エアシャワーとは?仕組みや正しい使い方、現場に合った選び方を解説

エアシャワーとは、工場や研究施設など清浄な環境を必要とする現場へ、ホコリや毛髪などを持ち込まないようにするための設備です。

本記事では、エアシャワーの仕組みや正しい使い方、現場に適した選び方について解説しています。効果を十分に引き出し、現場の環境や目的に合った種類を選ぶためにも、ぜひご覧ください。

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エアシャワーとは

最初にお伝えしたように、エアシャワーは、作業者や台車に付着したホコリ・毛髪・微粒子を除去し、クリーンルームなどの現場への異物持ち込みを防ぐ設備です。

【クリーンルームとは】

空気中の微細なホコリやゴミなどを、極力少なく保つよう管理された部屋のこと

半導体や精密部品の製造では、わずかな微粒子でも付着すると製品不良や故障につながるため、エアシャワーが有効な設備として位置付けられています。また、医薬品や食品工場では、異物混入がクレームやリコールの原因になりやすいため、品質と安全性を守る目的で活用されます。

このように、現場ごとのリスクに応じて異物の持ち込みを抑えることが可能です。

エアシャワーの仕組み

エアシャワーは、単に風を当てるだけでなく、「吹き飛ばす」「回収する」「浄化する」という3つのサイクルで空気を循環させています。

【エアシャワーの仕組み】

  1. 吹き飛ばす:ノズル(吹き出し口)から高速の風を吹き出し、作業者の衣服や物品に付着している異物を吹き飛ばす
  2. 回収する:吹き飛ばされた異物を含む空気を床の吸い込み口から吸い取る
  3. 浄化する:吸い込まれた空気を内蔵フィルターで清浄化し、ノズル側へ循環させて次のエアシャワーに利用する

さらに、エアシャワーには出入り口のドアが同時に開かないよう制御する「インターロック」が備わっています。

インターロックは、クリーンルーム内外の空気が混ざるのを防ぐためのシステムです。作業者が入室するとロックがかかり、送風が止まるとクリーンルーム側のドアロックが解除されます。

エアシャワーが使われている現場

ここでは、エアシャワーが使われている現場を見ていきましょう。具体的には以下のとおりです。

現場 目的
半導体・精密機器
  • 微細なホコリや静電気の影響による不良・故障の防止
食品工場
  • 決められた衛生管理基準を満たす
  • 毛髪・繊維片・ホコリなどの異物混入クレームの防止
医薬品・化粧品
  • 微生物・異物の混入による安全性低下の防止
  • GMP 等の品質管理基準への対応(監査・査察対策)
医療関連施設(手術室・クリーンエリアなど)
  • 手術部位や医療機器へのホコリや微生物の持ち込み防止
  • 院内感染・術後感染リスクの低減
研究施設
  • 試料・培養サンプルへの異物・微生物混入の防止
  • 実験データの再現性・信頼性の確保

エアシャワーは異物の混入が許されない、高度な清浄度が求められるさまざまな現場で導入されています。その導入目的は、業種や取り扱う製品によって異なります。

エアシャワーの正しい使い方

エアシャワーを使用する際のポイントは、以下のとおりです。

高性能なエアシャワーを導入しても、作業者が手順やルールを守らなければ、除塵効果は落ちてしまいます。ポイントを押さえて運用しましょう。

1.入室前

まず、作業服や靴、マスク、キャップなどの保護具を正しく着用することが前提です。そのうえで、入室前の下準備として以下の対応をおこない、エアシャワーに持ち込む汚れを減らします。

【入室前の準備】

  • 全身のホコリや毛髪を、粘着ローラーで取り除く
  • 靴底の土や砂を、粘着マットなどで落としておく

なお、屋外作業の直後など靴底の汚れが多い現場では、可搬式自動靴底洗浄機の併用も有効です。床面の汚れを抑え、清掃負荷の軽減にもつながります。

レントでも可搬式自動靴底洗浄機を取り扱っています。詳細はこちらをご覧ください。

2.使用中

エアシャワーに入室したら、ドアを完全に閉めてから送風を開始します。ドアがきちんと閉まっていないと送風が作動しない、または運転が不安定になる場合があるためです。

送風が始まったら、その場に立ち止まるだけでなく、以下を意識して風を受けましょう。

【使用中に気をつけること】

  • 両腕を頭の上にあげた状態でゆっくり360度回転する
  • 身体の側面や脇の下は異物が残りやすいので意識する

両腕を頭の上にあげた状態で回転すると、衣服の隙間にも風があたり、除塵効果が高まります。多くの機種では、ノズルの角度を調整できるので、風が全身に当たるよう、あらかじめ角度を調整しておくと安心です。

送風条件は機種や現場条件で変わりますが、目安として風速23m/s以上を15〜20秒程度当てると、十分な除塵効果が得られるとされています。片吹きタイプの場合は除塵ムラが出やすいため、送風時間を長めにするなどの工夫が必要です。

3.送風が終わったあと

送風が止まったら、インターロックが解除されたのを確認して、クリーンルーム側のドアから出ます。

このときドアの開閉は速やかにおこない、開けっぱなしにしないことが重要です。ドアを開けたままにするとクリーンルーム内外の空気が混ざり、清浄度が低下する原因になります。

前の人が使用した直後は、吹き飛ばされたホコリや髪の毛がまだ空気中に舞っている可能性があります。続けて使用する際は、数秒〜数十秒ほどの間隔を空けると安心です。

【補足】エアシャワーのメンテナンス

エアシャワーの効果を持続するには、定期的な清掃と点検が欠かせません。主なメンテナンスは以下のとおりです。

【エアシャワーのメンテナンス例】

  • 床や壁面を定期的に清掃する
  • 内蔵フィルターを定期的に交換する

フィルターが目詰まりすると風速が低下し、効果を得にくくなります。交換時期の目安は2〜3年程度とされる傾向がありますが、使用環境によってはそれより増減する場合もあります。

特に、高性能フィルターである「HEPA(ヘパ)フィルター」などのメインフィルターの交換には専門知識が必要な場合があるため、専門業者に依頼するのが安心です。

【タイプ別】エアシャワーの種類

エアシャワーは設置方式、吹き出し方式、ドアタイプによってさまざまな種類があります。現場の条件や用途に合わせて選ぶときのポイントは以下の3つです。

ひとつずつ紹介します。

1.設置方式

まずは、設置する現場のスペースや搬入物の大きさ、常設か一時的な利用かによる違いを見ていきましょう。

種類 説明
設置式(標準ブース型)
  • 据え置きで使用するタイプで、設置工事が必要なことが多い
  • 安定した風量・風速を確保しやすい
  • 長期間の利用や、出入りが多い現場に向いている
設置式(大型貨物用・パレット対応型)
  • 据え置きで使用するタイプ。台車やパレットに載せた資材・製品をそのまま搬入できるよう、出入口が広く設計されている
  • 重量物や大型設備を扱う工場に向いている
組立式(ポータブル型)
  • 組み立てて設置する簡易タイプで、設置工事は不要
  • 軽量で移動・撤去が簡単
  • 狭い場所への設置や一時的な運用に向いている

設置式は、人や物が出入りすることを前提とした一般的なタイプです。台車や荷物を載せたフォークリフトなどが通過できるよう、出入口を広くした大型タイプもあります。いずれも一度設置すると移動が難しく、短期間の利用や頻繁な移設には向きません。

一方、組立式のポータブル型は設置工事が不要で、レイアウト変更や増設に柔軟に対応できるのがメリットです。設置スペースが確保しにくい現場や、一時的な運用にも適しています。

2.吹き出し方式

吹き出し方式は、エアシャワー内のノズルが「どこに配置されているか」で分類されます。ホコリを落とせる範囲や効果が変わるので、求める清浄度や予算とのバランスを見ながら選びましょう。

代表的な吹き出し方式の種類は、以下の3つです。

種類 説明
片吹き(片側の壁)
  • 片側の壁から風が出る
  • 安価で省スペースだが、風が当たる範囲が狭く除塵ムラが出やすい
  • 小規模ラインや少人数利用に適している
両吹き(左右の壁)
  • 左右の壁から風が出る
  • 片吹きより全身に効率よく風があたり、短い時間で除塵できる
3方向(天井+左右の壁)
  • 左右の壁と天井の3方向から風が出る
  • 頭部・肩・背面など異物の残りやすい箇所もカバー
  • 高い清浄度が求められる現場で推奨されている

ノズルの数が多いほど風が当たる範囲が広がり、除塵効果も高まりやすくなります。

例えば3方向から吹き出すタイプは、頭部や肩口にも風が届き、短時間で高い除塵効果を得やすいのが特徴です。ただし、その分導入コストは高くなる傾向があります。

3.ドアタイプ

ドアの開閉方式は、設置スペースや出入りの頻度、非接触で運用したいかどうかによって、選び方が変わります。ドアタイプは主に以下の3つです。

種類 説明
手動ドア
  • 手で開けるタイプ
  • 導入コストが低い
  • 荷物を持ったまま通過する場合や衛生面では不利
  • 人専用で利用する場合で、少人数の現場に向いている
自動ドア(スライド式)
  • 自動で開閉するタイプ
  • 非接触で開閉できて衛生的
  • 左右にスライドできるスペースが必要
  • 出入りが多い現場や、荷物を扱う現場に向いている
シートシャッター式
  • 上下に自動で開閉するタイプ
  • 開閉スピードが速いので開放時間が短く、清浄度を保ちやすい
  • 大人数や頻繁に出入りするケースで、高い清浄度が求められる現場に向いている

手動ドアは手で触れて開閉するため、衛生面の観点からは注意が必要です。運用する場合は、入室前の手洗い・アルコール消毒などのルールを徹底しましょう。

スライド式は、ドアの引きしろ分だけ設置スペースが必要になるため、十分なスペースを確保しなければいけません。シートシャッター式は、間口を広く取りやすいため、大人数や頻繁に出入りする現場やフォークリフトや台車などの通行に適しています。

なお、危険物を扱う工場などでは、耐火仕様・防火仕様のドアが採用されることもあります。

現場に適したエアシャワーの選び方

エアシャワーを選ぶ際に確認したいポイントは以下の3つです。

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

1.目的に合った風速・ノズル(吹き出し口)がある

エアシャワーの除塵性能は、風速とノズル(吹き出し口)に左右されます。業種や求める清浄度に適した仕様かを事前に確認しておきましょう。

参考として、風速・吹き出しの目安を以下に紹介します。

種類 目安となる風速・吹き出し
一般的な食品工場や包装工程
  • 風速:20〜22m/s程度
  • 吹き出し:片吹き・両吹きタイプ
医薬品・医療機器の製造エリア
  • 風速:23〜25m/s程度
  • 吹き出し:両吹きタイプ
半導体・精密機器・電子部品
  • 風速:25〜30m/s程度
  • 吹き出し:両吹き・3方向吹きタイプ

食品工場や包装工程は、毛髪や繊維片など目に見える異物の除去が主な目的となるため、一般的なタイプ(風速20m/s以上)対応できる傾向があります。

一方で、半導体や精密機器の製造現場では、目に見えない微粒子まで除去することが求められるため、より強い風速と、ムラなく風を当てられる3方向吹きがおすすめです。

なお、風速が20m/sを下回ると、衣服に付着した粒子を十分に除去できない場合があります。実際の風速性能や除塵性能を必ず確認しましょう。

2.設置スペースと動線に合うサイズ・ドアタイプである

エアシャワーは、本体サイズやドアの開閉方式が現場に合っていないと、作業効率の低下や渋滞を招く原因になります。

各通行幅の目安は、以下のとおりです。

  • 人専用で使用する場合:800mm程度
  • 台車やパレットを通す場合:通過させたい物の幅+300mm程度

通路が狭い、周囲に機器が多いなど設置スペースに制約がある場合は、開き戸よりもスライドドアやシートシャッターが適しています。設置場所が限られている現場では、コンパクトなポータブル型を検討するのも1つの手です。

また、出入り回数が多い現場では、動線を考えなければなりません。エアシャワーの通路形状は「直進型」が基本ですが、設置場所に制約がある場合は、L字型やT字型などをオーダーメイドすることも可能です。

例えば、クリーンルームが通路の突き当りにある場合はL字型が、大人数や出入りが多い場合はT字型がスムーズに移動できます。

3. 必要なオプション機能が備わっている

現場によっては、以下のようなオプション機能の追加を検討しましょう。

種類 説明
靴底洗浄機
  • 床面や作業エリアの汚れを抑えるのに有効
  • 屋外から土砂・油汚れが持ち込まれやすい現場で使われる
静電気除去・除電機能
  • 静電気によってホコリが付着したり、精密機器が故障したりするのを防ぐ
  • 半導体・電子部品・精密機器などで使われる
除菌機能・手指消毒器
  • 手洗い・手指消毒とエアシャワー通過をセットで徹底したい場合に有効
  • 食品工場や医薬品工場、病院・検査室など微生物汚染のリスクが高い現場で使われる

例えば、手指消毒器付きエアシャワーは、手洗いと消毒が完了しないとドアが開かないように制御できます。このようにオプション機能をつけることで、手順を忘れてしまうなどの人的ミスを防ぎやすくなります。

現場や目的に合わせてエアシャワーを選ぼう

現場の清浄環境を守るために、エアシャワーは有効な設備のひとつです。一方で、導入には本体費用に加えて設置工事やメンテナンス費用がかかるため、初期費用が大きくなります。

期間限定での利用や事業の立ち上げ期、または「まずは試験的に導入して効果を確認したい」という場合には、レンタルがおすすめです。レンタルであれば、メンテナンス済みのエアシャワーが必要な期間だけ導入できます。

産業・建設機械のレンタル会社「レント」では、標準ブース型ポータブル型のどちらも取り扱っています。レンタルをご検討の際は、以下からお気軽に見積もりを依頼ください。

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