をおこなっています。作業に合ったハンマードリルとビットをご提案しますので、以下のボタンからお気軽に見積もりを依頼ください。
ハンマードリル用のビット(キリ)とは
ハンマードリルで使用するドリル刃は、一般的に「ビット」や「キリ」と呼ばれます。コンクリートやレンガといった、硬い建材に穴をあけるために設計された専用のドリルビットです。
ハンマードリルは先端部分に硬い「超硬チップ」が取り付けられており、回転しながらハンマーで叩くような衝撃を与えて、穴をあけたり材料を砕いたりします。そのため、一般的な電気ドリルで使われるビットと比較すると、折れにくく摩耗しにくい点が特徴です。
もし、通常の鉄工用や木工用のドリルビットをハンマードリルの打撃モードで誤って使用してしまうと、以下のリスクがあります。
【打撃モードを誤って使用したときのリスク】
- ビットがすぐに破損する
- うまく穴があかない
また、ハンマードリル用のビットを選ぶ際には、手持ちのハンマードリル本体と適合するかどうかを確認することも重要です。ビットの根元部分である「シャンク」の規格が本体と合っていなければ、そもそも取り付けられません。
加えて、使用するビットの直径(ビット径)がハンマードリル本体の能力上限に近い場合にも注意が必要です。能力ギリギリのビットを使うと、穴あけに時間がかかったり、本体が過熱しやすくなったりする恐れがあります。
使用するハンマードリルに合ったビットを用意して、作業をおこないましょう。
ハンマードリルビットの5つの種類
ハンマードリルのビットには以下のような種類があります。
1つずつ解説します。
1.コンクリート・石材用ドリルビット
コンクリートやブロック、石材などの硬い素材に穴をあける際には、標準的なハンマードリルビットを使います。先端に刃(チップ)が複数ついており、「振動ドリルビット」とも呼ばれるタイプです。
SDS-plus軸やSDS-max軸などのシャンク(ドリル刃の軸)に対応しており、主にアンカーボルトの下穴あけや、配線・配管用の穴あけに使われます。
太さ(径)は数mmから数十mm、長さも数十mmから数百mmと幅広く選択できるため、さまざまな下穴あけに対応可能です。
2.大径穴用コアドリルビット
出典:日本ヒルティ株式会社
直径3mm~50mmほどの穴をあけたい場合は、「コアドリルビット」や「コアビット」と呼ばれるホールソー状のビットが適しています。
このタイプは中心部分をくり抜く方式なので、通常の振動ドリルビットよりも効率的に大きな穴をあけられる点が特徴です。コンクリート用では、鉄筋コンクリートに穴をあけられるため、配管孔や貫通孔をあけるときに役立ちます。
なお、コアドリルビットを装着しているときは、ハンマードリルのハンマー機能はオフにして回転モードで使用するなど、ドリルビットの指定に従って使う必要があります。ハンマー機能を使うと刃が欠ける恐れがあるため、注意が必要です。
3.木工・鉄工用ドリルビット
出典:日本ヒルティ株式会社
木材や金属に穴をあける際は以下のドリルビットを使います。
【木材や金属に穴をあけるときに使うドリルビット】
- 木工用ドリルビット(木工用キリ、スパイラル、平錐など)
- 鉄工用ドリルビット(HSSドリル)
ハンマードリルの打撃モードをオフにし、回転モードで作業を進めましょう。
一方、ハンマードリル本体がSDS-plusやSDS-maxなどの専用チャックで、ストレートシャンク(丸軸)の鉄工用・木工用ドリルビットを直接取り付けられない場合があります。
その場合は、チャックアダプター(ハンマーチャック)を装着すると、振動ドリルとして使えるようになります。普段はコンクリートでの作業がメインのハンマードリルでも、通常のドリルドライバー代わりとしても使用可能です。
ただし、ハンマードリルはコンクリート作業を想定して設計されているため、木工作業や鉄工作業が中心であれば、専用のドリルドライバーを使用するのがおすすめです。
4.ハツリ作業用ビット
出典:日本ヒルティ株式会社
ハンマードリルには「打撃のみ」モードがあり、これにハツリ専用ビットを組み合わせると、コンクリートなどの硬い素材を削ったり穴をあけたりできるようになります。
コンクリートのような硬い素材に対して、「削る」「穴をあける」など比較的小さい規模の加工を施す作業の総称。
例えば、「ブルポイント」と呼ばれる先端が尖ったドリルビットを使うと、衝撃が一点に集中しコンクリートに亀裂を入れやすくなります。
また、平タガネというビットを使って、コンクリートの表面の削り取りや、タイルのハツリをスムーズに進めることも可能です。
5.そのほかの特殊なビット
出典:日本ヒルティ株式会社
ハンマードリル用のビットには、特殊な用途で使われるビットもあります。
上記画像の、地面を固めるランマ(タンピングプレート)は四角い平板が取り付けられ、土間などの締固め作業が可能です。
スコップビット(スコップアタッチメント)は先端がシャベル状になっているため、狭い場所の土をえぐり出したり、地中に穴を掘ったりするときに使われます。
ただし、紹介したドリルビットはあくまでハンマードリルの補助的な使い方なので、本格的に作業する場合は重機や専用の機械を使いましょう。
ハンマードリルでよく使われるシャンクの規格3選
ハンマードリルでよく使われるシャンクの規格は以下の3つです。
このほかにも特殊な規格はさまざまあります。なお、上記の3つの規格を含め、いずれも基本的には互換性がないので注意が必要です。それでは、1つずつ解説していきます。
1.SDS-plus軸
SDS-plus軸は、DIY用からプロ用まで用意があり、最も普及しているハンマードリルビットの軸規格です。シャンク径は約10mmで、溝が2つ入った形状をしています。
対応するハンマードリルに差し込むだけでロックでき、ワンタッチで着脱ができます。また、SDS-plus対応のハンマードリルは軽量~中型モデルに多く、比較的扱いやすい点も特徴です。
最大穴あけ径が25〜30mm程度までという製品もあり、細い穴から中くらいの穴あけ、軽めのハツリ作業など幅広く使われています。
2.SDS-max軸
出典:日本ヒルティ株式会社
SDS-max軸はSDS-plus軸よりも大型のハンマードリル向けで、大径の穴あけや重負荷のハツリ作業に適しています。18mmのシャンク径を採用しており、30mm以上の穴あけや長時間の連続作業でも安定したパフォーマンスを発揮します。
SDS-max対応のハンマードリルでは、50mm前後のドリルビットを扱えるモデルが一般的です。コアビットを装着すれば、100mmを超える穴あけもできます。
本体の重量が増えるため多少扱いにくくなりますが、コンクリートの貫通孔などの施工が可能です。
3.六角軸
出典:日本ヒルティ株式会社
先端が六角形になっているシャンク規格が、六角軸です。昔から国内メーカーのハンマードリルや電動ハンマーで採用されてきました。現在、軽量~中型のハンマードリルではSDS-plus軸が主流ですが、六角軸は一部の重砲金ハンマーやハツリ機で今でも使われています。
六角軸は構造がシンプルで強度が高く、強い打撃にも耐えられる点が特徴です。対辺サイズは13mm、17mm、21mmなど複数の種類が存在します。
なお、六角軸に対応したハンマードリルは工具不要でドリルビットを交換できるタイプも豊富ですが、工具が必要なタイプは交換に手間がかかるケースもあります。
ハンマードリルビットの選び方の3つのポイント
ハンマードリルビットを選ぶときは、以下3つのポイントを確認します。
順に見ていきましょう。
1.作業内容に適している
作業内容に合わせて、適したドリルビットを選定します。以下を参考に、ドリルビットの種類とハンマードリルのモード設定を確認しましょう。
作業内容 | ドリルビットの種類 | ハンマードリルのモード |
コンクリート・石材に穴をあける |
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金属に穴をあける |
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木材に穴をあける |
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タイルに穴をあける |
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レンガ・ブロック塀に穴をあける |
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コンクリートをはつる |
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作業に合わないドリルビットを選んでしまうと、穴あけに失敗したりハンマードリルやドリルビットの破損につながったりします。また、作業の際はドリルビットの種類だけでなく、ハンマードリルのモード設定も誤っていないか確認しましょう。
なお、上記の表で紹介した以外にも、土を掘る「スコップビット」や地面を固める「ランマビット」がありますが、あくまで補助的な使い方です。大量の土を掘ったり広い範囲の地面を固めたりする場合は、スコップビットやランマビットではなく、専用の機械を使いましょう。
2.ビット径が穴の直径と合っている
穴の直径に合わせたドリルビットを選択することも必要です。以下のように、どのような穴をあけるかで選ぶべきビット径は変わります。
【あける穴と選ぶべきビット径】
- アンカーボルト(コンクリートに使われるネジ)の下穴をあける:アンカーの規格で指定された径のドリルビット
- 貫通孔をあける:配管やケーブルが通りやすい、ひと回り大きな径のドリルビット
なお、ドリルビットの規格としては、25mm前後の穴をあけるのであればSDS-plus、50mm前後であればSDS-maxを選ぶのが1つの目安です。さらに大径の穴あけが必要な場合、コアビットの使用を検討しましょう。
また、ハンマードリル本体にも最大穴あけ径が設定されているため、あけたい穴に対応しているハンマードリルであるか、確認が必要です。
3.あけたい穴の深さよりもビットが長い
穴の深さよりも十分に長いドリルビットを使わないと、施工途中で届かなくなる場合があります。そのため、目的の深さよりも長めのドリルビットを選びましょう。
なお、ドリルビットの仕様表には「全長」と「有効長」の記載がありますが、穴をあけられる深さを表すのは「有効長」です。製品によっては「全長×有効長」で表記されているケースもあります。
ただし、極端に長いビットを使うと、外部から曲げる力やねじる力が加えられたときに寸法の変化が起こりにくい「剛性」が低下して、ぶれやすくなります。
深い穴をあけるときは、段階的に径を上げていったり、長さ延長用のシャンクを活用したりして、徐々に穴をあけていきましょう。
きれいな穴をあけたいならハンマードリルのレンタルを検討してみよう
現場で指定された穴をあけるためには、適切なドリルビットだけでなく、それを取り付けるハンマードリルが必要です。そのハンマードリルの準備方法としておすすめなのが、レンタルの活用です。
前述のとおり、ドリルビットは用途だけでなく、ハンマードリル本体の規格に適合したものを選ぶ必要があります。もし使用したいドリルビットが複数種類あり、それぞれに対応するハンマードリルを購入するとなると、コストがかさんでしまいます。
レンタルであれば、これらのハンマードリルを都度購入する必要がありません。利用期間に応じた料金で済むため、購入した場合と比較してコスト削減が可能です。
また、レンタル会社では製品をメンテナンスしているため、突然の機器トラブルのリスクを抑えられ、作業をスムーズに進められます。
産業・建設機械のレンタル会社「レント」でも、さまざまな規格・種類のハンマードリルを用意しています。「作業に合ったハンマードリルをそろえたい」「ドリルビットもまとめて調達したい」という場合は、以下のボタンより気軽に見積もりをご依頼ください。
レンタルにおすすめのハンマードリル3選
ここからは、レンタルにおすすめの3つのハンマードリルを紹介します。
1つずつ見ていきましょう。
1.ハンマードリル(100V)
※画像は代表商品のものです。
型式 | DH18VB | HR3811 | TE30-M-AVR | DH40MRY | DH40SR | |
穴あけ能力(mmφ) | コンクリート |
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鉄工 |
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ー | ー | ー | ー | |
木工 |
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ー | ー | ー | ー | |
コアビット | ー |
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電源(V) |
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回転数(回/分) |
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打撃数(回/分) |
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全長(mm) |
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質量(kg) |
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※表は横にスクロールできます。
※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
100V電源で稼働し、「回転+打撃」「回転のみ」「打撃のみ」のようにモードを切り替えられるハンマードリルです。
種類が豊富で各モードをワンタッチで切り替えられるタイプや、穴あけ作業と集塵作業が同時にできて粉塵が飛び散らないタイプなど、さまざまな製品をとりそろえています。
対応している作業としては、コンクリートの穴あけやアンカーの下穴あけ、コアドリルでの作業などがあり、実施したい作業に合わせてレンタルが可能です。
2.ハンマードリル(100V・アングル)
※画像は代表商品のものです。
型式 | GBH2-22RE | GBH2-23REA | |
穴あけ能力(mmφ) | コンクリート |
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鉄工 |
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木工 |
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ダイヤモンドコア・スーパーダイヤコア |
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電源(V) |
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回転数(回/分) |
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打撃数(回/分) |
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全長(mm) |
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質量(kg) |
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※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
アングルヘッド付きで、狭いスペースや角度的に作業が厳しい箇所にもアプローチしやすいハンマードリルです。通常のハンマードリルでは届かない箇所に穴をあけたいときに役立ちます。
回転と打撃を同時に伝達する設計で、コンクリートビスや3分アンカーまで幅広い作業に対応できます。
本体は2~3kgほどでハンマードリルのなかでは比較的軽い設計のため、上向き作業や長時間の作業でも疲れにくい点もメリットです。
3.ハンマードリル(充電式)
※画像は代表商品のものです。
型式 | DH24DV | TE 6-A36-DRS | |
穴あけ能力(mmφ) | コンクリート |
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鉄工 |
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木工 |
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ダイヤモンドコア・スーパーダイヤコア |
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ー | |
ハイパーダイヤコア・スーパーウッドコア |
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ー | |
電圧(V) |
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充電時間(分) |
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回転数(回/分) | SAVEモード |
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POWERモード |
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打撃数(回/分) | SAVEモード |
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POWERモード |
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全長(mm) |
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質量(kg) |
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※掲載は代表機種であり、納品される機械とは異なる場合がございます。
充電式のハンマードリルは、コードレスで電源の確保が難しい屋外や移動が多い現場で活躍します。
DH型では、モードチェンジレバーを切り替えるだけで打撃や回転など各モードを簡単に変更可能です。SAVEモードでは細い径のドリルビットの曲がりや材料の欠けを軽減し、POWERモードでは素早く穴あけができます。
TE型は振動の軽減や集塵機能を備えており、粉塵の多い工事現場で活躍します。また、必要な押し付け圧が低く、作業時の疲れを軽減させることも可能です。
用途に合わせてハンマードリルやビットを選ぼう
ハンマードリル用のビットは、素材や作業内容、必要な穴の径や深さに合ったものを選ぶ必要があります。軸規格は基本的に互換性がなく、ハンマードリル本体に合った規格のドリルビット選びが重要です。
ただし、ハンマードリル本体や各種ビットをそろえるのはコストがかかるため、必要に応じてレンタル会社の活用もおすすめします。
なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」でハンマードリルをレンタルすると、以下のメリットがあります。
豊富な種類のハンマードリルをそろえているため、現場に合う製品の提案が可能です。また、販売しているドリルビットも、さまざまな寸法はもちろん、穴あけスピードが速いタイプや折れ曲がりにくい形状のドリルビットも用意しています。
「案件に合うハンマードリルとビットを選択したい」「最適なハンマードリルを選んで作業を効率化したい」とお考えの方は、以下のボタンからお気軽に見積もりを依頼ください。