クリーンルームは、わずかな異物やホコリの侵入が許されない環境です。荷物を運搬する際には室内の衛生環境を保つために、専用の台車が欠かせません。
本記事では、クリーンルームでよく使用される台車をまとめました。選び方も解説するので「どのような台車が適切なのだろう」とお悩みの場合は、ご一読ください。
なお、産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、クリーンルーム用の清掃を実施した台車を用意しています。衛生管理が厳しい環境で使える台車を探している場合は、以下よりお気軽に見積もりを依頼ください。
クリーンルーム用の台車とは
台車は「手押し台車」や「ハンドトラック」などとも呼ばれる、人の手で荷物を運ぶための道具です。そのなかでもクリーンルーム用の台車は、厳密な衛生管理の基準に沿っている必要があります。
なお、クリーンルームとは、空気中のホコリや細菌などの微粒子が一定の基準以下に保たれている部屋のことです。作業者や持ち込まれるものに対して徹底した衛生管理をおこない、異物が持ち込まれることを避けなければなりません。そのため、クリーンルーム用の台車は、以下のような素材や構造が採用されています。
【クリーンルーム用台車の素材や構造】
- 薬品に強い
- サビが発生しにくい
- 静電気の対策がされている
- 清掃やメンテナンスがしやすい
「運ぶ」だけではなく「清浄な状態を保つ」ことが、クリーンルーム用の台車に求められます。
クリーンルーム用の台車の主な種類
クリーンルームで使われる主な台車の種類は、以下のとおりです。
順に見ていきましょう。
1.手押し台車
【特徴】
- 荷物を運ぶときによく使われる手で押すタイプの台車
- 折りたためるタイプもあり、場所をとらずに収納が可能
クリーンルーム用の手押し台車は、チリやホコリが溜まらないようにするため、ボルトや継ぎ目を減らしています。使われる素材は、錆びにくく薬品にも強いステンレスや、静電気を逃がせる帯電防止の素材です。
なかには、クリーンルーム内で清潔さを保つために「SUS304」という素材を使っている台車もあります。「SUS304」は腐食に強く、長期間使ってもサビや汚れが付きにくいステンレスです。
ほかにも、汚れの原因となるクッションゴムなどを使わず、角を丸くする加工をして、人や物に接触した際の衝撃を抑えられる台車もあります。
2.平台車(平床台車)
【特徴】
- 荷台とキャスターのみのシンプルな構造
- 台車同士を連結して、より大きなサイズの荷物を運べるものもある
荷物の形状やサイズにとらわれず、自由に積載や運搬ができるのが、平台車(平床台車)です。積み重ねて保管が可能なタイプなら、使わないときはスペースをとらずに収納できます。
加えて、天板がフラットで凹凸が少なく、清掃しやすい点が特徴です。アルコールなどで手軽に除菌でき、特に清潔さが求められる場合に使いやすい台車です。
3.カゴ台車
出典:株式会社ヨドノ
【特徴】
- カゴ車、ロールボックスパレット、カゴテナーと呼ばれる場合がある
- 四方または三方に金属製の柵が付いている
カゴ台車は、荷物の運搬と保管を1台でおこなえます。柵が付いているため、荷物をカゴ台車に積んだまま保管しても、横に崩れ落ちてしまうトラブルを防げます。
また、使わないときは折りたたんでコンパクトに収納できるため、保管スペースが限られていても場所をとりません。そのため、スペースが限られている場所での使用もおすすめです。
4.金網台車
【特徴】
- 金網なので汚れが溜まりにくく、洗浄しやすい
- 複数の細かいものや形状の異なるものを運搬したい場合に適している
網目の構造で通気性に優れているのが金網台車です。水分や空気がこもりにくく、結露やカビの発生を防げます。
台車自体の重量が軽い金網のため、スムーズな移動が可能なうえ、洗浄した後でも早く乾きます。なお、ステンレス製の製品はサビや薬品に強く、消毒によって異物の発生をより抑えることが可能です。
5.パンチングワゴン
【特徴】
- 洗浄後の水切れが良いためすぐに乾燥し、清潔な状態を保てる
- 薬品に強いステンレスが主な材料
パンチングワゴンはその名のとおり、棚板にパンチング穴があいています。通気性や排水性が高くサビが発生しにくいことに加え、穴があいているぶん棚板が少し軽いです。
主な素材は、サビや薬品に強いステンレスです。汚れ落としや消毒がしやすいため、衛生面での配慮が求められるクリーンルームでの利用に適しています。
クリーンルーム用の台車の選び方
クリーンルーム用の台車を選ぶときは、以下の点をチェックします。
順に見ていきましょう。
1.静電気の対策が施されている
台車を選ぶ際には、静電気の対策がされた台車を使う必要があります。静電気を帯びた台車は、空気中のホコリや微粒子を引き寄せ、運搬する精密機器や電子部品に不具合を生じさせたり、食品の衛生基準を満たせなかったりする場合があります。
そのため、クリーンルームで使われる台車には、静電気が溜まりにくい「帯電防止」や「導電性」の素材を使った台車が適切です。例えば、導電性カーボンを含む樹脂でできた台車は、静電気をすぐに外へ逃がせます。
静電気の発生を最小限に抑えられる台車を選び、クリーンルーム内への異物の混入や取り扱っている製品の品質を維持しましょう。
2.掃除がしやすい構造や素材である
クリーンルームで使用する台車は、できるだけ継ぎ目や凹凸の少ない構造を選ぶことが重要です。継ぎ目や凹凸が多いとホコリや汚れが溜まりやすいため、清掃や消毒に手間がかかるだけではなく、クリーンルーム内に異物を持ち込むことになりかねません。
清掃しやすいフラットな構造の台車を選ぶと、クリーンルーム内の清浄な環境を保てるうえ、扱っている製品の故障や異物の混入を避けられます。
また、素材については、以下のように手入れしやすいものを選ぶのがおすすめです。
素材 | 特徴 |
ステンレス製 |
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樹脂製 |
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アルミ製 |
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クリーンルームでは衛生管理が欠かせないため、繰り返しの洗浄や殺菌に耐えられる台車が適切です。消毒や洗浄剤を使って台車を定期的に殺菌する場合は、薬品に強く劣化しにくいステンレス製や、特殊な樹脂製のものを選ぶなど、台車の素材にも配慮する必要があります。
3.キャスターやストッパーがクリーンルームに対応している
台車のキャスターやストッパーにも、異物や汚れの侵入を防げる、クリーンルームに適した仕様のものがあります。キャスターの場合は、以下のように摩耗が少なく静電気やホコリの発生を抑えるものを選びましょう。
種類 | 概要 |
ナイロン |
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導電性ウレタン |
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導電性ゴム |
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ステンレス芯+ウレタン巻き |
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ポリプロピレン(PP) |
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MCナイロン(モノマーキャストナイロン) |
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ストッパーが付いていると、台車が勝手に移動しません。思いがけず精密機器や製品にぶつかって壊れたり、台車が人に衝突したりする事故を防ぐので、ストッパーの有無も確認しましょう。
なお、台車の選び方は以下の記事でも解説しているので、基礎知識や選び方を知りたい場合はあわせてご覧ください。
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クリーンルーム用の台車を使うならレンタルがおすすめ
クリーンルームで使用される台車には主に以下の種類があり、衛生面への配慮や静電気の対策などが施されたタイプがあります。
【クリーンルーム用台車の種類】
- 手押し台車
- 平台車(平床台車)
- カゴ台車
- 金網台車
- パンチングワゴン
クリーンルーム用の台車を導入するなら、長期間であれば購入する選択肢がありますが、使用する期間が限られている場合にはレンタルも方法の1つです。
レンタルを利用すれば、使用後は返却するだけで済み、保管場所の確保といった管理の手間がかかりません。こちらの記事では、台車をレンタルする方法を紹介しているので、あわせてご一読ください。
なお、クリーンルームで使える台車を調達するなら、産業・建設機械のレンタル会社「レント」がおすすめです。レントではサビや汚れに強いステンレスやメッキ素材の台車を用意しているため、チリやホコリをなどの発生を抑えられる製品を提案できます。
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